益川進個人展 呉市宮原公民館

「昨日は、呉市の宮原公民館へ益川進（ますかわ　すすむ）個人展を見に行ってきた」

「益川さんって、何をされた方？」

「広告デザイナーで、映画のポスターの題字やデザインを手掛けられた方なんじゃ。この展示があるまでは、わしも全然知らんかったんじゃがの」

「映画のポスターって、たとえば、どんな作品があるん？」

「展示してあったのが…」





『七人の侍』（１９５４年　監督：黒澤明）
『蜘蛛巣城』（１９５７年　監督：黒澤明）
『用心棒』（１９６１年　監督：黒澤明）
『椿三十郎』（１９６２年　監督：黒澤明）
『天国と地獄』（１９６３年　監督：黒澤明）
『赤ひげ』（１９６５年　監督：黒澤明）
『愛のコリーダ』（１９７６年　監督：大島渚）
『八甲田山』（１９７７年　監督：森谷司郎（もりたに　しろう））
『愛の亡霊』（１９７８年　監督：大島渚）
『病院坂の首縊りの家』（１９７９年　監督：市川崑（いちかわ　こん））



「黒澤明（くろさわ　あきら）に大島渚（おおしま　なぎさ）。日本を代表する監督の作品に参加しとってんじゃね」

「『病院坂の…』は、石坂浩二（いしざか　こうじ）が演じる「金田一耕助シリーズ」なんじゃの。ポスターは展示してなかったが、これらの作品にも参加されとるそうじゃ」



『隠し砦の三悪人』（１９５８年　監督：黒澤明）
『飢餓海峡』（１９６５年　監督：内田吐夢（うちだ　とむ））
『ブルークリスマス』（１９７８年　監督：岡本喜八（おかもと きはち））
『影武者』（１９８０年　監督：黒澤明）
『二百三高地』（１９８０年　監督：舛田利雄（ますだ としお））
『駅　ＳＴＡＴＩＯＮ』（１９８０年　監督：降旗康男（ふるはた　やすお））



「『駅…』は、高倉健 (たかくら　けん）が主演じゃったよね」

「『飢餓海峡』は、今年４月に亡くなられた三國連太郎（みくに　れんたろう）が主演。『ブルークリスマス』の監督は岡本喜八（おかもと　きはち）で、脚本が倉本聰（くらもとそう）じゃったのう」

「こうしてみると、そうそうたる顔ぶれじゃね」

「海外に目を向けてみると、チャップリンのポスターも描かれとられるんじゃ」





「このポスターに対して、映画評論家の淀川長治（よどがわ　ながはる）は、「これこそ、チャップリン」と絶賛されたそうじゃ」

「すごいね。ところで、益川さんは広告デザイナーということじゃったけど、こっちは、どんな作品があるん？」

「黒澤明作品の常連といえば、三船敏郎（みふね　としろう）じゃの。その三船氏が出演されたコマーシャルといえば？」

「男は黙ってサッポロビール」

「正解！」





「へぇー、なるほどねぇ」

「息子さんの中学入学祝いには、こんな言葉を贈られたそうじゃ」





「「男は常に夢を持て」か。ええ言葉じゃね」

「わしゃ、河島英五（かわしま　えいご）の歌う『野風増（のふうぞ）』を思い出したで」

「ところで、今回、益川さんの個人展が開かれた理由って？」

「益川氏の娘さんが、坪内小学校へ「父が描いた油絵がそちらにありませんか？」というメールを送ったのが始まりじゃそうな」

「で、調べてみたら、益川さんのものじゃった？」

「図書室に飾ってあったその油絵は、学校でも、作者が誰なのか分らんかった。しかも、益川氏が同校の出身で、広告や映画の世界で活躍された方というのも分からんかったそうじゃ」

「へぇ」

「で、益川氏の作品を地元の人にも見てもらうために、今回、個人展を開催されたそうじゃ」

「その油絵って？」

「呉市の中央桟橋のフェリー乗り場と、休山の初夏の風景が描かれた、この油絵。日付は「１９９０」になっとったのう」





「…ということは、今から２３年前の作品か」

「益川氏が亡くなられたのが、２１年前の１９９２年（平成４年）３月。ほいで、最後の仕事になったのが、吉永小百合（よしなが　さゆり）主演の『天国の大罪』（１９９２年　監督：舛田利雄）の題字じゃそうな」

「最後が、吉永小百合さんの作品。ほんま、そうそうたる人たちの作品に携わってこられたんじゃね」





↓宮原公民館については、こちら↓

呉市宮原公民館





「ここから、おまけ」

「ついでじゃけぇ、益川氏が通った坪内小学校に行ってみた」








「瀬戸内海が一望できるんじゃね」

「坂道をのぼって、通学にはしんどいかもしれんが、この眺（なが）めはええよのう」





訪問日：２０１３年（平成２５年）５月１２日





「今日は、呉市の宮原公民館で開催されている益川進個人展について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」