数日前に名前は忘れたが外から持ち込まれた肉食魚がタンザニア湖の生態系をすっかり変えてしまったとテレビ番組が伝えていた。従来からタンザニア湖に住んでいた魚が餌になって以前の3割に激減したという。琵琶湖に放流されたブラックバスが異常繁殖しているのと同じパターンだ。
しかしケニヤの場合はもっと深刻な事態になっていると番組は続けていた。この肉食魚は白身でスズキに似た中々の美味らしい。切り身にして主として欧州と日本に輸出し、それなりに現地経済を潤しているが、それが人々の生活を変えてしまったと。
他に現金収入のない現地の人達の昔からの生活を一変させ、コミュニティ、特に子供の生活環境を破壊してしまったと報じていた。これは善悪では語れないが結果は意図したよりもひどく残酷だ。生物の世界でもビジネスの世界でもダーウィニズムは時に最も非情な形で働く。
午後食料の買い出しに出かけ、その後回り道をして撤退したと聞いていたスーパーの様子を見に行った。撤退するところがある一方で、その1km四方内に新しいスーパーが2軒開店したという。人口4万の地方の小都市に何故これほどダイナミックな競争が起こっているのか理解できない。
確かに最近高速道路が南に延びて商圏が一気に広がった。といっても多分10万人にも満たないはずだ。城下町で鉄砲町とか塩町とか名前の付いたかつての繁華街が殆ど閉店状態で、全ての客が郊外に移って行ったとしてもスーパーのほうが多すぎる。
しかしそれよりも驚くのはパチンコ屋の繁盛振りだ。撤退したスーパーの巨大な平屋の建物はパチンコ屋に改装中だった。出来上がれば見たこともない規模のパチンコ屋になるだろう。近くに大きなパチンコ屋が何軒もある。そんなにお客が来るのかと心配になる。私には謎だ。
城下町の狭い通りの由緒あるお店が郊外のスーパーに飲み込まれ、そのスーパーがパチンコ屋に飲み込まれる。まるで食物連鎖のように。ここでも最も原始的な形で競争が行われ適者生存のルールが適用されている。■