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この頃気になることなど第13回

2012年07月07日 | Weblog
原子力発電

 福島第一原子力発電所の国会事故調査委員会の最終報告が出た。福井県の大飯原発再稼働の後からこのような事故報告が出るということは、順序が違うようにも思うけれど、この政権は消費税増税もそうだったけれど手順無視で突き進む傾向にある。

 大飯原発再稼働を受けて総理官邸前では日増しにデモ隊が増加したことも当然であろう。現実路線といえばそうだけれど、現政権は決める政治を志向するあまりリーダーシップを履き違えているのではないか。

 もしこのようなことが、自民党政権下で行われたとしたら、民主党はここぞとばかり徹底追及に出ていたことだろうと思う。福田康夫内閣時の日銀総裁選出の際の天下りだからダメという訳のわからない論理でゴネまくったことを思い出す。立場が変わるとやることがコロリと変わる人間集団の怖さを感じる。

 野田首相は、デモ隊の声を「外で大きな“音”がする」と国民の声をまるで雑音のように捉えたと、テレビで怒っていた評論家の先生がいたと思えば、原発反対デモには、日頃は全く政治に無関心だったような人までが立ち上がっていることで、60年の安保反対以来だと、喜んでいる評論家もいた。こちらは世の中を騒乱に持ち込むことがお好きな方のようだ。

 その評論家氏は左派だから、どうも今も政権は自民党で、国の責任とは自民党の責任だとする習慣がよく抜けていないのであろう。全共闘時代の幻影が折に触れて蘇るのであろう。馬鹿なことだ。そのような評論家を使うテレビ局が悪い。大いなる時代錯誤だ。

 60年安保も時を経て、それを貫いた当時の岸首相はその後評価されることが多いが、民衆の声など当てになることもあれば単なる感情論のこともある。要は苦しくても政権が丁寧に国民に説明しながら、決定に至る手順を踏むことだと思う。

 原発は今やすっかり悪者になっているが、当然のようでもあり、福島第一原発の事故を「人災」と断じた国会事故調査委員会の報告からして、人類の英知で管理可能な優秀な発電手段であるとも言える。70年代に2度のオイルショックを経験し、狂乱物価を生んだ当時を思えば、原子力の平和利用への技術も尊いと思える。

 原子力発電には、これまでの技術的蓄積とその未来、国家の資産、雇用など正の部分と大きなリスクの負の部分があり、正負が天秤にかかっていることは確かだ。しかし、軽々に結論を出せることではない。感情論の「脱原発」をスローガンにして選挙を戦うなど、子供じみた選挙戦略をいかなる政党も、政治家個人も取るべきではない。それは先の政権交代と同じ、幻想を国民に抱かせるだけだから。今後の原子力政策は超党派で議論を深めるべき命題であると思う。