かぶれの世界(新)

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つねるのは認知症の症状だった

2012-10-24 11:15:17 | 健康・病気

母の症状が良くなってきたとの私の感触は最近何度か書いた。以前は私を見かけると言葉を交わす間もなく、母は「何しに来た、帰れ」とか「馬鹿」とか悪態をつくことが多かった。話しかけてもそっぽを向いたり、突然私の腕をつねったりすることもあった。

もっと深刻な症状として、飲み込みが上手く出来ない(誤嚥)、毛糸の服の毛ダマリや活け花を口に入れる(異食)、他人の食事に手を出す、と施設の介護担当から報告を受けていた。後から調べるとこれらは典型的な認知症の症状だった。私は認知症の症状といえば記憶があやふやになり物忘れが酷くなるだけだと思っていた。

かなり症状が進んでも母が認知症と認めたくない気持ちが私にはあった。というのも母が長年糖尿病に苦しんだ末に、食欲を抑えきれなくなった母を非難し思いやりのある態度を取らなかったという後悔がある。時々隠れて堰が切れたように甘いものを口にして血糖値が跳ね上がった時、病気だと知らないで自分を制御できない母に嘲りに近い言葉で厳しくいさめた。

それが母の心に傷として残って、私を嫌い「帰れ」というのだろうと思っていた。決して認知症だけのせいではないと。いつもならネットで調べて認知症に関る情報を仕込んで対処したはずだが、多分私のバランスを欠いた気持ちがそうさせなかったのだと想像する。

2日前に始まった日経の連載記事の中に「認知症特有の症状でつねられたり、つばを吐きかけたりする」というくだりを読んで、私のひっかかりが少しばかり解消した。日本には305万人の認知症患者がおり、その1/10が高齢者だというから母が例外と思う必要はなかった。私も10人に1人になる可能性はある。

翌日施設に行き担当看護婦に最近つねられなくなったというと、彼女もそうだという。母は看護婦もつねっていた。つねられたのは私だけではなかったのを知って少しホッとした。彼女は続けて以前は話しかけてもそっぽを向かれたが、最近はそれもなくなったという。認知症の改善というより施設や人に慣れてきたからだろうと分析した。いずれにしても私が感じているように、彼女も症状はかなり良くなっていると感じているようだった。

母は穏やかな表情に戻り、会話も続くようになった。庭や畑の手入れでは彼女の記憶がとても役に立つ。一方で、話をしている間に机の上の小さなゴミを口に入れる異食は続いている。ネットで調べると心当たりのある症状が出ている。しかし、母が私を憎んでいるのではという疑いは少し晴れて気持ちが軽くなった。■

コメント
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