被害は軽微から世界最悪へ、Why?
10-12月期の実質国内総生産(GDP)の速報値が発表され、前期比3.3%、年換算12.7%の大幅下落になったと報じられた。昨年9月リーマンショックで世界経済同時不況が進行する中、日本経済への影響は短期かつ軽微といわれたが、実態は急速に悪化したことが明らかになった。
しかし、10~12月期の米国の実質成長率は年率3.8%減、ユーロ圏(16カ国平均)は同5.7%減なのに対し、韓国の20.8%に次ぐ急落で、日本経済の不振ぶりが際立っている。ババ抜きで気がついたらジョーカーが手元にあった感じだ。サブプライムも住宅バブルも無い日本が何故こんなに酷いことになってしまったのか。
このところずっと考えていたがあまり明確な答えが見当たらない。とても結論は得られそうもないが、ここでは何故日本がババを掴んだか考え得る要因を推測して議論してみたい。それは又、fisherさんのコメントに対する答えになるかもしれないという期待もある。
推定原因1: 輸出型経済と内需不足
先ずは、日本経済が外需依存体質から抜け切れなかった、換言すれば、内需拡大を図ってこなかった付けが回ってきたというものだ。この要因分析は最も一般的で、テレビ等のメディアで繰り返し報じられている。多分これが最も一般的な解釈であろう。
数字から見るとGDP急落の一因は、輸出産業の不調が足を引っ張ったのは間違いない。内閣府のデータによればGDP成長率の実質寄与度は、内需0.3%、外需3.0%(前期比)と明確である。中でも自動車産業の需要が垂直に急落したといわれる。10月6.8%減、11月20.4%減、12月は25.2%減になり、減産計画を何度も作り直す事態になったという(ロイター2/16)。
デジタル家電の輸出も同じように深刻な状況だと報じられており、ソニー、パナソニック、日立など日本を代表する電機産業も、相次いで3月期決算で巨額な赤字見込みと発表した。ITバブル崩壊後、日本経済再建に貢献してきたグローバル企業が軒並み深刻な需要不足に直面している。
小泉竹中改革が背景か
遡ってこの根本原因を探ると、小泉竹中改革は日本を輸出型経済に移行させた。この国際競争力の強化を目指した経済システムは、一方で、雇用安定や社会保障への信頼崩壊を国民に強い内需を弱めた、というのが主要なメディアの論調であるようだ。
このような状況認識に立てば、必然的に下記の様な施策の提言が出て来る。これはネットで見つけた提言(原典が不明で申し訳ありません)で、大方の意見を代表していると思われるので、そのまま引用させて頂きます。
「過度に国際競争を強調して国民勤労者の分配率を下げるのではなく国民全体に広く平等に富の分配を行い、国民勤労者の消費購買力を高め内需を主導とした経済に構造を変えていくことが、高齢者社会を持続可能とする唯一の方策ではないだろうか。」
見逃せない為替ファクター
何も輸出立国は日本だけではない。日本経済より輸出比率の高い国はある。例えばドイツは最近まで最大の輸出国だった(現在は中国)が、GDP成長率は8.2%減だった。日本ほど酷くない理由は明確で、域内貿易比率が高く、ユーロ為替レートが急落したからである。
日本経済の不振は海外需要減と円高のダブルパンチを食らったからだ。トヨタやソニーの為替差損は損失の3-4割に達する。彼等は好況時の世界戦略の一環として投資拡大し、固定費を一挙に増やした最悪の時点での突然の景気悪化だった。
他のどの国も日本ほど酷いダブルパンチを食らってない理由といえば、日本の1500兆円の個人資産の威力とでも言えばいいのだろうか。大騒ぎしている火元の米国でも円以外に対してはドル高が進んだが、GDP成長率は意外にも年率換算で3.8%しか落ち込んでいない。
それは、もしかしたら、日本企業の高品質高価格商品戦略の世界展開の落とし穴か、良くても頚木(くびき)とでもいえるものかもしれないと思う。
山高ければ谷深し
グローバリゼーションに最も適応し米国に続き最大の利益を上げていたのが日本であることの議論が無いのは、致命的なミスリードだと私は思う。その方程式が崩れれば、結果として最大のインパクトを受けるのも当然のことであったのではないか。
この国は先の大戦であれほど他国を蹂躙したにもかかわらず、被害者的発想しか持てないという病癖を抱えている。自らを見つめてたたずまいを直すことがとても苦手な国だ。今回も米国発の市場原理主義と避難するが、そこから巨額の利益を上げていたことは一言も言わない。
グローバリゼーションから利益を得たのは一部の巨大企業だけというが、自動車産業の苦境が零細企業まで支えていたことが明らかになった。一方、時に弱者を装いながら、弱者が得ている既得権利を主張する常套手段が、実は全体の足を引っ張る傾向が見られるのは、一次産業やサービス産業で長く見慣れた構図だ。短期的な痛み止めに留まらず、それが薬漬けになっている。
インパクトを受けた領域だけでなく、光と影の両方を見て全体像を見失うことなく問題を把握する広角度のバランスの取れた視点が求められる。(続く)■