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自民党マニフェスト考

2009-08-04 22:53:58 | 国際・政治

民主党に続き、自民党のマニフェストが発表された。両党並びに地方政界、経済団体、労働者側からの詳細な評価をメディアは報じた。後出しじゃんけんと揶揄されるが、民主党のマニフェストを十分比較検討した結果を反映した内容になっているように感じる。

特に、民主党マニフェストでは日本丸をどこに向かって舵取りしていくのか、成長戦略や外交・安全保障が明確ではない。舵取りだけではない、船を推進するエンジンをどうするのか、燃料をどう確保するのか、私には行き先不明の船に乗るような不安がある。

自民党のマニフェストはこの不安に答えようとしている。さすがに長く政権を担当してきて国家を運営する責任感のようなものを感じる。だが、乗組員に対する配慮はドロナワ式の政策という感じは否めない。何もしなかったのに、今頃よく言うよ、という感じだ。

一方、民主党のマニフェストの特徴は、日本丸の船内のアメニティ(住み心地)だ。部屋の公平な割り当てや船内食の改善など民主党の目線が生活者に近く、概して評価が高い。財源の問題は否定できないが、今の官僚制度では財源云々と言ってもしょうがないと思う。だが、目線の違いが受益者に確実に公約が届く決意の程を感じる。

正直言うと、私は自民党のマニフェストについての議論をこれ以上やっても意味が無いと虚しく感じる。自民党のマニフェストの内容もさることながら、彼らの問題は国民に信用されていない「信頼感の欠如」(credibility gap)に気付いてないことだ。

前回の総選挙で郵政民営化を国民に問い圧勝して以来、民意を問うことなく民営化反対議員を復党させ、徐々に改革姿勢を後退させ、麻生首相は終いに「本当は反対だった」と言った。公務員制度改革は骨抜きにし、天下りの問題も殆ど具体的進展を見ていない。

こんな政党のマニフェストなど何が書いてあっても信用できない、と感じる国民が多いのではないだろうか。従来の支持基盤にプラスしてこの「信用できない層」が数%であっても、選挙結果を左右する決定的な影響を与えるというのが、今回の総選挙に対する私の見方だ。

従って、自民党のマニフェストについては、評価以前の問題をしっかりすべきだと考える。それは過去4年の総括、公務員制度など構造改革の再評価、総裁選のあり方の見直しを行うことだ。「信頼の回復」抜きにして、マニフェストの良し悪しなどチャンチャラおかしいということだ。

今回、解散から総選挙まで40日という異例の長さというが、政策の検証や候補者の適性確認等の為には決して長すぎるとは思えない。選挙に風が吹き、ムードで突っ走って一気に決着するのでは、日本の民意は何時までたっても成熟しない。

幸い、今回は年金や高齢者医療費問題だけでなく将来世代に対する配慮が、両党共に政権公約で示された。今後、選挙戦を通じて違いを際立たせるだけでなく、共通点をお互いに合意して選挙後速やかに実施するといった、前向きな対応が国民を幸せにする。メディアもたまにはこういう役割を果たしたらどうか。■

コメント
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