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アメリカかぶれの中間選挙雑感

2006-11-12 18:03:52 | 国際・政治

中間選挙に敗北するとブッシュ大統領は直ちにラムズフェルド国防長官の更迭を発表し、イラク戦争がうまくいっていないことを認め、ナンシー・ペロス院内総務と会談、今後民主党と協力してイラク戦争に取り組むことで一致した。市場は政府と議会多数派党が割れるのは悪いことだとは見做さず寧ろ歓迎している節がある。

更迭発表は直前までラムズフェルド氏を支持すると言ってきた従来のイラク政策を180度転換することに繋がりいささか唐突な印象を与えた。しかし、大統領は選挙民が示した民意を直ちに取り込んだ政策転換を最も分り易い形で知らしめることになり、選挙期間中にピークまで上昇した不満をいなし具体的施策を打ち出すまでの時間稼ぎに成功した。

国防長官更迭は、安倍氏が首相就任後電光石火で中韓を訪問したのと同じような周到に準備された意思決定のように感じる。もっとも落選した共和党議員には発表が1週間早まっていたら落選しなくて済んだという恨み節が聞こえてきそうだが。

この人事は米国の強引な外交政策が破綻した失敗と見做す報道を見かけるが、この変化は寧ろ米国政治システムが優れていることを示したという風に私には感じる。つまり誤りを素早く修正する仕組みが米国政治システムに組み込まれていると。自称「アメリカかぶれ」らしい意見といわれればその通りかもしれないが。

米国の民主主義政治が最高のものとして世界に広めようというネオコンの思想が現実を見る目を曇らせた。理想論に基づいた極端な政策が戦局悪化という現実から抜け出せず、多くの批判を招くことになった。ところが、今度は一転して反対党と協議して政策を見直すという。議員の入れ替えが来年なので共和党多数の間に肝心なことを決めるという疑いも報じられてはいるが。

米国のシステムは振り子の振れ幅が大きく近くにいる人は酷く影響を受ける。ホワイトハウスに残っているネオコンは今や副大統領だけとなった。イラク戦争に積極的にかかわった欧州首脳の多くは政権交代や死に体に追い込まれた。

対照的に日本では大きな政策転換は中々起こらない。その理由の一つは日本の官僚組織は誤りを認めず、その認識に基づいた政策転換に組織的にサボタージュする。その良い例が最近の貸金業の金利規制で金融庁が業者側に都合いい改正案を出したことだ。

米国のシステムでは政治的な決定が全てであり、決定に官僚が口を挟むことは出来ない。結果として米国の決定は極端で拙速な場合もあるが、トータルで見ると良い結果を生み出している。例えば2000年のITバブル崩壊後会計粉飾が頻発したがあっという間に世界で最も厳しい法規制が導入された。

ところが、日本ではライブドア事件などのスキャンダルが摘発されたが法的には中途半端な状態のままだ。談合は日本全土に何十年にわたり蔓延り日本文化の一部とまで言われてきた。最近の法改正で摘発が進んだといわれるが、それでも米国の談合に対する罰則に比べれば全然甘いし、官に対する追求は緩く根絶には程遠い。

中間選挙結果についていつものように民主党支持の米国の友人と意見交換した。彼の反応は今回やや冷めていた。民主党勝利で万歳かと思ったらそうではなかった。負けてもブッシュはうまく立ち回るだろうと。2004年にやるべきことをやらなかった米国選挙民が今付けを払っていると挑発的なコメントをしたが反応がなかった。

彼の思いはすでに2008年大統領選に移っており、共和党がより中道の候補者を出し民主党が党内を一つに纏められないシナリオが彼の恐れだった。意外に冷めた反応で少し驚いた。州の住宅価格はまだ6-8%上昇しているが、不動産取引が過去3年と比べ25%減と不調なのが彼の意見に微妙に影響しているかもしれない。■

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