かぶれの世界(新)

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介護録09夏(3)

2009-08-23 15:56:37 | 日記・エッセイ・コラム

一昨日の夕方、東屋でホームパーティの準備をしていると電話が鳴った。いつもお世話になっている介護ヘルパーの責任者の方からだった。夕方の母の血糖値が531と急上昇したという報告と、医者に連絡すべきかどうか私に問う内容だった。即入院を指示される血糖値だ。

前日に東京から来た家族と内子町の古い町並みや道後温泉を観光して、小一時間前に帰宅したところだった。いつもヘルパーさんが記入してくれる血糖値ボードが231となっており、その日掛かり付け医に診て貰った母に結果を聞いて何も無かったことを確認していた。

直ぐに母がボードを改竄したと経験で分かった。心当たりがなくもなかった。冷蔵庫を覗くと果たして隣のオバサンに前日頂いたスイカが消えていた。大き目のスイカの1/6程度で大人でも食べきれない量だ。追っかけて、仏壇に供えていたお土産のバームクーヘンが1箱なくなっている、破いた箱が目立たない奥の部屋のゴミ箱に捨ててあったのを家内が見つけた。

食いも食ったりだ。それでは血糖値がスパイク的上昇しても当然だ。心配してくれたヘルパーさんに折り返し電話し、事情を話した。現在の母の様子に特に異常は感じられないので、様子を見て翌日も血糖値が高止まりするようなら医者に連れて行くと連絡した。

そして、昨日の血糖値は200台に下がり、今朝は11まで低下した。ホッとした。この突然の騒ぎで、家族全員が母の糖尿病の自宅介護が如何に難しいか、好きな物も食べられない母が可愛そうというような安易な気持ちでは取り組めないこと、実体験してくれたのが救いだ。

実は、同じ日の昼過ぎに、義母が入所している松山市の郊外の施設に、先月結婚した長男夫妻を紹介に行ったばかりだった。彼女は数えで90歳になり寝たきりで、1年前に見たときより衰弱し目は殆ど見えず、身体は細くなっていた。最初は話するのも覚束無いように見えた。

しかし、意識はしっかりしていた。娘の家内の声だけは直ぐ認識できたが、他の人達が誰かは分からなかった。だが家内が説明すると直ぐ事情を飲み込み、新郎新婦を祝福し我々の訪問を喜んでくれた。もう90になり、やりたいことはやったという満足感を口にした。

実母は糖尿に悩み食欲の衝動を抑制できず、周りから抑えつけられているという気持ちが後ろ向きにさせていると思う。食欲を抑えらないこと、それを心配する私や関係の人達があれやこれや言うのを聞いて、母の性格では自らが悪いことをしているように感じ、ますます内にこもって来た。

積極的に会話にも入って来なくなったのは悲しい。義母のようにもっと朗らかに悔いのない一生だったと思って欲しいのだが、正直のところ私もどうして良いのか分からない。家の手入れや家事から冠婚葬祭まで、分かりきったことまで母の意見を聞き会話するようにしている。今年の夏も乗り切れそうなだけで感謝すべきなのかも知れない。もう直ぐ東京に戻る時が来た。■

コメント
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