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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

90年前の川湯温泉街生き生きと 弟子屈2カ所で絵はがき展

2024-06-15 | アイヌ民族関連

高橋力 有料記事

北海道新聞2024年6月14日 18:42(6月14日 19:51更新)

川湯ビジターセンターで開かれている川湯温泉などの絵はがき展

 【弟子屈】川湯温泉街にある川湯ビジターセンターと川湯郵便局で、阿寒摩周国立公園90年を記念した絵はがき展が開かれている。絵はがきには、1930年代の温泉街と人々の様子が生き生きと記録されている。

 同展は、屈斜路カルデラ自然ふれあい推進協議会が主催。両会場を合わせて十数点が展示されている。

 絵はがきは拡大され、今の写真と対比できる形で展示されており、90年の時の流れが比較できる。旅館を結ぶ木製のといを使って温泉が給湯されている。このほか、アイヌ民族の人々によるとみられる樹木の繊維が干されている様子などが記録されている。

 12月28日までで無料。ビジターセンターの開館は午前8時~午後5時(10月末まで)。水曜休館(7月第3週~8月末まで無休)。川湯郵便局は平日午前9時~午後5時。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1024931/


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『純粋なアイヌってまだいるんですか?』“自覚なき差別”“無知の偏見”といわれるマイクロアグレッションとは?差別と闘うアイヌ民族の苦悩

2024-06-15 | アイヌ民族関連

HBC 6/14(金) 20:14

 人種にまつわる差別やいやがらせを指す「レイシャルハラスメント」。

アイヌ民族に対する存在の否定や自覚のない差別などのレイシャルハラスメントが今、社会問題となっています。

アイヌ施策推進法 第四条

「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」

2019年に成立したアイヌ施策推進法。

法律で初めてアイヌを「先住民」と位置づけアイヌであることを理由とした差別を禁止しました。

一方で、アイヌ施策推進法の差別禁止規定には罰則が設けられていません。

2016年に自身のブログでアイヌや在日コリアンの女性を誹謗中傷し、人権侵犯の認定を受けた自民党の杉田水脈衆議院議員。

その後も自身を正当化する発信を繰り返しました。

鈴木知事(4月)

「いわれのない差別偏見の解消に向けて、国として正しい理解の促進を図る仕組み等についての配慮、 これは必要だと大臣にも申し上げました」

アイヌ施策推進法の施行から5年が経つ今年は、法律の改正が可能になりますが、政府や国会で見直しの機運は高まっていません。

 札幌市に住む多原良子さん。杉田議員に民族衣装を「コスプレ」と誹謗中傷されたアイヌの当事者です。

3月末、多原さんは、法律を改正して差別の禁止に実効性を持たせることなどを求めて、集めた署名およそ9万3千筆を国会議員に提出しました。

杉田氏に誹謗中傷された多原良子さん

「私たちマイノリティーばかりじゃなくて、マジョリティーの社会の中にも(差別が)浸透していく。そんなことでやっぱりいいのかというのは、私たちの主張ももちろんあるけど皆さんにも問いたい」

古くからアイヌを苦しめてきた直接的な差別。今、形を変えた差別が顕在化しています。

SNS上のコメント

「あんたみたいな自称アイヌを見ていると朝から気分悪い。早く認めな、アイヌはもういない」

SNS上には、アイヌは優遇されていて逆差別だという主張や、存在そのものを否定する投稿も多く見られます。

アイヌを傷つけるのは、存在の否定だけではありません。自覚のない差別があります。

ゴールデンウィークの最終日。北海道白老町のウポポイ・民族共生象徴空間には多くの観光客が訪れていました。

観光客にアイヌに対するイメージを聞くと…。

帯広から来た人

「狩りをしてるイメージが強い。音楽を奏でているイメージ」

札幌から来た人

「とてもいいですよね。自然に根ざしたというか割と人間らしい。自然とともに生きているよね」

アイヌに対する差別は直接的なものでけではありません。

「マイクロアグレッション」と呼ばれる自覚のない言動などによる差別も問題となっています。

書籍『アイヌもやもや』。

現代に生きるアイヌを取り巻く環境やアイヌの人たちの思いについて伝える本です。

本では、和人の男性と結婚したアイヌの女性が、義理の父親の何気ない言葉に戸惑いを感じる様子が描かれています。

書籍『アイヌもやもや』の中から抜粋

義父「お腹の子もね、きっと絵がうまいでしょう」

嫁「えっどうしてですか?」

義父「いやほら、アイヌの血が入っているもの。我々とは違いますよ」

嫁「はぁ、そうですか…」

義父「みんな平等平等!」

嫁「本人は1ミリも悪気ない」

 本の著者、北原モコットゥナシ教授は、アイヌ差別を考えるときはマジョリティーとマイノリティーの力関係の違いを認識することが大事だと指摘します。

北海道大学 北原モコットゥナシ教授(『アイヌもやもや』著者)

「自分は常に問う側であって、自分は当たり前だ、普通だっていう感覚を人間どうしても持ってしまう。相手との間に力関係がそんなにないとか、そういう場合には単なる誤解で済むが、日本社会の中でのアイヌというのは、政策によってずっと抑圧されてきた。直接的な差別も経験してきたという歴史の上に、今のアイヌと和人の関係があるので」

ウポポイの管理運営を行うアイヌ民族文化財団は、6月6日、アイヌの存在否定やマイクロアグレッションをレイシャルハラスメントと定義づけ、こうした差別に対応する宣言を発表しました。

ウアイヌコロ宣言。アイヌ語で「尊敬しあう」という意味です。

アイヌ民族文化財団 齊藤基也特別参与

「ウポポイにおいてもマイクロアグレッションというのは日々起こっていて、例えば『純粋なアイヌってまだいるんですか?』とか、あなたはアイヌに見えるとか見えないとか職員の容貌に言及される場合もあるし、場合によっては『アイヌのくせに~だ』というような言い方をされるケースもある。レイシャルハラスメントに反対するというスタンスを表明すると同時に、私ども財団が果たすべき使命 役割というものを改めて宣言したものになる」

アイヌ文化の振興に注目が集まる今、差別に対しても毅然と立ち向かう姿勢が必要とされています。

意図せず、無知がゆえに、アイヌ民族などマイノリティーの立場の人たちを傷つけているマイクロアグレッションという言葉がでてきましたが、直訳すると「ささいな、小さな攻撃」となります。

マイノリティーの人たちの見方とはどうなのかという配慮ある思考を社会の中で、広げていけたらと思います。特集でした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac780090c1b7c3e3a8828de3565d3b34d411faff


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北海道道 アイヌ“先住権”訴訟 ~サケと生きる暮らしを求めて~

2024-06-15 | アイヌ民族関連

NHK  6/14(金) 

サケはかつてアイヌの暮らしの中心にありました。しかし明治以降、川のサケ漁が禁止され、アイヌは伝統的な生活を営めなくなりました。「先祖のように川でサケをとりたい」と、浦幌町のアイヌの団体が起こした裁判の判決がこの4月にありました。主張したのは国連宣言で日本も賛成した先住民の権利「先住権」ですが、日本ではいまだ法律に盛り込まれていません。アイヌの人々の思いとは。海外の現場からもヒントを探ります。

6月21日(金) 19時30分

https://www.nhk.jp/p/hokkaidodo/ts/2J211716Z5/episode/te/8LG8L394XL/


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アイヌ副葬品 1年ごとに団体と合意し展示継続へ 浦幌町立博物館

2024-06-15 | アイヌ民族関連

十勝毎日新聞 2024/06/14 11:17

 【浦幌】浦幌町立博物館は、浦幌アイヌ協会(現ラポロアイヌネイション)から2017~19年に寄贈されたアイヌの副葬品について、今後は毎年、同団体と合意書を交わした上で展示を続けていく方針を決めた。...

●この記事は会員限定です。

https://kachimai.jp/article/index.php?no=610849


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北海道アイヌ文化振興施設「ウポポイ」、高校生向けに教育旅行プログラム、テーマは「共生社会」、交流を軸に学ぶ

2024-06-15 | アイヌ民族関連

トラベルボイス 2024年06月14日

北海道でアイヌ文化を伝える民族共生象徴空間「ウポポイ」は、高校生向けに「共生社会」をテーマに学びを深める冬季探究型教育旅行プログラムを造成した。開始は2024年12月からの予定。

ウポポイで働く職員や登別・洞爺エリアの人たちとの交流を中心に、アイヌ民族の多様な歴史や文化に触れ、西胆振地域(白老町・伊達市・室蘭市・登別市・洞爺湖町・豊浦町・壮瞥町)エリアの自然環境や火山、温泉、観光、地域産業などを知ることで、「共生社会」を実現させるために必要なことを学んでもらう。

また、生徒の旅行前の事前学習から、現地での体験や交流、それを踏まえた事後学習を支援する全23ページの「探求ワークブック」も作成した。

https://www.travelvoice.jp/20240614-155783


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桜木紫乃さん 『谷から来た女』

2024-06-15 | アイヌ民族関連

毎日新聞 2024/6/15 東京朝刊 有料記事 821文字

 ◆桜木紫乃(さくらぎ・しの)さん

 (文藝春秋・1870円)

誰にも書かせたくなかった

 デビューから今年で17年、満を持して「他の誰にも書かせたくなかった」物語を世に出した。

 『谷から来た女』は、アイヌ紋様デザイナーの赤城ミワを周囲の人物の視点から描く短編小説集だ。表題作の舞台は2021年の札幌。テレビ局の番組審議会でミワと知り合った大学教授の滝沢は、ミワと少しずつ距離を縮めていく。宿泊したリゾートホテルの浴室で初めて見た彼女の背中には、鮮やかなアイヌの紋様が描かれていた。ミワは滝沢に「こわいか」と尋ねる。

 アイヌ民族の女性が登場する作品を、ずっと書きたかったという。デビュー前に数本書いたが、いずれも発表されることはなかった。再び執筆を決意したきっかけは、アイヌ民族のデザイナー、貝澤珠美さんとの出会いだった。「土地に根を生やし、土地を守り、愛して生きている人たちの歴史に触れて、もう一回、向き合う力を得ました」

 主人公のミワは時として、周囲から分け隔てられてきた過去を持つ女性だ。彼女はある時、滝沢に「あなたには見えない壁が、わたしには見えるんだ」と伝える。「人の『無意識』とずっと戦ってきた人たちなんですよ。だからこそ、人の無意識に働きかけたい。小説はそういうものであってほしいと思います」

 ・・・・・・

<文と写真・松原由佳>

https://mainichi.jp/articles/20240615/ddm/015/070/017000c


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「完全にアウト」「類人猿は先住民?」と疑問殺到で大炎上したMrs.GREEN APPLEの新MV「コロンブス」。謝罪は迅速かつ的確なのに、なぜ公開に至った?

2024-06-15 | 先住民族関連

東洋経済6/14 13:51

人気バンドのMVが大炎上。しかし、炎上後の対応は迅速かつ的確…「ならなぜ動画を公開した?」「危ないかもと思ってて、言い出せなかった関係者もいたのでは?」と思えてくる事案です(写真:『Mrs. GREEN APPLE』公式YouTubeより引用)

 3人組ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)」の新曲、「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)が大炎上している。「コロンブスが類人猿に物事を教え、馬車を引かせる」といった描写が問題視されたことで、MVは非公開に。メンバーが謝罪し、同曲を起用したコカ・コーラの広告展開も中止となった。
 ネットメディア編集者として、これまであらゆる炎上ケースを見てきたが、炎上後の対応に限ってみると、迅速かつ的確な印象を覚える。だからこそ、「なぜOKと判断されたのか」が、極めて疑問に感じる。なぜここまで炎上したのか、経緯を振り返りながら考えてみよう。

■新曲「コロンブス」が大炎上
 Mrs. GREEN APPLEは2013年結成、2015年メジャーデビューのバンドで、活動休止を経た2022年からは、ボーカル&ギターの大森元貴さん、ギターの若井滉斗さん、キーボードの藤澤涼架さんの3人体制で活動している。2023年にはNHK紅白歌合戦に初出場した。
 そして、話題になっている「コロンブス」は2024年6月12日から配信開始、同日夜にMVが公開された作品だ。コカ・コーラの「Coke STUDIO」キャンペーンソングとして、タイアップ起用もされていた。

【画像】類人猿に馬車を引かせ、ピアノを教え…実際のMVの様子とレコード会社による謝罪文(8枚)
 しかしながら、一夜明けた13日、MVの内容が問題視される。
 MVは「もしも生きた時代の異なる偉人たちが一緒に旅をしたら?」をテーマに、大森さんがコロンブス、若井さんがナポレオン、藤澤さんがベートーベンに扮して、時代を超えてともに旅をする設定だった。
■MVの内容は…
 3人は類人猿がパーティーをしている家を訪れ、ピアノの弾き方を教えたり、人力車を引かせたり、乗馬を教えたり、類人猿が出演する悲劇『MONKEY ATTACK』を観賞したり、ともに「コロンブスの卵」を立てようとしたり。そしてパーティーを終えたあと、眠る類人猿を横目に、3人はまた次の場所へ向かう……といった構成だった。

 これらの描写について、SNS上では「奴隷商人だったコロンブスを賛美する内容はいかがなものか」「類人猿は先住民をなぞらえているのか」「完全にアウトだろ」といった指摘が相次ぎ、13日午後にはYouTubeに掲載されていたMVは非公開になった。
■各所から謝罪文が出されることに
 公開中止に際して、レコード会社であるユニバーサルミュージック(所属レーベル;EMI Records)と、所属事務所のProject-MGAは連名で、レーベルと事務所でMVを制作したと説明し、「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」「当社における公開前の確認が不十分」などと謝罪した。

 その数時間後には、大森さんからも謝罪文が出された。
「類人猿が登場することに関しては、差別的な表現に見えてしまう恐れがあるという懸念を当初から感じておりましたが、類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました」(謝罪文より)
 こうした懸念から、「意図とは異なる伝わり方」を避けるべく、スタッフとの確認を重ねていたといった経緯を説明しつつ、「ある事象を、歴史を彷彿とさせてしまうMVであったというご指摘を真摯に受け止め猛省」しているとした。

 キャンペーンソングとして起用していた日本コカ・コーラも、この日、報道各社に「コカ・コーラ社はいかなる差別も容認しておりません。今回の事態を遺憾に受け止めております」とのコメントを出し、今後は「コロンブス」による広告展開を控えるとした。なおMVの事前確認はしていなかったという。
 ここまでの一連の経緯を見てみると、事後対応については、極めてまっとうな印象を受ける。SNSで炎上状態になってから、非公開までのスピードの速さしかり、謝罪文や企業コメントが出されるタイミングも、比較的迅速と言えるだろう。

 レーベルと所属事務所の謝罪文には、「レーベル・事務所双方の責任を認める」「問題点を具体的に認識している」といった特徴が見られ、これも直後のコメントとしては、おさえるべきポイントをおさえていると感じる。
 また、大森さん自身の言葉で、改めて経緯説明が行われることで、表面的な謝罪のみならず、「MVに込めていた意図」「制作上に懸念があったこと」「その懸念を拭うべく行った対策」「しかしながら、結果として『何を連想させるのか』の配慮に欠けていたこと」などが示されたことも大きい。

 グローバル企業であるコカ・コーラの対応も、比較的早いと言えるだろう。MVの事前確認をしていなかったとなると、炎上して初めて対応を考えたことになる。すでに広告展開しているなか、楽曲使用を取りやめるという判断は、費用面でも重いはずだ。それでもなお「即日中止」を決めたのは、出稿継続がそれだけ大きなリスクだと判断したからだろう。
 ――と、ここまで一連の経緯を振り返ってきた。炎上後の対応が比較的適切に思えるからこそ、より際立ってくるのが、「なぜこのMVが公開に至ったのか」だ。謝罪文での大森さんの言葉を借りると、「意図と異なる形で線で繋がった時に何を連想させるのか」について、関係者全員が想像できなかったとすれば、悲しいかな「クリエイター集団としての敗北」と言わざるを得ない。

 あらゆる歴史的文化への配慮は、いまやクリエイティブ表現に携わるうえで、なくてはならない要素だ。日本国内でも、その文脈から問題視された事例が、過去にいくつも存在する。
 たとえば2016年には、アイドルグループ「欅坂46」の衣装が、ナチス・ドイツの軍服に似ているとして、アメリカのユダヤ系団体が抗議。運営側は「認識不足」を認めて謝罪し、総合プロデューサーの秋元康氏も「ありえない衣装でした。事前報告がなかったので、チェックもできませんでした」としつつ、監督不行き届きだったと謝罪した。

 外国人へのステレオタイプが問題視された事例もある。2014年にANA(全日本空輸)が公開したテレビCMは、お笑い芸人が金髪のカツラに、高い付け鼻をしたシーンが「人種差別的だ」と問題視されて、放送中止となった。
 国内の歴史も、当然ながら軽視できない。2021年に日本テレビの『スッキリ』で、お笑い芸人が、アイヌ民族について「あ、犬」と発言した件は、BPO(放送倫理・番組向上機構)が「明らかな差別感情を含んだもの」として、放送倫理違反との認識を示した。

 いずれのケースも、大勢の人物がかかわっているはずのクリエイティブ表現にもかかわらず、炎上や社会問題に発展した。よく「三人寄れば文殊の知恵」と言うが、プロのクリエイター集団をもってしてもチェック機能に欠け、SNSなどの集合知をもって、初めて問題に気づくというのは、あまりにお粗末ではないか。
■もう1つの疑問「大森さんだけ矢面に立たせてないか?」
 そうした考え方から、今回のコロンブス問題を振り返ると、「そもそも類人猿を出す必要があったのか」との問いに至る。大森さんは、MVの初期構想として「年代別の歴史上の人物」「類人猿」「ホームパーティー」「楽しげなMV」を主なキーワードとして提案したと説明している。

 おそらく、楽曲冒頭の「寄り道をした500万年前」との歌詞から着想を得たものと考えられるが、それ以降の歌詞には関連するフレーズは出てこない。懸念を感じていながらも、あえて類人猿を中心に据え続けるメリットはあったのだろうか。考えれば考えるほど、事前に回避できた「炎上」と思わざるを得ない。
 大森さんが声明を出し、矢面に立つ覚悟を示したことで、むしろ「周囲の人々にも責任がある」と感じる。先ほど、ユニバーサルミュージックとProject-MGAは連名で謝罪文を出したと書いたが、個人名まで書かれているわけではない。会社なので、当たり前ではあるのだが、大森さんひとりでMVを作ったわけではないのもまた、事実だろう。

 動画を非公開にしたから、謝罪したから終わりではない。批判が大森さんらメンバーに集中しないためにも、これから関係者には誠実な対応が求められるだろう。
 メディアも無関係ではない。MV公開直後の13日朝、各局情報番組のエンタメコーナーでは、おおむね「ミセス新PV公開」が好意的に伝えられていた。「尺の埋め草」として都合がよかったのかもしれないが、内容によっては公開しないという判断もできたはずだ。
 また、MV公開を報じた音楽系メディアには、公開中止になった旨を追記するところもあれば、記事そのものを削除した媒体もあった。制作者の責任はもちろんながら、流通者にも責任がある。得意先からの提供素材だからと、安易に右から左へと流す商慣習があるのだとすれば、この際そこも、しっかり見直す必要があるのではないか。

■「炎上するかも」と思った時、言い出せる組織作りを
 もしかしたら重大な問題だと気づいていた人も、中にはいるのかもしれない。しかし集団心理の中で言い出しづらかったり、すでに大金が動いていたり、権限がなかったりなどの理由で、ストップをかけられなかったのだとすれば、その病は深くまで根を張っている。
 そう考えれば、先ほど筆者は「クリエイター集団としての敗北」と書いたが、同時に「会社組織としての敗北」でもあったと言えるのかもしれない。

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/eef71cb5352c6ce1cd4c9456654f35098c148d0f


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