ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:てっぺんでやりたかったこと②

2017年10月19日 23時52分01秒 | Weblog
一通り写真を撮り終え、休憩を兼ねて行動食を摂ることにした。
何を食べても良し、一服するも良し、登頂の感動を独り味わうも良しだ。


周囲はガスっていたが、時折白馬岳が姿を見せることがあった。
そしてほんの刹那だったが、日本海(富山湾)の青い海を見ることができた。
これにはみんな感動だった。
AM君「3000mから見る海は生まれて初めてです。すごいですねぇ・・・。」
KMさん「同じ青でもやっぱり違うんですね。嬉しいです。ここまで来て良かったです。」
自分はただのガイド的存在に過ぎない。
最後は己の意志と力だけで登り切らなければならない。
それ故の感動がそこにあるのだ。
(よかった よかった!)

そうそう、これをやらなくっちゃいけなかった。
わざわざここまで持ってきた物があったのだ。

本当は珈琲牛乳にしたかったのだが、気圧が低いことでひょっとして紙パックが「パ~ン!」ってなことになりかねない。
ここは缶コーヒーで乾杯だ。
しかも市販されているもので一番甘ったるいと思うもの(笑)
「っしゃぁ~! これで糖分補給完了だぜぃ(笑)」

KMさんはひとり佇み登頂の達成感を味わっているようだった。
「お~い、せっかくだから何かポーズとってよ」
そのリクエストに応えてくれた。

これでガスが晴れ、北アルプスが一望のバックであれば最高なのだが・・・。
「まぁ何て言うか・・・その・・・もうちょっと色気を出すとか・・・」
「え~っ、無理です(笑)」
「うん、無理だろうなぁ・・・」

AM君も登頂の喜びと達成感を感じていたのだろう。
ちょっと盗み撮りをしてしまった。

何を感じているのだろう。
ただ一つ言えることは「連れてきて良かった」ということだ。

自分はと言えば、一か月後に予定している「北方稜線縦走」のことが頭から離れなかった。
今日はこれでいい・・・いいかもしれないが、今度はそうはいかないだろう。
生半可な気持ちでは挑むべきではない北方稜線。
たとえリベンジであるにせよ、とてつもない不安があった。
期待や意欲ではなく、あまりにも大きな不安だ。

しばし、ガスに隠れて見えない北方稜線方面を見つめていた。

これはAM君がいつの間にか撮ってくれたもの。
この時は、劔沢雪渓を下り池ノ平小屋へと向かうルートを頭の中でイメージしていたと思う。

それぞれがそれぞれの想いを巡らし、やっと辿り着いた劔岳。
だが、そろそろ下山しなければならない。
荷物をまとめ、下山準備に取りかかった。

下山にあたり、どうしてももう一ヵ所だけ教えなければならないポイントがあった。

祠のすぐ後ろにある窪地のようなポイントだ。
「ここがそうだよ。・・・と言われているポイント。」
「ひょっとして錫杖が見つかった場所ですか?」
さすがはAM君だ。
「そう。でもあくまでも言い伝えだし、諸説あるけどね。」
KMさんはまだよく理解していなかったようだが、下山後にその話しをすると「なんか私、すごいところに登っちゃったんですね。」
と言っていた。

さて、気持ちを引き締め直して下山だ。
さっそくヨコバイが待っている。