ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:てっぺんでやりたかったこと①

2017年10月17日 23時54分53秒 | Weblog
タテバイを越えれば、今までのような際だった危険箇所は無い。
もちろん気を抜くことはできないが、「もうほんのすぐそこだ」という思いの方が緊張感よりも勝っていた。


二人にとっては初めての劔岳。
緊張感や期待感は自分よりも大きいはずだし、達成感も感じられるはずだ。
「もうほんのひと登りだから。もうすぐ祠が見えるよ。てっぺんだよ。」
そう言って励ました。


足もとに咲く「ミヤマダイコンソウ」。
こんな高所であるが故に愛おしい。
そして久しぶりに高山植物を愛でるだけのゆとりが出たことを自覚した。


遂に山頂を示す祠を目視できるポイントまで来た。
「ほら、やったよ。あそこが、あの祠がてっぺんだよ。」
「えーっ、やっとですか! 遂にですか!」
AM君もKMさんも言葉では言い表しきれない表情だった。
(「うん、二人ともいい顔してるな。」)

一歩一歩山頂へと近づくが、このまま自分が先頭を行ってしまっては意味がないと思っていた。
それは数週間前に、二人にルートの詳細を説明するため自分なりにガイドマップを作成した時に決めていたことだ。

祠まであと数歩。
「二人、先に行って。」
と言った。
「えっ、何でですか?」
「俺が先に着いても意味はないし、二人に申し訳ない。いいから先に行って。」
「えっ、じゃぁみんなで手を繋いで行きましょうよ。」
意外な事になってしまったが、「仲間」と一緒に登頂しよう。

午前10時、劔岳に登頂。

ここまで約5時間を要した。
これほど時間を要したのは初めてだったが、危険箇所はすべてスタカット方式だったし、体力の消耗を極力避けながら可能な限り時間を使って登攀する。
これは初めから決めていたことだ。
何よりも怪我無く登頂できたことが嬉しい。


山頂には数名の登山者がおり、シャッターをお願いした。
満面の笑顔。
充実感、そして達成感に満ちた顔だ。

でもって山頂でやりたかったこと・・・その1。

せっかく三人で登るのだから、ありきたりの写真じゃ物足りないかもね。
男二人が土台にとなり、その上にKMさんが乗る。
シャッターを押してくれた方も大笑いしていたっけ。

他にもやりたいことはあるのだが、その前に二人にどうしても見せたい物、見せなければならない物があった。
三角点である。

AM君は既に「劔岳 点の記」を何度か観ており、劔岳山頂にある三角点がどのような意味を持つのかを知っている。
KMさんには概要は伝えておいた。
「これがそうだよ。これがあの三角点だよ。もちろん明治40年当時の物ではないけど、あの時の命を懸けた苦労がそのまま受け継がれているような気がするんだよね。」
柄にもないことを言ってしまった。


「俺はこうして毎年ここに登っている。登山というあくまでも趣味の世界で登っている。でもあの時代のあの人達がいたからこそ、何だかんだで楽しんで登ることができているだよね。だからせめて感謝の気持ちだけは忘れちゃだめなような気がする。」

これだけは二人に伝えたかったことだ。

さてさて、ほかにもやりたいことがあった。