ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:タカネツメクサ

2017年10月31日 00時16分26秒 | Weblog
別山からは南下するような感じで立山を縦走する。
ガスがなく視界が良好でさへあれば雄山方面までを一望でき、自分たちがこれから向かう縦走ルートがよく分かるのだが・・・。


時折だがガスの切れ間から縦走ルート、そして室堂方面が目視できた。
風はあったが、寒さを感じるほどでもない。
とりあえずウゥンドブレーカー代わりとしてレインウェアは着たまま歩き出した。


つい二日前に辿った雷鳥平方面が見えた。
「なんか随分と前のような気がしますね・・・。」
「そうかもしれない。昨日は夜明け前から動き出したし、あまりに長い一日でいろんな事があったからそう感じるんだと思うよ。」
そう返事はしたが、それよりもKMさんのザックが改めて「デカイ!」と思わざるを得ない。
後ろから見ると尚のことザックが大きく見える。

真砂岳方面へと縦走し、分岐点を右に折れ「富士ノ折立」方面へと向かった。
この辺りのルート周辺は高山植物の宝庫であり、自分の大好きな「タカネツメクサ」も間違いなくあるはずだ。
昨日まではまだ見かけておらず楽しみであった。
と思っていたら・・・、あったあった! 見ぃ~つけた♪

ルートのすぐ端に見つけることができた。
「これだよ! これが見たかったんだよ。この白く清楚で可憐な花びら。か細い女性の指のように細長い葉。」
なんてことを言っていたら二人に笑われてしまった。

AM君も見つけたようだ。

二年前にここを通った時は一ヵ所でしか見つけられなかったが、今日は数カ所で愛でることができた。
それだけでもラッキーだ。


KMさんも写真を撮りだした。
名前なんてものは後から調べれば済む。
今この時期しか見ることのできないものは撮っておいたほうがいい。


これから先、富士ノ折立には急斜面のガレ場を登らなければならない。
こうして楽に尾根道を縦走できるのもそろそろ終わりだろうか。


「この後はガレ場の登りだから。今日一番の難所かな。」
「了解です。頑張ります。」


徐々に斜度が出始めた。
3000m近い標高で、しかも急斜面のガレ場を登る。
更には大型ザックを背負っている。
初日の雷鳥坂よりも斜度的には急になっており、踏ん張りどころだ。


技術的な問題よりも、体力や筋力を重視すべきかも知れない。
この区間はKMさんには苦だろうと思う。
大きな段差のポイントでは手を差し出した。
そう、ここは素直に受け入れるべきポイントだ。
こんな時、ガスが無く晴れていれば、3000mから見渡す360°の絶景を見るだけで疲労感は軽減されるだろう。
素晴らしい北アルプスの山脈(やまなみ)が癒しをもたらしてくれるのは間違いのないことだ。


「この登りを越えれば、あとは大したことはないから。でも少し休もうか。」
今日は室堂までの下りだ。
決して無理をするほどのルートではない。

今日で三日目、そして最終日。
ここまで怪我無くこれたのだし、最後でつまらないことで怪我をしてしまっては劔岳の思い出が嫌なものになってしまう。
「ここを登り切って少し行けば休憩所があるから。そこで休もう。何か食べよう。多賀谷さんのチョコレートもあるよ♪」
KMさんが微笑んだ。

よし、これなら大丈夫だろう。