先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

一緒に学ぼう まちなかキャンパス 旭川・買物公園で22、23日

2024-06-19 | アイヌ民族関連

弓場敬夫 有料記事

北海道新聞2024年6月18日 21:11

 大学や高専、高校生らが、子どもたちとふれあい、互いに学びあうイベント「まちなかキャンパス」(実行委主催)が22、23日の午前10時~午後4時、旭川平和通買物公園で開かれる。

 15日に開幕した「あさひかわデザインウイーク」関連イベントで、今年は4大学と旭川高専、10高校のほか、企業や団体が宮下通から7条通までの買物公園に延べ45のブースを構える。

 自然との共生や科学、アイヌ文化、各種工作など、・・・・・・

 無料。日時限定のブースもある。詳しくはウェブサイトで。また、実行委は一口1万円で企業協賛も募っている。問い合わせはメール(machinakacampus2021@gmail.com)または電話080・8043・3804へ。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1026485/


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「命の形彫り出した」 藤戸作品の魅力紹介 道新旭川政経懇で五十嵐さん講演

2024-06-19 | アイヌ民族関連

弓場敬夫

北海道新聞2024年6月18日 21:06

藤戸竹喜さんの木彫作品について解説する前道立近代美術館学芸部長の五十嵐聡美さん

 道新旭川政経文化懇話会の6月例会が18日、アートホテル旭川で開かれた。前道立近代美術館学芸部長の五十嵐聡美さん(60)が、9月に道立旭川美術館で始まるアイヌ民族の彫刻家藤戸竹喜さん(1934~2018年)の作品展について、見どころなどを語った。

 五十嵐さんはアイヌ絵や木工芸などを専門とし、旭川育ちで阿寒湖畔(釧路)を拠点としていた藤戸さんと親交が深く、旭川の作品展「藤戸竹喜の世界展」を企画監修する。

 クマやオオカミといった動物や、エカシ像をはじめとする人物像などを手がけた藤戸さんについて、五十嵐さんは「木という命の塊にノミを入れ、命の形を彫り出した」と語った。

 また、絡み合う5頭のクマや、後ろ脚を浮かせたシカを襲うオオカミといった複雑な形の作品を示し「1本の木から彫り進めて細部まで丁寧。その上すごい速さで作業を進めた」と解説した。

 藤戸さんが初めてクマ以外を題材とした1969年の「樹霊観音像」の説明では「京都と奈良を巡って仏像を目に焼き付けてから、阿寒に戻ってから彫った」と、藤戸さんならではの発想や表現力の高さを強調。

 最後に「旭川に並々ならぬ愛着を持っていたので、作品展をぜひ応援してほしい」と訴えた。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1026479/


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先祖供養し古式舞踊 苫小牧でアイヌ協会が儀式

2024-06-19 | アイヌ民族関連

坂東亮平 有料記事

北海道新聞2024年6月18日 19:02(6月18日 19:21更新)

苫小牧市美術博物館前で行われた神への祈りの儀式「カムイノミ」

 苫小牧アイヌ協会(作田悟会長)はアイヌ民族の遺骨3体を保管する苫小牧市美術博物館正面玄関前で、神への祈りの儀式「カムイノミ」と先祖供養の儀式「イチャルパ」を行った。

 9日に行った。同協会員とむかわアイヌ協会の会員の計約50人が伝統衣装を身にまとって参加。「カムイノミ」では幸せな暮らしを願って神に祈りをささげ、「イチャルパ」ではヌサ(祭壇)に団子や果物、お菓子などを供えて、先祖への思いを表した。その後、苫小牧アイヌ文化保存会と鵡川アイヌ文化伝承保存会の古式舞踊(リムセ)も披露された。

 ・・・・・・

 ☆イチャルパのル、リムセのムは小さい字

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1026396/


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ウポポイ誘客を促進 登別・白老観光協 旅行誌「るるぶ」特別版発行依頼へ

2024-06-19 | アイヌ民族関連

武内敦貴 有料記事

北海道新聞2024年6月18日 18:59(6月18日 19:53更新)

 【白老】登別市・白老町観光連絡協議会(会長・小笠原春一登別市長)は町総合保健福祉センターで通常総会を開いた。化粧品製造販売「ナチュラルサイエンス」(東京)が企業版ふるさと納税で両市町に寄付したうちの一部約2600万円を活用し、「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の誘客促進事業を行うなど本年度の事業計画案を承認した。

 10日に総会を行った。同社は白老町虎杖浜で、工場敷地に広場などを設けた施設「ナチュの森」を運営している。

 ・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1026390/


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オーストラリア大陸最北端の地「ケープヨーク」で最新アクティビティ

2024-06-19 | 先住民族関連

手つかずの自然や先住民の文化を感じる大冒険! 北部半島地域の伝統を伝えるツアーにも参加できます

ケアンズ観光局 2024年6月18日 11時00分

©ケアンズ観光局

ケープヨークは、ケアンズシティ※1から北に伸び「パジンカ」※2と呼ばれる半島の先端であり、オーストラリア大陸の最北端に位置する海辺の小さな港町で、ケープヨーク地域の玄関口は「クックタウン」※3です。数々の発見で世界の地図に変革をもたらし、”キャプテン クック” として知られるジェームズ クック船長が、オーストラリアに来た際に初めて先住民族と交流をした場所で、この町の名前の由来となっています。キャプテン クックの率いる一団は48日間滞在し、先住民族の言葉や野生動物についての記録を残しました。

ケープヨークは、クイーンズランド州内でも他には見ないほど多い10にものぼる国立公園と州立公園が密接し合い、オーストラリアで最も自然が手付かずで保存されている場所でもあるため、キャンプやフィッシング、4WDのジャングルドライブなど、本格的なアウトドアアクティビティが満載です。またアボリジナル文化が色濃く残っており、2年ごとに500人以上の先住民族アーティストが200以上のコミュニティから参加し、圧巻のアボリジナル・パフォーマンスを披露する一大文化イベント「ローラ・ダンスフェスティバル」※4が催されます。

ケープヨークには「オーストラリア大陸最北端の地」というサインも掲げられ、唯一無二の体験ができるスポットとしても人気があります。 ※4次回は2025年夏の開催を予定。

  • 最新アクティビティ 「ケープヨーク ジェットスキー ツアーズ」

究極のジェットスキーの冒険が楽しめる「ケープヨーク ジェットスキー ツアーズ」が、2024年5月25日(土)から開始しました。「ケープヨーク ジェットスキー ツアーズ」は、パジンカと呼ばれるオーストラリアの先端やその他の地域へのジェットスキー ツアーを提供。初の先住民族の家族経営企業で、トレス海峡諸島の1つである

バドゥ島出身のパフェタイ モルソーにより、辺境地域の文化と歴史を紹介するツアーが設立されました。

オーストラリア本土と熱帯群島であるトレス海峡諸島を結ぶ、生命、美、文化、歴史に満ちた青い”海水のハイウェイ”では、水中にも水上にも生き生きとした絶景が広がり、まさにジェットスキーはそれらを鑑賞し体感するための最適なアクティビティです。完全ガイド付きの「ケープヨーク ジェットスキー ツアーズ」では、免許や経験は必要ありません※1。フレンドリーなガイドがサポートする「ジェットスキー アイランド トレッキング」や「ジェットスキー フィッシング」など、さまざまなツアーを用意しております。

※1乗車するには12歳以上、運転するには18歳以上であることが条件となっています。

公式HP:https://www.capeyorkjetskitours.com.au/

  • 「ケープヨーク」への行き方は?

<飛行機>

クイーンズランド州ケアンズに拠点を置く航空会社のスカイトランスでケアンズからケープヨークやトレス諸島の島々へアクセスができます。リージョナル・エキスプレスやカンタスリンクもバマガやウィーパへ運行しており、デインツリー・エア・サービスはケアンズからクックタウンやリザード島を繋いでいます。ケアンズ空港からクックタウンまでの所要時間は約45分です。

スカイトランス:https://www.skytrans.com.au/

リージョナル・エキスプレス:https://www.rex.com.au/

カンタスリンク:https://www.qantas.com/jp/ja/qantas-experience/network-and-partner-airlines/qantaslink.html

デインツリー・エア・サービス:https://www.airtoursaustralia.com.au/

<船>

オーストラリアのケアンズに本拠を置くSea Swift船会社が所有する「MVトリニティ・ベイ」は貨物船。しかし、乗船者ための寝室、ダイニングルームやメディアルームが完備されているので客船としてもしっかりと設備が整っており、心地よく旅をすることができます。週に1便、最大36人の乗客を乗せて運行していますが、この船旅を知っている人はほんの一握りのため特別な時間を過ごすことができます。毎週火曜日にケアンズを出発し海の上で約40時間を過ごすと、トレス海峡にあるホーン島に到着。木曜日にホーン島と木曜島で停泊し、金曜日にセイシアに停泊、そして、日曜日にケアンズに向けて出発します。

Sea Swift船会社:https://www.seaswift.com.au/

<4WD>

普通車では内陸の道を使ってクックタウンまで行くことができますが、ケープヨークへは4WDでのみアクセス可能となっています。ケープヨークより4WDが集まっている場所はおそらくないでしょう。ケアンズシティからケープヨークまでの1,200キロのダートロードを制覇するには4WDがなければ始まりません!この行程を走破するには天候にもよりますが、クックタウンやロックハートリバーなどを経て7日間前後かかります。雨量が増える時期は川の増水が不安定で危険な場合があったり、川周辺での注意点や必要な装備があったりと、大冒険には事前準備が欠かせません。アドベンチャーオーストラリア・トレック&ツアーでは、長期間の運転や慣れない道での運転が不安な方のためにガイドに先導をお願いできるツアーもあるので、ぜひ参考にしてみてください。

アドベンチャーオーストラリア・トレック&ツアー:https://www.facebook.com/AdventureAustralia/

  • ケープヨークやトレス海峡諸島へのツアーも充実

Strait Experienceは、現地で運営される先住民ビジネスを代表しており、デスティネーション管理会社、オンライン旅行代理店、および地域観光局を組み合わせたような役割を果たしています。小規模なツアーオペレーター、質の高いガイド、快適な宿泊施設、そして地域での比類のない体験を提供し、地域外から訪れる観光客と産業を結びつける活動をしています。

<ツアー例> 費用は2024年6月10日現在

Journey to Paradise(楽園への旅)AUD 8,924~

最も没入感のある7日間のパッケージ。オールインクルーシブツアーでは、起伏に富んだ地形と透き通った水の中を旅し、ユニークな動植物を探索しながら、この地域に住むアボリジナルピープルとトレス海峡諸島の人々の伝統的な生活様式について学ぶことができます。

Strait from Above(空からの海峡)AUD 1,099~

人気ツアーの一つで、トレス海峡の自然の美しさが体験できます。このツアーは、トレス海峡を横断する約2時間の遊覧飛行で、トレス海峡の風景の絶景などを上空から眺めることができる貴重な機会を提供します。

  • 北半島地域(NPA)文化フェスティバル

【United Culture = Strong Future(文化の繋がりで強い未来へ)】というテーマを掲げるNPA文化フェスティバルは、2024年7月11日(木)から7月13日(土)までの3日間で開催されます。このフェスティバルは地域住民をはじめ観光で訪れる人も無料で参加することができます。文化的なダンスグループ、新進アーティスト、文化的な食べ物、地元の芸術や工芸品の屋台などが並ぶほか、伝統的な彫刻のワークショップ、美術展、歴史散策、NPA 内の歴史的な場所について学べる地元ツアーなどが開催されます。

公式HP:https://www.nparc.qld.gov.au/cultural-festival

日本から1番近いオーストラリア、時差1時間で1年中常夏なうえ、コンパクトで観光や散策がしやすいケアンズシティ。さらに世界自然遺産のグレートバリアリーフや熱帯雨林では、さまざまなアクティビティが体験できます。今回ご紹介したケープヨークのように、シティから離れた場所にもまだまだ多くの魅力が詰まっています。たくさんの見どころが集まるケアンズで、ぜひ大冒険をしてみませんか。

<ケアンズ観光局 公式情報>

■ケアンズ観光局 公式 日本語ウェブサイト:https://www.tropicalnorthqueensland.org/jp/

■YouTube:https://www.youtube.com/user/CairnsGBR

■Instagram:https://www.instagram.com/cairnsjp/

■Facebook:https://www.facebook.com/CairnsJP/

 ■X(旧Twitter):https://twitter.com/Cairns_JP

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000104755.html


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潟東樋口記念美術館・潟東歴史民俗資料館「中野雅友(アイヌ・ユーカラ 油絵&縄文)展」

2024-06-19 | アイヌ民族関連

新潟市 2024年6月18日

アイヌ・ユーカラの油彩画と、アイヌ民族同様の自然観を持った縄文人の土偶の水彩画を描く、中野雅友さんの作品を展示します。

中野雅友(アイヌ・ユーカラ 油絵&縄文)展

会期

令和6年6月18日(火曜)から令和6年8月18日(日曜)
午前9時から午後4時まで
休館日:毎週月曜(祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日

会場

新潟市潟東樋口記念美術館
新潟市潟東歴史民俗資料館
(新潟市西蒲区三方92番地)

入館料

大人500円、小・中学生300円(小・中学生:土曜・日曜・祝日無料)

お問い合わせ

新潟市潟東地区公民館(電話:0256-86-3077)

ギャラリートーク

日時:令和6年7月27日(土曜)午前11時~正午
定員:先着20人(申込不要)
内容:ギャラリートーク(中野雅友さん)

https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/ku_info/kurashi_nishikan/bunka-sport/nakano.html


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アイヌの少女を演じきる 阿智村の役者「少しでも知ってもらう入り口になれば」

2024-06-19 | アイヌ民族関連

信濃毎日新聞 2024/06/18 10:48有料会員記事

 阿智村清内路で役者をしている二川(ふたがわ)舞香さん(42)が15日、アイヌ民族の口承文学「カムイユカラ(神謡)」を初めて文字にして残したアイヌの少女、知里幸恵(ちりゆきえ)(1903~22年)の生涯を描く一人芝居「神々の謡(うた)」を村中央公民館で上演した。知里の内面を熱を込めて演じる芝居に、8…

(残り939文字/全文1090文字)

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024061800262


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研究者が「墓荒らし」 謝罪と盗掘品の返還を 松島泰勝<奪われた遺骨、副葬品 今も続く植民地主義>上

2024-06-19 | ウチナー・沖縄

琉球新報 公開日時 2024年06月18日 14:09

浦添ようどれ近くにある伊波普猷の墓。

 2024年4月、日本文化人類学会はアイヌ民族に対する過去の研究姿勢を反省する「謝罪声明」を発表した。しかし謝罪すべきなのは、アイヌ民族だけでなく、琉球民族もその対象になるのではないか。「復帰」(1972年)前後、日本資本による琉球の土地や経済の収奪が広く見られた。同時に次のような「研究者による墓荒らし」が島々で問題になっていた。

伊波普猷の墓も

 「最近、墓荒らしの被害がつづいているのは、宮古島、石垣島、久高島、西表島などの、いわゆる民俗学資料の宝庫といわれる島々(中略)およそ三年ばかり前から、本土の大学や民間の研究者が、沖縄の島々にどっと乗込んだ。珍しい生活様式、文化遺産は、一つ一つが貴重な研究資料になった。(中略)つい八月にも、沖縄民俗学の父といわれる故伊波普猷の浦添城跡にある墓があばかれる事件があったが、故伊波も最近のとんでもない民芸、民具ブームを嘆いておられることだろう。(中略)(伊波普猷の※松島注)お骨は草むらに捨てられツボが盗まれた」(「横行する墓荒らし」『サンデーおきなわ』1971年11月20日号)遺骨は別の厨子甕(ずしがめ)に入れられ現在は墓の中にある。

 琉球人は遺骨、厨子甕を大切にするため、それを研究者が収集することは非常に困難である。それらを入手するため、盗掘や窃盗物の購入が行われた。遺骨、厨子甕を墓から引き離し、遺骨と厨子甕を分離し、博物館で保管、展示、研究するという行為は、「生まれ島」と琉球人との繋(つな)がりを切断することになる。「沖縄学の父」と呼ばれた伊波普猷の骨壺も盗掘の対象になった。1904年に東京帝国大学の鳥居龍蔵が中城城から琉球人遺骨を盗掘した際、伊波が鳥居の案内役となった。

先島、与那国も

 宮古島でも墓から副葬品が奪われた。「四百年も前に宮古を統一した仲宗根豊見親の墓と隣接する仲宗根家の一族を葬った門中墓(いずれも県重要文化財)が、今年二月から三月にかけて、また久松の松原ブサギ、池間島の島主の墓など、いずれも古いものがつぎつぎに荒らされ、多くの副葬品が盗まれているという。最近の傾向だと、この墓荒らしは平良市だけでなく、城辺町や下地町の来間島、伊良部村、多良間村など宮古全域にわたってひん発。新しいコンクリートの強固なものを除く古い墓という墓はかたっぱしから掘りかえされて被害にあっている。ネライはもちろん中にある副葬品とツボなどの焼き物、南方や中国渡来の古い物、地元独特の焼き物などが多く、ほとんどが島外に持ち出され、鹿児島県でも売りに出されているともいわれる」(『琉球新報』1974年7月15日)

・・・・・・・・

https://ryukyushimpo.jp/news/culture/entry-3207257.html


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学びの集大成としての修学旅行~探究心を育む、令和の修学旅行の「作り方」~

2024-06-19 | アイヌ民族関連

日本教育新聞2024年6月17日 10面記事

東京都練馬区立開進第二中学校
「前向き」「活動的」「双方向」を取り入れ、実感を伴った経験に

 生徒の学びの深化や人としての成長につなげるため、座学では得られない体験ができる修学旅行を「学びの集大成」として活用する取り組みが注目されている。そこで、まさにそうした意図のもと、今年度から「国際化に柔軟に対応し、多様性を受容して共生すること」をテーマに掲げ、北海道への修学旅行(3年生)を実施した練馬区立開進第二中学校の牧野英一校長に、令和の修学旅行を計画する上で重視したポイントや事前・事後学習について聞いた。

1年時から継続する人権教育の集大成に

 同校の修学旅行はおおむね10年間隔で行先を変更してきており、震災学習をテーマにした東北地方への修学旅行が節目を迎えた3年前から、1学年の教員を中心として、次代を担う生徒にとってのより良い修学旅行にするための話し合いを行ってきた。
 牧野校長自身も10年後を見据え、全国各地の修学旅行先を視察。その中で、関東圏は他の地域と比べて航空機の利用率が低いが、横浜市では約25%の中学校が利用していることに気付いたという。
 こうした検討を重ねた結果、今年度から北海道「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を中核とした修学旅行へと舵を切ることになった。現3年生は、国際理解教育の一環として1年時に実施した「イングリッシュキャンプ」以来、阿波踊りやアフリカの民族音楽等の異文化理解学習を継続しており、その学習の集大成としてアイヌの文化を学ぶことができるからだ。

“また行きたい”と思わせる仕掛けが重要

 その上で目指したのが、生徒が「また行ってみたい」と思えるような実体験ができる、令和型の修学旅行。牧野校長は、「それには人間、自然、文化、歴史の四つの原理を旅行の行程に上手く当てはめることが必要です」と指摘。そのために重視したのが、POSITIVE(前向き)、ACTIVE(活動的)、TWO―WAY(双方向)を取り入れた実体験を伴うプログラムを作成することだった。
 「従来型の観光地巡りや一方的に情報を受け取る体験では、“また行きたい”とは思わない。もっと生徒たちが現地の自然や文化とダイナミックに触れ合える機会、すなわち、実感を伴った経験を与えてあげることが大事になると考えました」と牧野校長は振り返る。

なぜ航空機を利用するのか~意図を明確に~

 もう一つ、今回の修学旅行では従来の新幹線から航空機へと交通手段が変わることが大きな変化になる。「航空機への変更に際しては、なぜ航空機を利用するのかを保護者にもきちんと納得してもらう必要がありました」と話し、説明資料を見せてくれた。
 まず、候補地の選定では、北海道は約1・5時間と沖縄や九州よりもフライト時間が短い。次に、費用も5月の連休明けなら修学旅行割引により、京都・奈良と同程度の料金で済む。また、安全性はもちろん、航空機を利用するための搭乗手続きや機内マナー、離着陸時の緊張感などが、国際化が進む中での将来への確かな経験となる。
 一方で、北海道は現地に着いてからの移動に時間がかかるのがネックとなる。そこで、「地図を用意し、新千歳空港を起点に訪問先と宿泊先をトライアングルで結び、それぞれをバス便で、約1時間程度で巡れるように工夫しました」と牧野校長。
 このような周到な計画・準備のもと、実施へと漕ぎ付けた北海道修学旅行の目的は、次のようなものになる。

 (1)「ウポポイ(民族共生象徴空間)」で、アイヌの文化を実体験することを通して、多様性を受容し共生することの意味を実感する。
 (2)宿泊行事等の経験を活かし、北海道の大自然を実体験するとともに、札幌の班行動を自ら企画して実行する。
 (3)国際化の一層の進展に柔軟に対応するきっかけとして、航空機の安全性やおもてなし、空港の利用方法について理解を深める。

事前学習で興味関心を高める

 修学旅行は、社会や生活と自己の関わりから、自分で課題を見出して解決策を考える機会になる。同校では、そんな修学旅行の経験を一人一人の成長につなげるため、「総合的な学習の時間」や「意見発表会」などを利用した事前・事後学習にも力を入れている。
 事前学習では、アイヌの人々に対する理解を深める人権学習、支笏湖の自然、札幌の班行動に関する調べ学習、航空機の安全性やおもてなし、空港の利用方法などについて学んだ。
 「その中では、公益財団法人アイヌ民族文化財団のアドバイス派遣事業を活用して、都内近郊に住むアイヌにルーツを持つ方々から話を聞く機会を設けていただくなど、貴重な体験もありました。また、空港ではパイロットやCAだけでなく、さまざまな人たちが働いていることを知ることで、現地ではそうした人たちの姿に自然と目が留まるなど、興味関心を高められたと思っています」と振り返る。

実体験で感じたことを伝える3つのステップ

 事後学習では、ウポポイでアイヌの歴史や文化に触れ、水中遊覧船で支笏湖ブルーを見て、班行動で札幌の街や名所を巡った実体験を、自分の言葉で下級生に伝えることがテーマになっている。そして、そのために重要になるのが、自分の考えをいかに分かりやすく相手に伝えるかだ。
 現在は、インターネットで簡単に北海道の情報や映像を見ることができる。しかし、そうした時代だからこそ、自分が実体験して感じたことを、実感を込めて相手に伝えることが、これからの時代を生きる生徒たちにはより一層求められている。
 こうした意図から、牧野校長は「自分の考えを相手に伝える」ためのステップアップに向けて、三つの課題を用意した。最初は、さまざまな実体験の中から一番感動したことや印象に残ったことなどを相手に伝え、なぜ、そう思ったのかを説明すること。二つ目は、実証。班行動などで、なぜ、そこに行きたいと考えたのか、事前の調査ではどのように予想していたのか。そして、実際に行ってみてどう感じたのかを、予想と実体験を比較して実証し、自分の考えを伝える。
 三つ目は、テーマ。「例えばアイヌの方々の文化、支笏湖、航空機などのテーマを決め、事前の調査による予想(仮説)と実体験して分かった事実に基づいて、自分の当初の考えから何か変化があったかを、聞く側の立場に立って説明できるようにすることを目指します」と示してくれた。

日程全体で大きなストーリーのある学びに

 このように令和の修学旅行の「作り方」は、探究するテーマを明確にした上で、生徒たちに実感を伴った経験をさせるためのプログラムを作成し、旅の日程全体を通して大きなストーリーのある学びにすることがカギになる。それにはやはり、引率する教員や旅行会社・協力機関等と何度も話し合いを重ねるなど、時間をかけて用意周到に準備することが大事になるようだ。
 今回が初めてとなった北海道への修学旅行は、こうした甲斐もあって、満足できるものになったと牧野校長。「今年度の成果や課題を踏まえ、次年度にさらにより良い修学旅行となるように活かしていきたい」と力強く語った。

ウポポイ(民族共生象徴空間)見学の様子

北海道修学旅行の行程 2泊3日

1日目 学校(バス)→羽田空港(航空機)→新千歳空港→北海道白老町「ウポポイ」(バス)→支笏湖(丸駒温泉泊・秘湯温泉体験・夕食北海道ご膳)
2日目 支笏湖周辺(遊覧船)→札幌(バス)→札幌(班活動・夕食ジンギスカン)→札幌(ホテル泊)
3日目 札幌(朝食海鮮バイキング)→北海道開拓の村(見学)→新千歳空港(航空機)→羽田空港→学校(バス)

https://www.kyoiku-press.com/post-280306/


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高田稔×のりこ親子展&ゆるりら森のなかまたち展7/10同時開催

2024-06-19 | アイヌ民族関連

小樽ジャーナル2024/6/18

 小樽在住のイラストレーターたかたのりこ氏が描く「ゆるりら森のなかまたち」が、市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリー2で、同館所蔵作品を紹介するCollectionストーリー6 父と娘高田稔×たかたのりこ展を1階多目的ギャラリーで、7月10日(水)から28日(日)まで開催する。

 江別市生まれのたかた氏は、札幌北高校卒業後、ソニー株式会社札幌支店やデザイン会社に勤務。住宅情報誌リプランに勤務して独立し「アルビレオ工房」を設立。現在、天狗山の麓に住むイラストレーター。

 郵政省年賀はがき北海道版イラストや中井貴恵著「ピリカコタン」、原子修著「月と太陽と子どもたち」の挿絵などを手がけ、小樽雪あかりの路キャラクターや小樽スキー連盟公式キャラクター「たるちゃん」や日本郵便フレーム切手「冬のファンタジー」のイラストを担当し、観光ポスターを制作している。

 2018(平成30)年妖精図譜「ゆるりら森のなかまたち」を出版。北海道の森にすむ妖精をイメジーしたキャラクター60体を生み出し、アイヌ語から名前を付けた。同展では、その仲間たちを中心に幻想的な世界へ誘う。

 同氏の父・高田稔氏(1912~1995)は、宮本三郎に洋画の指導を受け、戦前から東京で活躍した洋画家。北海道に疎開し江別に移住。道展・日展・新制作展に出品を重ね、実力を発揮。1980(昭和55)年から小樽に移住し、小樽の冬や雪をイメージした抽象化した独特の絵画を描く。同館に収蔵されている作品とたかた氏作品と併せて紹介するのは、初めての試み。

 たかた氏は、「父は九州出身で雪が大好き。スキーに夢中になっていた。死ぬまでに一度、父の作品と同じスペースでこっそり作品展を企画していたが、美術館での開催に変更した。私はイラストレーターで、素晴らしい絵を描く人は沢山いるが、私の妖精は私だけが描くもの。ぜひご覧いただきたい」と来場を呼びかけている。

 普及事業として、7月15日(月)13:00~15:00に、2016(平成28)年に出版したカラーリングブック(大人のぬりえ)体験講座を展示会場で開催。材料費1,600円・先着10名限定。

 7月13日(土)・14日(日)・21日(日)・27日(土)・28日(日)の13:00~15:00に、ゆるりらの森のなかまたちのスライド上映会を開催。申込は7月1日(月)からTEL(0134‐34-0035)で。

 関連事業 あなたに伝えたい言葉の匂い-朗読劇「祝婚歌」ほか~Ml-mosa(ミモサ)~父と娘高田稔×たかたのりこ展コラボレーション公演~

 出演は、ユニットMl-mosa~堀きよ美氏(女優)×福村由美子氏(舞踏)×留美(音楽)

 7月20日(土)①14:00・②17:00 定員各回30名 5月10日から受付開始

 市民ギャラリー前売券2,000円・当日券2,500円

 問合せ・受付:080‐5826‐0988(福村)・メール

https://www.otaru-journal.com/2024/06/post-100326/


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アウユ族文化を知る、パプアのすべての目の背後にある人物

2024-06-19 | 先住民族関連

VOI18 Juni 2024, 13:00

パプア出身のアウィウ女性は、南パプア州ボーベンディゴエルのコウ村で十字架の印を付けた式典でサゴ毛虫を調理しました。(グリーンピース)

ジャカルタ - アウィウ族は、しばらく前にアウィウ族の環境戦闘員が最高裁判所(MA)の建物の前で平和的な集会を開いた後、しばらくの間会話になりました。アウィウ族の行動のために、パプアにおけるすべての耳の呼びかけはソーシャルメディアで響き渡った。

アウィウ族の代表者は、アブラヤシプランテーションになる危機にしている慣習的な土地を守るための闘いを続けるために、パプアからジャカルタまで旅行しました。先住民族は、アブラヤシプランテーション会社のライセンスが取り消され、事件が最高裁判所で上訴されるまで、政府を訴えました。

典型的な伝統的な服装で、アウィウの環境防衛士がMAに来ました。彼らは、パプアの学生の連帯とパプアの慣習的な森を救うための連合を伴って、最高の司法機関の前で伝統的な祈りと儀式を行いました。

「私たちはパプアの地からジャカルタまで長距離で複雑で高価な距離を移動し、私たちが戦っていたパーム油会社のライセンスを取り消すことによって奪われた私たちの権利を回復するよう最高裁判所に依頼しました」とアウユ族の環境擁護者ヘンドリクス・ウォロは語った。

それ以来、パプアのオールアイズという言葉が描かれたイメージは、慣習的な土地を守るのに苦労していたアウィウ族へのネチズンの支援の一形態として、ソーシャルメディアで広がった。

このアウユ族は一体誰なの?

Zulyani Hidayah博士による本(1997年)によると、アウィユ族はインドネシアの南パプアの海岸にあるディグル川流域に住む民族グループです。この地域は、西部のヤフライム(ヤガイ)とムユの人々によっても住んでいるマッピリージェンシーの領土に含まれています。2017年の国勢調査によると、この人口は約27,300人です。

アウィウ族の生計は、主にハンマーとハンターです。アウィウ族の主な食べ物は、川や沼地で捕獲されるサゴ、魚、エビです。

そのため、約36,094ヘクタール、つまりジャカルタの半分の土地が審判の土地として使用される危険にさらされたとき、アウィウ族の人々は抗議した。ヘンドリクス・ウォロによると、アウィウ族の生活は、土地、森林、川、沼地、その他の自然の富に大きく依存しています。

「それらはすべて生計手段、食料、医薬品、そして私たちの社会文化的アイデンティティの源です。森林は私たち先住民にとって永遠の口座です」とヘンドリクスはグリーンピースインドネシアを引用して言いました。

アウィウ族は、5つから11の方言に分かれたパプア語の塊に含まれるアウィウ語を使用しています。それらのいくつかは、アスエ、ピサ、パスエ、アグー、ジャイール(スンガイエデラ、キアアタス、キアバワ)、イェニム(オセル)とシアクサ(シアジャ)です。

言語は人間が使用するコミュニケーションシステムの1つであり、コミュニケーションの手段、アイデンティティマーカーなどとして社会生活において重要な機能を備えています。

同様に、アウユ族は毎日アウユ語を使ってコミュニケーションを取っています。例としては、KitiatauAyeuntuk、父親の電話、Uniuntuk、Teteuntuk、祖父の電話があります。

残念なことに、アウィウの言語文化は時代と技術の発展のために衰え始めました。これはまた、アウィウの言語を衰退させる内部および外部の要因の影響を受けます。

外的要因の1つは、アウィユ族と他の部族の間の混血結婚の存在です。例えば、アウィユ族とジャワ族の混血結婚により、両親の言語の混在により、日常生活におけるアウィウ言語の使用が少しずつ消えていく。

一方、アウィウの言論の消え去りを引き起こした内部要因は、コミュニティ自体の無関心によるものでした。

食文化に関しては、サゴはパプアの人々にとって人生の象徴であり、アウィウの人々にとっても例外ではありません。サゴが処理される前に、通過しなければならないプロセス、すなわちサゴパッドプロセスがあります。この段階では、サゴの木は加工できるまで木によってヒットします。サゴを刈り取るプロセスは、パプアの人々のユニークなものの1つです。

サゴを処理するために、Awyuの人々は依然として斧、マチェーテ、サゴカバー、サゴスプレッド、ココナッツスプレッドなどの伝統的な道具を使用しています。

サゴの農産物を収穫する準備をしているパプアの人々の活動は、サゴパングルダンスの創造に影響を与えます。このダンスは、パプアの人々がサゴを作るときに行うパーティーの儀式を象徴的に描いています。相互協力、団結、感謝は、このダンスで示したい価値です。

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Mrs. GREEN APPLEのMV「コロンブス」炎上事件を再発させない方法

2024-06-19 | 先住民族関連

ニューズウィーク2024/6/18

<Mrs. GREEN APPLEのMV炎上事件は、「集合無知」のリスクと「どこに地雷が埋まっているかわからない」キャンセルカルチャー問題の難しさを改めて日本社会に突きつけた。しかし、回避する方法がないわけではない>

人気バンドMrs. GREEN APPLEのミュージックビデオ(MV)が「炎上」した。コロンブスとナポレオン、ベートーベンに扮したメンバーが海に浮かぶ小島の家で類人猿と戯れるという内容のMVだが、6月12日に公開されると「植民地主義的で差別的」という批判が殺到。配信停止に追い込まれた。

コカ・コーラのサマーキャンペーン「Coke STUDIO」のために書き下ろされた新曲のMVが、思わぬ形で「キャンセルカルチャー砲」を正面から浴びた形だ。「どこに地雷があるのか分からない」と頭を抱える広告クリエイティブ関係者も多いだろう。どうすれば回避できるのか。

MVを見ると、舞台となるのはカリブ海を思わせる洋上に浮かぶ小さな島。そこに建つ家を見つけたコロンブスらが中に入ると、中にはソファで寛ぐ類人猿がいる。たちまちパーティーが始まり、歌って踊って騒ぐ乱痴気の中でベートーベンはピアノを、ナポレオンは馬術を類人猿に教える。ベートーベンが乗る人力車を必死に引くのも猿だ。壁に飾られているのはバッファローの角。夜になると「MONKEY ATTACK」という映画を皆で観るが、倒れた白い鉢巻の猿を赤鉢巻の猿が抱きかかえ悲しむシーンに3人組と猿は涙ぐむ。コロンブスがテーブルの上で卵を直立させた後、3人組は「BABEL」という文字が刻まれたレンガの脇を歩いて家から去っていく。そういった内容だ。

確かに「批判もむべなるかな」と思わせる内容とも言える。コロンブスが「新大陸を発見した偉人」として無条件に称賛されるポジションから引きずり降ろされ、先住民虐殺と植民地支配、奴隷貿易の端緒を切り開いた「悪しき存在の象徴」として非難が加えられるようになったのは別に最近のことではない。1992年の「新大陸発見500周年」の前後には既に疑問の声は大きくなっていた。北米のBLM運動が激化した2020年にはコロンブスの銅像を破壊する動きも生じている。そのコロンブスがベートーベン、ナポレオンとともに先住民(猿)を教化し文明化する様を無邪気に描いたとしたら悪い冗談でしかない。

しかしMVは、猿が人力車を引くシーンの背景に、ナポレオンの遠征(侵略)先であるエジプトのピラミッドだけでなく、現代の風力発電のシーンを使用したり、エジソンの電球やコロンブスの卵といった様々なアイテムを引用したりしている。この超時空的な玉石混淆っぷりは、「潤んだ瞳の意味を生かすには まず1個宝箱を探すんだ」といった天才的ワーディングの歌詞、パステルカラーのセット、淡色の映像色調と相まって、軽快な音楽に「極上のポップ感」を与えてもいる。

関連するビデオ: Mrs. GREEN APPLE 新曲MVの公開停止「理解に欠ける表現」 (テレ朝news)

Mrs. GREEN APPLEの大森元貴氏は13日に「差別的な内容にしたい、悲惨な歴史を肯定するものにしたいという意図」はなかったと釈明し「配慮不足」を謝罪した。所属するユニバーサルミュージック合同会社も「歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていた」として謝罪している。確かに今回のMVについては、クリエイティブに関わった人々の「集合知」ならぬ「集合無知」が意図せずに形成されてしまった側面がある。

しかし、コロンブスがキャンセルカルチャー(広義には「特定の人物・団体の言動を問題視し、集中的な批判を浴びせて表舞台から排除しようとする動き」を、狭義には「現代の基準から不適切だと思われる功績を過去にさかのぼって否定する」風潮をいう)の象徴的存在であることは、現代の日本で「衆知の事実」とまでは言えない。アーティストがコロンブスの位置付けの逆転や国際潮流としてのキャンセルカルチャーの視点を知らなかったとしても、それだけで非難するのは酷だろう。iPhoneやPCのOSと異なり、何かしらの創作物を作り出す土台となる「視野」は自動的にアップデートされることはない。大切なのは個々人のアップデート力と知的怠惰に問題を収斂させるのではなく、炎上を防ぐ仕組みを構築することではないだろうか。

創作を支えるサポート・助言体制を構築・強化せよ

筆者はかつて「カルチュラル・アプロプリエーション」(Cultural appropriation)つまり「何らかの表現活動を行うにあたって、多数派・支配的な立場にある者が、少数派・従属的な立場にある者の文化を、敬意を払うことなく「流用」したり、歴史的文脈を無視して「引用」したりすることへの非難」の問題を取り上げ、広告等の表現活動が「文化の盗用」の非難を浴びせられるリスクを回避するために必要な判断枠組みを考察したことがある(「伝統文化の「盗用」と文化デューデリジェンス −広告をはじめとする表現活動において「文化の盗用」非難が惹起される蓋然性を事前精査する基準定立の試み−」)。

今回の「キャンセル・カルチャー」の問題と「カルチュラル・アプロプリエーション」は同じではないが、炎上を防ぐ考え方として一つの参考になると思われるので、簡単に紹介しよう。

まず、非難を浴びるリスクを客観的に想定することが重要だ。「文化の盗用」という文脈では、アイヌの文化であったり和服の帯であったり、その維持に多大の努力が払われている少数文化や伝統文化に該当するか否かを、例えばユネスコの「無形文化遺産一覧表」を参照して把握する。2021年には和服の帯を踏んづけるヴァレンティノのCM 動画が炎上したが、そもそも「文化の盗用」という批判を避けるためにはその炎上可能性を客観的に把握することが必要となる。

キャンセル・カルチャーも同じで、社会的文脈の中で「キャンセル」される可能性があるようなセンシティブなテーマを扱う場合は、慎重にリスクを想定しなければならない。無形文化遺産の場合と違って「一覧表」のような便利なツールはないので、クリエイティブな想像力が肝となる。

たとえば「猿」(Ape)を扱うのであれば、映画『猿の惑星』(と『戦場にかける橋』)の原作者ピエール・ブールが第二次世界大戦中に日本軍の捕虜だったこと、あるいは日本軍捕虜が収容所で猿同然に扱われていたことを糾弾した会田雄次著『アーロン収容所』(中公新書)を想起したり、コロンブス後の「植民地支配」であれば、ラス・カサス著『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)からエドワード・サイード著『オリエンタリズム』(平凡社)に至る書物を踏まえた上で、北米での先住民とバッファローの虐殺を想起させるものが登場しないか、あえて登場させるとしたらそのコンテキストをどう構築するのかといったことを、例えば先住民(ネイティブ・アメリカン)と白人(プア・ホワイト)の関係を描いたマーティン・スコセッシ監督の映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を参考にしながら組み立てたりするのである。もちろんそういった作業をアーティスト自身が行うというより、創作を支えるサポート・助言体制を構築・強化するのだ。

その上で、実際のコンテンツで表現される内容の「強度性」を判断することも重要だ。今回のMVで言えば、最もインパクトのあるシーンは「猿に人力車を引かせている」場面だろう。この絵面は「奴隷労働」を想起させ得る程度の強度性がある(言うまでもないが、だからといって浅草等の人力車営業が奴隷労働という訳ではない。人間が猿を、先住民族のメタファー(隠喩)であるとしたらその先住民を酷使して引かせているというイメージの問題である)。もしそのようなイメージを喚起させてしまった場合、地球上に4030万人いる(国際労働機関[ILO]による)とされる「現代奴隷」の問題とリンクしかねず、「意識高い系」(Woke)から総スカンになる可能性もある。

「論争惹起性を緩和させ、邪推を遠ざける」周到な工夫

そこで「衝撃の緩和策」として、例えばそのシーンの直後に、現代の風力発電をバックに今度は逆にナポレオンが人力車を引き、猿が人力車の上でふんぞり返って悦に入っているといったシーンを挿入するのだ。時間軸の混合、主客の交代、価値の転倒がもたらすユーモアが高強度表現を包み込めば、インパクトを一定程度中和させることができるだろう。植民地に持ち込まれた「馬」、虐殺された「バッファロー」についても同様に、メタファーの解釈が生む論争惹起性を緩和させ、邪推を遠ざける周到な工夫があれば乗り切れる。

今回のMV問題が社会の注目を集めたのは、昨年の紅白歌合戦に初出場したMrs. GREEN APPLEというバンドが高い人気を持っているだけでなく、コカ・コーラというグローバル企業のオファーで楽曲を作成したという事情もあろう。つまり音楽をめぐる「ビジネスと人権」の問題でもあるのだ(なおコカ・コーラはMVの内容自体は関知していないとしている)。

価値観の多様化と視座の流動化は加速化している。そうした潮流の中で、広告表現への批判が突如噴出し炎上することはクリエイティブを萎縮させかねない。その対策として、アーティストや制作陣の属人的な知識や視座の足りなさを批判するだけではダメだ。制作プロセスにおける「仕組み」として、文化デューデリジェンス(事前の精査)をビルトインしたクリエイティブ支援体制を構築していく必要がある。

Mrs. GREEN APPLE 大森元貴氏の謝罪文

Mrs. GREEN APPLEのMV「コロンブス」炎上事件を再発させない方法

© ニューズウィーク日本版

Mrs. GREEN APPLE 「コロンブス」ミュージックビデオについて

https://www.msn.com/ja-jp/news/other/mrs-green-appleのmv-コロンブス-炎上事件を再発させない方法/ar-BB1oqOQE?ocid=BingNewsSearch


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