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周回遅れの読書録14秋

2014-11-28 22:19:31 | 本と雑誌
古本屋で安く入手可能な本を紹介する「周回遅れの読書録」を3ヵ月おきの連載から、もっと頻度を上げて1冊でもいい本を見つけたら読書録を投稿することにします。理由はこのサイトの文字数制限があることと、本の紹介は良ければ早くすべきだと考え直したからです。

さて最初に読書をお勧めする本は「日本の技術が危ない」(Wファイナン)です。本を読んで私の頭の中はこの本が出版された頃から変わっていない、つまり進歩していないことに気が付いた。20年前にその後日本企業が直面することになった問題を指摘している。
当時その現場で仕事をしていた私にも責任の一端を感じた。それ以来何の進歩もない私と苦難の道を歩いた同僚たちを思い出し読んで胸が痛くなった。

次にお勧めするのが「グローバル金融攻防三十年」(太田康夫)です。グローバリゼーションからリーマンショックまで金融の側面から世界経済の変遷を描いたもので、形を変えて繰り返す危機が実は同じ文脈の上で起こっていることを網羅的に教えてくれる。私のような門外漢には教科書的だが本質に迫る内容です。

(3.0-)日本の技術が危ない Wファイナン 1994 日本経済新聞 バブル崩壊後低迷が続く日本のエレクトロ二クス産業が抱える構造的な問題を教育から技術・経営者の文化など指摘し、その処方箋としてハードリストラ・組織改革・エンジニアリングカルチャーを提案したもの。20年後の現代日本の本質的な問題を的確に予測し、いまだに克服できてない状況にあるのに驚くばかりである。

(3.0)グローバル金融攻防三十年 太田康夫 2010 日本経済新聞 サッチャーのビッグバンから始まった金融再編が、米国の規制緩和やグローバリゼーションに欧州統合とユーロ導入の環境下で加速され、金融機関が州・国や業界(銀行・投資・保険)を乗り越えて統合が進み金融危機が起こった現代史を網羅した佳作。サブプライムとギリシャ危機を同じ文脈の中で捉える見方は新鮮で著者の深い洞察力を感じさせられる。

(2.0)(図)なぜ、1%が金持ちで、99%が貧乏になるのか? Pストーカー 2012 作品社 古代の通貨発祥からリーマンショック後の世界信用危機まで金融の歴史を辿ったものだが、センセーショナルな書名から期待される内容は殆どどこにもない。真面目で決して悪くない内容なのだが、出版社の売らんかなという姿勢が丸見えの内容に馴染まない題名が読者を混乱させ本書を貶めているように感じる。

(2.0-)グローバル通貨投資のすべて 藤田勉 2012 東京経済 通貨の歴史と変遷から始め、30ヶ国の政治経済を反映した為替状況と予測している。内容はファクトの羅列で新味に欠けるが、最後に通貨投資の初心者向けのイロハを説いた内容が基本に沿ったもので、私の投資方針に近く納得できるものだったので後味が良かった。

(2.5-)アメリカは日本経済の復活を知っている 浜田宏一 2013 講談社 今を時めくアベノミクス精神的支柱の著者が日銀の無策がデフレと円高を放置したと非難、特に白河前日銀総裁を個人攻撃とも思える程に酷評。日銀の仕事はデフレ脱却を目指してインフレターゲットを設定し、金融緩和を断行せよと説く。返す刀で日本のメディアを滅多切り。著者の米国の著名な経済学者との交友に比べ、日本人経済学者の友達の少なさがとても興味深い。

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。

  :「古本屋で手に入れた本
 図: 図書館で借りた本
 新: 「定価」で買った本

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