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オバマの目指すもの(7)Grace Period

2009-02-12 22:25:43 | 国際・政治

オバマ大統領は就任後もケネディ以来の高支持率を保っている。ギャラップ調査によれば就任3日後の支持率は68%で、戦後ではケネディの72%に続く高い支持率だったという。しかし、この時期の高支持率は成果に基づくものでないことは言うまでもない。

メディアは大統領就任後最初の100日は批判を控え見守る習慣があるという。この期間をgrace period(猶予期間)といい、私が米国で働いたときビジネスの世界でも時々耳にした。余談だが、私の場合は散々で半年後に業績悪化を心配する本社の監査役や担当役員の訪問が相次いだ。

雑誌タイム(1/22)によればこの100日は試行錯誤的な時期で、就任後知りえた状況によって選挙戦時の公約を見直し、公約の何を残し何を捨てるか猶予時間を与えるのだという。

しかし、それは報道の世界だけのことである。1月20日のNY市場ダウ平均は332ドル下落し、8000ドルを割って7949ドルとなった。下落率は4%、歴代の大統領就任日として史上最大の下げとなった。ペンシルベニア通りの熱狂も、ウォール街の厳しい現実で凍りついた。

市場には、猶予期間などというものはないという現実が突きつけられた格好となった。

その後、新政権の景気刺激策を期待して株価は徐々に回復して来たが、よりによって景気刺激策が議会の上下両院の合意に近づいた一昨日、ガイトナー財務長官が金融安定化策の発表を始めると、NY市場は急速に値を下げた。不良資産買取りの具体的な施策が明確でなく、市場は失望したのだ。

その結果は、前日比382ドルという大統領就任以来最大の下げで、就任時のダウ平均を割り込み昨11月以来の7552ドルまで下落した。短期間ではあるが、オバマが大統領が就任時と比べ株価の下落は、少なくとも先行き半年は想定したより経済が悪くなると評価したことになる。

株価は先行き半年の経済を予測するリアルタイムの世論調査結果か、もしくは年金など機関投資家が巨額の資本を投資するか否かの極めて真剣な投票と見なすことが出来る。一方、大統領の支持率はもっと中長期の視点で大統領への信頼や期待が含まれている。

世論調査でも、景気刺激策や金融安定化策の政策面での支持が低下しつつあるが、オバマ大統領個人に対する支持は依然極めて高く推移している(参照 Pew Research Center http://pewresearch.org/pubs/1109/poll-stimulus-support-slips-obama-still-very-popular )。100日経つと、つまり4月には、政策と大統領個人の支持の相関関係がどう推移するか注目したい。■

コメント (2)
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