私のクリスマス・イブの午前中は年賀状作りに費やした。例によって来年の予測を整理して葉書にまとめプリンターに打ち出し郵便局に持ってくとお休みだった。気合入れて作って窓口の人にしっかり頼もうと持ったのに、何となく気が抜けた。
ついでにといって、母が日ごろのお付き合いの方にお歳暮の注文して来いとか、年末売り出しの目玉商品を買って来いとか頼まれ雑用で忙しかった。普通の夕食をして書斎に戻りメールやインターネット検索し、お決まりのウィスキー。クリスマス・イブなんて関係ない。
インターネットを見ていてふと気が付くと、クリスマスにはブッシュ・ド・ノエルらしい。何のことか最初は分からなかった。薪の形をしたケーキで、貧しい青年が薪の一束をクリスマスに恋人に贈ったことが名前の由来らしい。そんなロマンチックな気持ちなどとっくに無くした私は、コレステロールを気にしてきっと生クリームを避けて食べると思う。
どんなものか辻製菓専門学校のHPでレシピを調べた。滅茶苦茶手間隙がかかる。こういうものを作る人はいったいどういう人か、商売じゃなくて一生懸命作る人はいったい何を考えて作るんだろうと。またもや実利で考える。食べる人にはどうせ分からないかもと思う。
もうすっかりこういう世界とは縁がなくなった。と言うか、そういう感性を失ったかと思うと、少しばかり寂しい。しかし、年に一度くらいは感傷的になるのもいいだろう、特に今年は。ケーキのこと考えていたら、「年越しそばを買ってこい」という母の声が居間から聞こえて目が覚めた。■