かぶれの世界(新)

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中国経済減速の予感

2005-12-13 18:22:26 | 国際・政治
私は“05大胆予測”で中国経済成長率を加熱抑制策が効果を挙げて8.5%程度に下がると見たが9%台半ばになる見込みで見事に外れた。過剰投資、公害悪化、原油高騰、貧富差拡大、農民暴動、貿易摩擦と人民元切り上げ等など起こるべきことは全て起こったという感じなのだが、それでも前年を上回る成長を遂げた。理由はただ一つである。

私の予想は1年ずれたけれども中国経済は来年かなり高い確度で減速すると感じている。そのシナリオを大雑把に言うと次の通りである。今年の経済成長は力強い設備投資に支えられたもので、その結果来年は中国国内外あわせてもかなりの供給過剰になるのは間違いない。その結果さすがに来年は大幅に投資が抑制され経済成長は8%前半に留まるというものである。

中国の固定資産投資は現在既にGDPの50%前後あると見られている。現在の成長を続けるためには更にこの比率を高めなければならないが、これ以上の供給能力増強は単に貿易相手国との摩擦を招くのみではないかと思われる。世界経済のたった5%しかない中国が日米を上回る世界最大の投資を続けられるのかという単純な疑問である。

従来の計画経済の延長戦から抜け出し資本主義的思考(中国経済は既に資本主義)に基づくなら、銀行はリスク管理上必ず資産投資の為の貸し出しを抑制するはずである。従って国内市場が停滞している現状では自動的に景気減速は避けられないということなのである。あるエコノミスト(MS)は最近中国の銀行と国際金融機関との提携が始まり、資本主義国では常識的な市場原理に基づく健全な投資戦略の適用が始まりそうだと報じている。

この経済成長減速は必ずしも危機と捉えなくとも良い。滅茶苦茶な生産増強、資源の無駄遣いやロジスティックスを改善し無駄を省けば8%の成長でも中国経済のモーメンタムを十分保てるだろうと専門家は見ている。市場原理に基づいた投資戦略と需給管理をやれば自然と経済は合理的になって行くはずである。中国はいよいよ資本主義経済の次なるステップに入らなければならなくなったのである。中身が問われることになる。

問題はむしろ経済より冒頭に述べた政治的なものかもしれない。このところ農民暴動は悪化をたどっている。先日の公害たれ流しと当局の隠蔽体質は中国国民の信頼を失いつつある。地方政府対農民に加え微妙なのは中央政府対軍の関係である。皮肉にも共産党政権であっても資本主義の真髄を理解して実行しないとこの転換点をしのげないのでは無いだろうか。■


コメント
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