フッフッフの話

日常の中に転がっている面白い話、楽しい話!

あしあと

2020-06-20 20:23:26 | 日常雑感

  友とお喋りをする。「コヘレトの言葉」について話すと、以前読んだ詩を紹介してくれる。

感動したので書き取ったと言って、次の詩を読む。

曽野綾子著 「老いの才覚」にも載っていた。作者は無名詩人である。

 

夢を見た、クリスマスの夜。 浜辺を歩いていた、主と並んで。

砂の上に二人の足が、二人の足跡を残していった。 私のそれと、主のそれと。

 

ふと思った、夢のなかでのことだ。 この一足一足は、私の生涯の一日一日を示していると。

立ち止まって後ろを振り返った。 足跡はずっと遠く見えなくなるところまで続いている。

 

ところが、一つのことに気づいた。 ところどころ、二人の足跡でなく、一人の足跡しかないのに。

 

私の生涯が走馬灯のように思い出された。

 

なんという驚き、一人の足跡しかないところは、 生涯でいちばん暗かった日とぴったり合う。

苦悶の日、悪を望んだ日、利己主義の日、試練の日、やりきれない日、自分にやりきれなくなった日。

 

そこで、主のほうに向き直って、あえて文句を言った。

「あなたは 日々私たちと共にいると約束されたではありませんか。 なぜ約束を守ってくださらなかったのか。

どうして、人生の危機にあった私を一人で放っておかれたのか、まさにあなたの存在が必要だった時に」

 

ところが、主は私に応えて言われた。

「友よ 砂の上に一人の足跡しか見えない日、それは私がきみをおぶって歩いた日なのだよ」

コメント
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