内部収益率法
DCF法において、先にNPV(正味現在価値法)を紹介した。ここでは将来のCIF(キャッシュインフロー)を資本コストで現在価値に割り戻したが、内部収益率法(IRR:Internal Rate of Return Method)とは投資の正味現在価値がゼロとなる(投資額と投資によって得られるキャッシュが現在価値において同額となる)割引率(=内部収益率)を求めて、これが、資本コストを上回っておればその投資案件を採用するというもの。
話はすっきりしていて簡潔であるが、未知数となる割引率(r)は、毎年乗数が加わるため、正確な計算はやっかいである。正味現価(P)を割引率(r)の関数と捉えて、いくつもの数値を代入してグラフ上にプロットして外装し、P=0のrを求めたりする。
ただ、CIFが単年度ということなら簡単に計算できる。投資額を1億円として、投資後2年目に1億2,000万円のCIFが1度だけ発生したとする。投資額とそのリターンが均衡する。すなわち1億円=1億2,000万円/(1+r)2の式からrを求めれば良い。(1+r)2=1億円2,000万円/1億円と変形して、1+r=√6/5=√1.2 からr≒0.095。すなわち内部収益率は9.5%で、資本コストがこれより小さければ、この投資案件は成立する。
なお、「内部収益率」という呼び方は、投下資産利益率(ROI:Return On Investment)と区別するために始められたそうだ。
内部収益率法は、計算が煩雑となることに加え、投資の規模が考慮されないなど欠点もあるが、投資の収益性を測る優れた方法である。
企業活動は常に多くの判断を伴う。企業に限らないけれど組織体の計画案については、経済性(採算性)の判断が非常に大きな比重を占めるけれど、当然にそれだけではない。当面の資金繰りが優先される場合もあり、その他非金銭的(インタンジブル)な要因の検討が必要となる場合も多い。
企業内の人間関係に配慮が必要な場合もあれば、地球環境問題や公共の安全を優先しなくてはならない場合もある。また得意先や仕入れ先、一般消費者からの信用やイメージはお金に代えられないし、技術的な問題もあろう。ただ、通常においては「どっちが(経済的に)得か」とチョット立ち止まって考え検討するだけで、余分な出費を節約できることにつながるケースも多いと思われる。
経済性入門は、企業のすべての部門の管理職に必須の素養である。
本稿は、千住鎮雄他著「経済性分析」、(財)日本規格協会1979年初版1986年改訂版を参考に構成しています。
DCF法において、先にNPV(正味現在価値法)を紹介した。ここでは将来のCIF(キャッシュインフロー)を資本コストで現在価値に割り戻したが、内部収益率法(IRR:Internal Rate of Return Method)とは投資の正味現在価値がゼロとなる(投資額と投資によって得られるキャッシュが現在価値において同額となる)割引率(=内部収益率)を求めて、これが、資本コストを上回っておればその投資案件を採用するというもの。
話はすっきりしていて簡潔であるが、未知数となる割引率(r)は、毎年乗数が加わるため、正確な計算はやっかいである。正味現価(P)を割引率(r)の関数と捉えて、いくつもの数値を代入してグラフ上にプロットして外装し、P=0のrを求めたりする。
ただ、CIFが単年度ということなら簡単に計算できる。投資額を1億円として、投資後2年目に1億2,000万円のCIFが1度だけ発生したとする。投資額とそのリターンが均衡する。すなわち1億円=1億2,000万円/(1+r)2の式からrを求めれば良い。(1+r)2=1億円2,000万円/1億円と変形して、1+r=√6/5=√1.2 からr≒0.095。すなわち内部収益率は9.5%で、資本コストがこれより小さければ、この投資案件は成立する。
なお、「内部収益率」という呼び方は、投下資産利益率(ROI:Return On Investment)と区別するために始められたそうだ。
内部収益率法は、計算が煩雑となることに加え、投資の規模が考慮されないなど欠点もあるが、投資の収益性を測る優れた方法である。
企業活動は常に多くの判断を伴う。企業に限らないけれど組織体の計画案については、経済性(採算性)の判断が非常に大きな比重を占めるけれど、当然にそれだけではない。当面の資金繰りが優先される場合もあり、その他非金銭的(インタンジブル)な要因の検討が必要となる場合も多い。
企業内の人間関係に配慮が必要な場合もあれば、地球環境問題や公共の安全を優先しなくてはならない場合もある。また得意先や仕入れ先、一般消費者からの信用やイメージはお金に代えられないし、技術的な問題もあろう。ただ、通常においては「どっちが(経済的に)得か」とチョット立ち止まって考え検討するだけで、余分な出費を節約できることにつながるケースも多いと思われる。
経済性入門は、企業のすべての部門の管理職に必須の素養である。
本稿は、千住鎮雄他著「経済性分析」、(財)日本規格協会1979年初版1986年改訂版を参考に構成しています。