NHK特集などの「ちゃんとしたドキュメンタリー」を見慣れていると、
マイケル・ムーアの手法はちょっと「引いてしまう」ものかもしれない。
というか、俺は一瞬そう思った。
でも、実は物事というのは新聞や報道記事に書いてあるように
フラットに起きるのではない。
誰にとっても私的に起こるものであって、
それこそが、ドキュメンタリーなのだろう。
マイケル・ムーアは、自動車会社に働いていた自分の父まで動員して
空き地になった場所に赴いてあそこには何があった、とか
言わせている。これがリアリティを呼ぶのだ。
さて、キャピタリズム。
つまり資本主義について。
アメリカは、まさに資本主義がもっとも進化した場所であるはずだが
これをみて驚愕するのは、アメリカは民主主義の国ではあるが、
資本主義の国ではなくなりつつあるのかもしれない、と思えるところだ。
アメリカは宗教的な国として有名だが、
教会の牧師たちは、口を極めて「資本主義は悪魔の手先」とまで言っていた。
金融資本と合体した最も高度資本主義が、
一体何をもたらすのか、という実験がいまアメリカで行われている、
そう考えてもいいのかも知れないのだ。
そして信じられないことに、この映画では
アメリカは社会主義(民主社会主義)の道をとってもいい、という
考え方もあるらしい。
マッカーシーのアカ狩り以来、社会主義者は物凄く侮辱的な呼称だと思っていたけど
もはやアメリカでは、民主主義の終焉と共に、社会主義という言葉が
ポツポツと出てきているようだった。
感動的だったのは、ストライキをはじめた工場での女性の発言だった。
「なにをやってもどうせうまくいかない、と思っていた私たちにとって、
(ストライキで)何かを変えられる、と大きな進歩なの」
というようなことを言っていたけど、これは非常に重みがあった。
ある意味で資本主義が覆い隠していた民主主義が、
資本主義の危機と共に、その本質をまた輝かせ始めたのかも。
以下、映画に責任はなく俺の考え。
●産業革命は大量の労働者を生み出したが、彼らは考えてはいけない、
考えないように仕事をどんどんさせられていった。
そして学校教育はそれを肯定するモノだった。
しかし情報革命以降、知的労働者は自らの考えで高効率な仕事をし、
知的に怠惰な労働者は、その場所、企業、仕事に拘束されて
時間単価の安い仕事をするしかない。
●人類の歴史上永続した制度がないことからも明らかなように、
資本主義もやがて次の体制に取って代わられるだろう。
いままでそれは想像上の話に過ぎなかったが、
21世紀は、資本主義が終演する時代になるのかも知れない。
ではポスト資本主義とは何なのか。
それは、非常に難しいつかみにくい問題だが、
気づいた人から、新しい時代に入っていける、
ウルトラクイズの飛行場での問題のように、
解けたモノだけが、新しい天地に向かえるような
そんなものであるような気がする。
とにかく、マイケル・ムーアショーといえるような
過剰でやりすぎの場面もある映画だが、
問題は、この映画を見終わった後で、
資本主義と、ポスト資本主義について
どこまで考えることができるか、が勝負となる。
非常に深みのある問題提起をもったいい映画だと思います。
ぜひご覧ください。
おすすめします。
<★★★☆☆>
予告編も見られるキャピタリズムの公式ホームページは以下です。
http://www.capitalism.jp/
マイケル・ムーアの手法はちょっと「引いてしまう」ものかもしれない。
というか、俺は一瞬そう思った。
でも、実は物事というのは新聞や報道記事に書いてあるように
フラットに起きるのではない。
誰にとっても私的に起こるものであって、
それこそが、ドキュメンタリーなのだろう。
マイケル・ムーアは、自動車会社に働いていた自分の父まで動員して
空き地になった場所に赴いてあそこには何があった、とか
言わせている。これがリアリティを呼ぶのだ。
さて、キャピタリズム。
つまり資本主義について。
アメリカは、まさに資本主義がもっとも進化した場所であるはずだが
これをみて驚愕するのは、アメリカは民主主義の国ではあるが、
資本主義の国ではなくなりつつあるのかもしれない、と思えるところだ。
アメリカは宗教的な国として有名だが、
教会の牧師たちは、口を極めて「資本主義は悪魔の手先」とまで言っていた。
金融資本と合体した最も高度資本主義が、
一体何をもたらすのか、という実験がいまアメリカで行われている、
そう考えてもいいのかも知れないのだ。
そして信じられないことに、この映画では
アメリカは社会主義(民主社会主義)の道をとってもいい、という
考え方もあるらしい。
マッカーシーのアカ狩り以来、社会主義者は物凄く侮辱的な呼称だと思っていたけど
もはやアメリカでは、民主主義の終焉と共に、社会主義という言葉が
ポツポツと出てきているようだった。
感動的だったのは、ストライキをはじめた工場での女性の発言だった。
「なにをやってもどうせうまくいかない、と思っていた私たちにとって、
(ストライキで)何かを変えられる、と大きな進歩なの」
というようなことを言っていたけど、これは非常に重みがあった。
ある意味で資本主義が覆い隠していた民主主義が、
資本主義の危機と共に、その本質をまた輝かせ始めたのかも。
以下、映画に責任はなく俺の考え。
●産業革命は大量の労働者を生み出したが、彼らは考えてはいけない、
考えないように仕事をどんどんさせられていった。
そして学校教育はそれを肯定するモノだった。
しかし情報革命以降、知的労働者は自らの考えで高効率な仕事をし、
知的に怠惰な労働者は、その場所、企業、仕事に拘束されて
時間単価の安い仕事をするしかない。
●人類の歴史上永続した制度がないことからも明らかなように、
資本主義もやがて次の体制に取って代わられるだろう。
いままでそれは想像上の話に過ぎなかったが、
21世紀は、資本主義が終演する時代になるのかも知れない。
ではポスト資本主義とは何なのか。
それは、非常に難しいつかみにくい問題だが、
気づいた人から、新しい時代に入っていける、
ウルトラクイズの飛行場での問題のように、
解けたモノだけが、新しい天地に向かえるような
そんなものであるような気がする。
とにかく、マイケル・ムーアショーといえるような
過剰でやりすぎの場面もある映画だが、
問題は、この映画を見終わった後で、
資本主義と、ポスト資本主義について
どこまで考えることができるか、が勝負となる。
非常に深みのある問題提起をもったいい映画だと思います。
ぜひご覧ください。
おすすめします。
<★★★☆☆>
予告編も見られるキャピタリズムの公式ホームページは以下です。
http://www.capitalism.jp/
スマイルBEST シッコ スタンダード・エディション [DVD]Happinet(SB)(D)このアイテムの詳細を見る |
マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人 大集合! (限定BOX) [DVD]アット・エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX [DVD]ジェネオン エンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
いのちの食べかた [DVD]紀伊國屋書店このアイテムの詳細を見る |
おいしいコーヒーの真実 [DVD]アップリンクこのアイテムの詳細を見る |
不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンこのアイテムの詳細を見る |