夏が終わり、読書欲が戻った。それと先月バドミントン練習中に怪我をして歩けなくなり殆ど外出できなくなったので、自然と本を読むようになった。お陰で連続した読書の時間ができたのでやや難解な本も集中して短時間に読めた。
その中で「考える技術」、「ウィナー・テーク・オール」、「ネオコンの論理」、「タリバン」を勧めたい。期待外れも結構あった。癪なので、独断で私なりの書評をつけてみた(殆どは100円で買った古本の書評というのも気が引けるけど)。
[書評]時間をかけて読む価値があるか否か、知識を得るという個人的視点での評価
(0):読む価値なし (1):他になければ読めば!(2):読んで損は無い
(3):お勧め、得るもの多い (4):名著です (5):人生観が変わった
(1)いばるな上司 堀田力 1998 講談社
(2)壁を破って進め(上下)堀田力 1999 講談社
ロッキード事件の検察側主役、米国関係者から証言を得る経緯が面白い
(3)シマゲジ風雲録 島桂次 1995 文芸春秋
古きよき時代の政治記者魂、記者と政治家の関係が興味深い
(2)ゼネコン自壊 高橋篤史 2002 講談社
バブル崩壊後も延々と続く泥沼、人間はどうしてこんなに欲深くなれるかと、読んでいて恥かしくなる
(2)MBA式勉強法 Mウィッツエル 2000 東洋経済
経営に関わらずデータマネジメントの手法は参考になる
(1)ゼロからのMBA 佐藤智恵 2003 新潮社 申請準備手順は役に立つ
(3)考える技術 大前研一 2004 講談社
コンサルをやる上で著者の手法は大変参考になる
(0)粉飾決算の見抜き方 吉田博文 2003 東洋経済
(2)アーサーアンダーセン消滅の軌跡 SEスクワイア他 2003 トップマネジメント教育叢書(シュプリンガーフェアクラークKK)
会計部門が独立したのに、業績維持のため経営コンサルを再度取り込みスキャンダルの道を歩む矛盾
(3)ウィナー・テーク・オール Rフランク・Pクック1998 日本経済新聞 一人勝ちの起こるロジックは簡単過ぎるかもしれないが、良く出来ている
(1)敗者の復活 Dトランプ 1999 日経BP NY不動産王 成功者の分類は面白い
(1)ザエクセレントカンパニー 高杉良 2003 毎日新聞
「まるちゃんラーメン」がモデル、そういえばアメリカのスーパーにはまるちゃんが溢れていた。
(0)資本主義は何処へ行く 佐和隆光 2002 NTT出版
(2)日本経済の論点 2004 ダイアモンド社
意見の違う著者を網羅、少なくとも何が問題で争点になっているか整理されて分かる
(2)平成三十年(上下)堺屋太一 2002 朝日新聞 遅すぎた「改革」がテーマ
(1)米百俵 山本有三 1975 長岡市
(2)歴史に転換点で考える 高坂正明、香西泰 1994 講談社
(2)チャイナインパクト 大前研一 2002年 講談社 中国の見方はユニークで一見の価値
(2)産経が変えた風 2001 産経新聞 北朝鮮拉致をしつこく追及し事件にした、朝日新聞批判は痛烈
(0)財務官 須田慎一郎 2005 詳伝社
(3)アメリカの戦争 田久保忠衛 2003 恒文社
米国外交の外向き(理想主義)と内向き( )のサイクルと時々の日米外交の関わりが整理されている
(3.5)ネオコンの論理 Rケーガン 2003 光文社
ブッシュ政権の論理的支柱であるネオコンは米国の圧倒的軍事力を前提とする思想であり、同じ軍事力思のない欧州は米国の軍事力の恩恵を受けながら自らは軍事力を用いない解決策を求めるようになると理論展開している。ベストセラーになったそうで、なかなか説得力がある。
(0)アメリカの本音 日高義樹 2004 徳間書店 米国べったりの粗雑な日本版ネオコン論
(1)ほんとうのアフガニスタン 中村哲 2002 光文社 内側に入り込むとタリバンも見方
(3)タリバン Aラシッド 2000 講談社
この本がまさか100円で手に入るとは思わなかった。ソ連撤退から9/11直前までのアフガンおよび近隣諸国との関係の推移が分かる。著者はパキスタン人ジャーナリスト。9/11後多くの人がこぞって読んだといわれる。
(2)オサマ・ビンラディン Eランドー 2001 竹書房
(1)タイムシフティング Sレクトシャッフェン 1997 NHK出版
(2)巨泉2 実践・日本脱出 大橋巨泉 2003 講談社
内容に新味はそれほど無いが、老後生活はNZがベストという点で意見一致。
(1)イルカ物語 藤原幸一 1992 データハウス
(1) 日本の世界遺産 塙ちと 2001 小学館 ■
ラシッド『タリバン』を教えて頂きました。ありがとうございます。田久保氏の『アメリカの戦争』も興味が惹かれました。
このような書評がブログで紹介されますことは、大変に意義あることであると思います。真摯なご姿勢でこのようにご紹介をされますことは、日本のオン・ライン文化の魁の役割をお果たしになっておられるものと確信致しております。これからもますますご活躍頂きます事、心よりお祈り申し上げております。
佐和、日高両氏の著作の評価について一言説明させてください。
両氏が著名な経済学者とジャーナリストでありタイムリーな題名とあわせ事前の期待値は高かったので、私の評価が必要以上に厳しくなったかもしれません。
「資本主義は何処へ行く」というタイトルから想像するのは冷戦終結後グローバリゼーションの進展とその将来を解き明かすという世界的テーマです。いわば世界中からトップゴルファーが参加するPGAツアーで生き残るような大変なことであり、それが出来なかったということです。それを配慮すればもっと良い評価をつけても良かったかもしれません。このテーマを初めて読む人には十分意味があるでしょう。
一方、「アメリカの本音」は全く評価しません。著者の主張の根拠の殆どは現在進行中のCIA漏洩事件で最初に暴露記事を書いたタカ派ジャーナリストのノバック氏と、最早忘れられた存在のキッシンジャー氏の引用だけです。これがアメリカの本音というのは相当に無理があります。それが粗雑といった理由です。著者の限られた人脈は20年前から途切れてしまったかのようで、本書のクレディビリティを傷つけています。■