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この頃気になることなど第20回

2012年07月28日 | Weblog
テロ

 7月22日は北欧の国ノルウェーで起こった連続テロ事件から1年とのことだった。同一犯による爆弾と銃乱射で77人が犠牲になった事件だ。銃乱射といえば、最近でも米国のコロラド州の映画館で12人が犠牲になった。こちらは政治的背景があるとは思えずテロとは言えないが、無差別大量殺人の意味では同様の仕業だ。人間個人の殺傷能力など野生の猛獣に比べれば微々たるものであるけれど、武器や毒物、爆薬から原子爆弾まで操れば短時間に大量殺人が可能になるところが恐ろしい。

 7月23日にはイラクでまた大規模なテロが起こったようだ。独裁者を倒せば民主的で平和な国家が生まれるとは幻想に過ぎなかった。米軍の圧倒的な軍事力も結局ゲリラ的テロ活動を制することはできなかった。

 テロといえば、わが国でも1995年に起こった地下鉄サリン事件がある。日本でも無縁とはいいがたい。一部の偏狭な思想を持つ人間集団の怖さは、人類が大量破壊兵器を有するがゆえに限りない脅威である。米国などが、途上国の核兵器開発を厳しく規制するのも、核兵器がテロリストに渡ることを懸念している。

 加えて、テロリストを操る裏の組織の存在も絵空事ではないだろう。大量殺戮や大規模破壊活動が、それらの表面上の実行集団の目論みからだけ起こるとは限らない。

 たとえば、今月18日に起こった自動車大手スズキのインド子会社「マルチ・スズキ」の工場で起こった大規模な暴動*12)なども一種のテロであり、従業員組合を操る背後関係が疑われる。インドは比較的わが国とは友好的な新興国のイメージがあり、スズキも長年インド経済に貢献してきたようだし、賃金など従業員への処遇もインド国内企業としてはけっして悪くなかったようだ。それでもこのような暴動が起きた。

 日本企業の海外進出は今や普通に行われる状況にあり、その失敗事例も数多(あまた)周知されていることで、すでに知れたことではあるが、世界には国家としてさえ国際的ルールを軽んじるところもある。グローバルの競争に、競合企業のモラルなど期待はできない。どのような追い落とし策を弄してくるかしれない。

 2008年1月に起こった農薬入り冷凍ギョウザ事件は記憶に新しいが、その後輸入元のジェイティフーズ(日本たばこ産業子会社)は、この事件を一種の食品テロと考えフードディフェンス(食品防御)の考え方による再発防止策を取った*13)という。

 海外事業展開においては特にあらゆるリスクについて徹底した対処法の確立が必要である。




*12) ニューデリー郊外のマネサール工場。インド人幹部社員1人が死亡、邦人ら約100人が負傷。
*13)日経ビジネス2010年4月19日号から