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コロナが教えてくれたこと

2021-04-12 18:44:21 | 国際・政治
先週、最初の緊急事態宣言発令後1年が経過し、日本経済新聞は7日「日本統治機構の弱点が浮き彫りに」と総括した。「ディジタル化の遅れや国と地方の曖昧な責任と権限、既得権が臨機応変な対応を妨げ、政治主導の動きも鈍かった」との評価は妥当だが、具体的な切り込み不足と感じた。

報道は総じて日本の取り組み全体を地球規模で見て評価する姿勢が足りず、将来の疫病に備えた適切な対応が出来ない恐れがある。例によって天邪鬼な「緊急事態宣言1年の教訓」を紹介したい。ポイントは上記日本経済新聞の記事と同じだが、何故こうなったか私なりに深堀してみたい。

(0)コロナお蔭で日本の寿命が延びた
昨年のコロナ感染による死亡者数は1673人だった一方、インフルエンザの死亡数が前年の3281人から941人に激減し、トータルすると死者数が減った。コロナ禍で平均寿命が延びたのは世界的に驚くべき結果であり、何を基準にコロナ対策を立てるべきか基本に戻れというメッセージだ。

政府の施策が一貫性に欠けていると感じる場合もある。が、かつてない危機への対応が試行錯誤になるのはやむを得ない。先進各国も試行錯誤の連続でコロナ発生から全て順調に対応した国はない。最も重要な目標は「死者を減らすこと」であり、個々の巧拙を声高に主張して大筋を誤るべきではない。

(1)コロナ対応しない医者の既得権益はびくともしなかった
新型コロナウィルスの感染が始まった時から「医療崩壊を防ぐ」と言いながら医療システムは1年経っても殆ど強化されてない。医療分科会は何をしたのか。病床等施設は増えずオンライン診療や電子カルテは進まず、感染の通知は未だにファックスが使われている部署がある。

新聞テレビ等のマスコミは政府の対応は非難するが、医療関係者の対応の遅れ(私は傍観と思う)には目をつぶる傾向が強い。極少数の医療関係者が必死でコロナ対応するのを称賛するが全体では放置、マスコミに登場する医療専門家はコロナ対応しない身内の医者の既得権益に対して異常に甘い。

コロナ対応しない大多数の医療システムには、民間病院が多い日本特有の問題が指摘されている。だが、病院の経営問題を理由にして放置するなら、時短営業で倒産した飲食店や失職した従業員が何十万もいることを忘れ手はならない。適切な手を打った自治体もあるから、放置した責任は大きい。

マスコミは都合のいい時には海外の事例を持ち出すが、逆に日本ほど身勝手なコロナ医療対応を許した先進国はないことを強く指摘すべきだ。更には介護施設の3割は職員のPCR検査すら拒否し、施設内の高齢者の大量感染が発生したなどと聞くと最早犯罪行為のように聞こえる。

(2)大甘の緊急事態宣言、強制化は議論しない謎
最初に前提として述べた様に、海外に比べれば日本の感染者数・死者数は圧倒的に少ないが、日本では緊急事態宣言の早期発動や延期の声がよく聞かれる。だが、緊急事態宣言に諸外国と同じ強制力を持たせよという声はない。政府も自治体も今一歯切れが悪い。現状では法的裏付けがない。

戦時の日本の軍国主義の悪夢が残っていると推測する。私は戦後生まれの高齢者だが、戦後日本独自の平和主義の残滓を感じる。日本以外のどの国も緊急事態宣言下では、政府に強制力を持たせ実力で飲食店や医療システムを規制し、個人の行動の自由を縛った。お願いベースは日本だけだ。

ここからは私の持論だ。現在も続く中国や北朝鮮の軍事的脅威に対して、日本が自らを守る意思を見せない限り同盟国は助けてくれない。東日本大震災時の米国の支援も自衛隊が発動して初めて動いた。沖縄の米軍基地のあり方も我が国が防衛をどう考えるかなくては議論にもならない。

私には非常事態時の政府の強制力も、自国防衛の為の軍事行動も、同じ線上で国民には忌避間があると感じる。正直言うと私自身必ずしも明確な考えはない。だが、後期高齢者に近づき孫子の時代を考える様になった。自らを守る気のない人や国を誰も助けてくれない。息子や孫を感染或いは命の危機に晒す大義を思う。となれば強制力を持って対処すべきとの声も分からなくはない。

日本はこの曖昧な矛盾の中で「真面目な国民性」で対応し死者数を減らした。政府と自治体や医療システムとの間で玉突きしながら対応した成果だ。ちょっと乱暴だが、武漢発コロナも中国の民主主義危機も、対処の考え方は同じように感じる。歯切れの悪い意見ですが、これが日本です。■
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