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kan-haruの日記

大森町界隈あれこれ 昭和戦後史 第3編 我等の生活談義 第3回

2007年08月22日 | 大森町界隈あれこれ 戦後史
kan-haru blog 2007

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戦後の食料難と労働運動
敗戦の食料不足と、インフレによる物価の高騰での生活苦には、国民は当然ながら労働運動に参加し激化しました。
日本では戦争中から食料品を始め、殆どの品物が配給制となっていました。これは、戦争で若い青年が戦場へ動員され、労働力が不足し生産能力が足りなくなり、空襲によって工場、輸送機関が破壊され、肥料や農機具も不足していたからです。
そこへ、戦地に行っていた人約350万人、外地にいた人約300万人が帰国し、1割近く人口が増えました。

おまけに、1945年の米の収穫は平年の2/3の4千万トンしか穫れず、大変な食料難で配給される食料だけでは餓死してしまうので、闇と言う配給以外のルートで品物を買うことでしのいでいたのです。農家は配給に回す品物を、出来るだけ闇ルートに回す事になり、配給食糧はますます不足となります。
闇で品物を買うのですから、当然高くなり大変なインフレーションになりました。
終戦直後の主食の配給品に、煮ても軟らかくならない甘藷や芋がら、小麦フスマなどが米の代わりに配られたような酷い時代でもありました。
そこで、米国はガリオア資金を日本に貸与し、アメリカで余剰食料品を買い、小麦粉・とうもろこし粉などが主体で米の代わりに配給になりましたが、当時は砂糖やトマト缶ジュースなども米の代わりでした。

サラリーマンの給料は毎月賃上げと言うわけにはいきません。一方物価は毎日のように上がっていきます。闇で食料を買おうとしてもお金がありません。農家ではお金を貰っても、お金の値打ちがどんどん下がるので、代わりの品物を要求します。そこで今まで持っていた着物を持って行き食料を分けて貰いました。1枚づつ着物がはがされていく事から竹の子生活と言いました。

マッカーサーの施政改革として、東久邇終戦処理内閣から引き継いだ幣原首相と会見し、改革指令を出しました。一つは労働組合の奨励であり、又共産党員等政治犯の釈放もあり投獄されていた共産党の指導者が一斉に釈放されました。
それにより労働組合の結成が相次ぎ、10月には各地でストライキが始まり、その要求は賃上げの要求で2倍から5倍という激しいものでした。
会社側ではストライキに対してロックアウトで対抗し、組合員が会社へ入ることを禁止し、ロックアウト期間は賃金を支払わないというものです。そこで組合側は実力で会社に押し入り、経営者の入場を阻止し、かってに会社の機械や原料を使って操業しました。これを組合による生産管理といいます。

1946年4月19日の米寄こせデモでは30万人が参加し、その一部は首相官邸になだれ込み、その鎮圧に占領軍は装甲車を出すほどでした。余りにも行きすぎた闘争にマッカーサーは、集団暴動と呼び警告を発し、6月に政府は「生産管理は正当な争議行動と認めない」と声明を出しました。


若山武義氏の戦後史手記(1946年記述) 我等の生活談義 第3回

インフレその2
そこで今度は、政府の公定価格がどれだけ低物価政策に、机上に於て努力しても、其の丸公さえインフレの波に引きずられ、下表の騰貴である。

   ○ 昭和十二年七月日華事変勃発の頃を基準とす



上表の如く丸公さえ、主食の平均十割、生鮮食料の四十割から百割の暴騰である。これに対し、我々勤労階級の待遇は如何程改善されしや、兎の疾走に亀である。故に其の苦痛、生きんが為の言語に絶する。敗戦後インフレは当然でるとは雖も、全く寝ては夢、さめては現実に米櫃のカラカラ不足に泣くのが腹にこたえる。茲に当然、待遇改善に、賃金棒給値上げに結束して要求せざるを得ぬ破目となった。

戦争中は総てなにもかにも弾圧されてきた。敗戦と共に一挙に民主主義、祖国再建は我々勤労者の双肩にあり、天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず、人間は総て能力に於て平等に生活する権利あり、と、茲に
  闘争だ、争議だ、生管だ、
しののめのストライキと、あの手この手の戦術でやっと増給が三倍か五倍である。それでも、一先ず安心と、息つく束の間もあらばこそ、この兔はひるねをせぬ、却って二足も三足も飛躍して、亀さんここまでおいでと手招きして居る。
瞬刻も其の日の生活に安心出来ぬが、我々庶民の姿なのである。

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