ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
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マイケル・ムーア監督の映画「キャピタリズム マネーは踊る」を見た

2010年02月22日 16時57分14秒 | 映画レビュー
NHK特集などの「ちゃんとしたドキュメンタリー」を見慣れていると、
マイケル・ムーアの手法はちょっと「引いてしまう」ものかもしれない。
というか、俺は一瞬そう思った。
でも、実は物事というのは新聞や報道記事に書いてあるように
フラットに起きるのではない。
誰にとっても私的に起こるものであって、
それこそが、ドキュメンタリーなのだろう。
マイケル・ムーアは、自動車会社に働いていた自分の父まで動員して
空き地になった場所に赴いてあそこには何があった、とか
言わせている。これがリアリティを呼ぶのだ。

さて、キャピタリズム。
つまり資本主義について。
アメリカは、まさに資本主義がもっとも進化した場所であるはずだが
これをみて驚愕するのは、アメリカは民主主義の国ではあるが、
資本主義の国ではなくなりつつあるのかもしれない、と思えるところだ。

アメリカは宗教的な国として有名だが、
教会の牧師たちは、口を極めて「資本主義は悪魔の手先」とまで言っていた。

金融資本と合体した最も高度資本主義が、
一体何をもたらすのか、という実験がいまアメリカで行われている、
そう考えてもいいのかも知れないのだ。

そして信じられないことに、この映画では
アメリカは社会主義(民主社会主義)の道をとってもいい、という
考え方もあるらしい。

マッカーシーのアカ狩り以来、社会主義者は物凄く侮辱的な呼称だと思っていたけど
もはやアメリカでは、民主主義の終焉と共に、社会主義という言葉が
ポツポツと出てきているようだった。


感動的だったのは、ストライキをはじめた工場での女性の発言だった。
「なにをやってもどうせうまくいかない、と思っていた私たちにとって、
(ストライキで)何かを変えられる、と大きな進歩なの」
というようなことを言っていたけど、これは非常に重みがあった。
ある意味で資本主義が覆い隠していた民主主義が、
資本主義の危機と共に、その本質をまた輝かせ始めたのかも。

以下、映画に責任はなく俺の考え。

●産業革命は大量の労働者を生み出したが、彼らは考えてはいけない、
考えないように仕事をどんどんさせられていった。
そして学校教育はそれを肯定するモノだった。
しかし情報革命以降、知的労働者は自らの考えで高効率な仕事をし、
知的に怠惰な労働者は、その場所、企業、仕事に拘束されて
時間単価の安い仕事をするしかない。

●人類の歴史上永続した制度がないことからも明らかなように、
資本主義もやがて次の体制に取って代わられるだろう。
いままでそれは想像上の話に過ぎなかったが、
21世紀は、資本主義が終演する時代になるのかも知れない。
ではポスト資本主義とは何なのか。
それは、非常に難しいつかみにくい問題だが、
気づいた人から、新しい時代に入っていける、
ウルトラクイズの飛行場での問題のように、
解けたモノだけが、新しい天地に向かえるような
そんなものであるような気がする。

とにかく、マイケル・ムーアショーといえるような
過剰でやりすぎの場面もある映画だが、
問題は、この映画を見終わった後で、
資本主義と、ポスト資本主義について
どこまで考えることができるか、が勝負となる。
非常に深みのある問題提起をもったいい映画だと思います。

ぜひご覧ください。
おすすめします。

<★★★☆☆>

予告編も見られるキャピタリズムの公式ホームページは以下です。
http://www.capitalism.jp/


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