通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

『映画手帳』1977年12月号(その2)邦画編

2021年12月12日 | まんが・テレビ・映画


そのむかし、広島で出版されていた
月刊情報誌『映画手帳』。

この雑誌(1977年12月号)をもとに、
今から44年前、1977年12月の広島を
紹介しています。

前回は、このころ映画館で上映されていた
洋画について。





↓前回については、こちら↓

『映画手帳』1977年12月号(その1)洋画編







今日は、1977年12月
広島で上映された映画(邦画編)
についての話でがんす。








【松竹東洋座】

幸福の黄色いハンカチ

男はつらいよ 寅次郎頑張れ!
ワニと鸚鵡とおっとせい




『幸福の黄色いハンカチ』は、この年の
日本アカデミー賞、
キネマ旬報賞、
毎日映画コンクール、
ブルーリボン賞など、
国内の映画賞を総ナメにした名作。

高倉 健さん、
武田鉄矢さん、
桃井かおりさんとともに旅をする、
広島の自動車会社・マツダの
赤いファミリアも主役のひとり。

これは山田洋次監督の、
「大衆車で色は赤」
という指定に基づくものだという。




(『赤の勇姿 北の大地疾走』
「マツダ100年 作品中の名車」
中国新聞 2020年5月14日)






以前、わしが勤めていた会社では
毎年8月に社員旅行に行っていた。

1泊2日で、
たいていはバスで移動。

2日目の午後、広島へ帰るときは
お休みタイム。

その時は、
寅さん(『男はつらいよ』)か、
釣りバカ(『釣りバカ日誌』)の
ビデオをセットして、
ガイドさんも休憩モード。
(DVDでなく、ビデオテープの時代)

『男はつらいよ』は、
その程度でしか観たことがないのが
未だに残念じゃ。

いつかリベンジをせねば!
…と思いつつ、今日に至るわけじゃが。







【広島東宝】

はなれ瞽女おりん

霧の旗
惑星大戦争




わしの大好きな映画のひとつが
『惑星大戦争』。

『映画手帳』の
1977年12月号を買ったのも、
これが目的じゃった。

…が、何かがおかしい。

写真をよくよく見てみると、
見慣れた轟天号(ごうてんごう)が、
見たことのない轟天号に
なっとるではないか!









(『惑星大戦争』サウンドトラック 東宝レコード)



2つの絵を見比べてみると…。

『映画手帳』の広告(上)は、
映画会社から支給されたイラスト(下)
ではない、描き直したものである。

轟天号は斜め45度で飛び立つから
カッコいいのであって、
30度くらいで飛んでも迫力不足じゃ。



以下、
この絵が描かれたことについての
わしの勝手な妄想。



「社長、この広告なんですがの。
小さくて横長の画面に
宇宙船やなんやらが
ゴチャゴチャと入っとったら、
見づらいですよ」

「そんな、お前。
いらんもんは
ちょちょいと消してしもうたら
それでええじゃないか」

「いやー、
それでも見づらい思いますよ」

「うーん…。
ほいじゃ、どうすりゃええかいの?」

「この写真を元にして、
出入りの絵描きにささっと描いてもらや
ええと思うんですがの」

「分かった。
ほんならそれでやってもらおうか」




事の真相はともかく…。

この轟天号にお目にかかれたのは、
この雑誌を目にした
広島県民だけじゃろか?

それとも、全国的に
出回ったものなんじゃろか?







【広島東映・的場東映】

新・巨人の星
BIG-1物語 王貞治

宇宙戦艦ヤマト
サイボーグ009




今年(2021年)は、
MLBのロサンゼルス・エンゼルス
大谷翔平(おおたに しょうへい)選手が
二刀流で大活躍し、話題をさらった。

この年(1977年)の話題のひとつが、
9月3日にプロ野球・巨人の
王 貞治(おう さだはる)さんが
通算756号ホームランを放って、
ホームランの世界記録を達成したこと。

どちらも、日本中が熱狂しました。

その王さんの半生をつづる
ドキュメンタリー映画が
『BIG-1物語 王貞治』。

当時37歳だった王さんは
初の国民栄誉賞を受けたが、
27歳の大谷さんが、
「まだ早い」と辞退したのは
ご存じのとおり。





この年の夏に公開され、ヒットしたのが
『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』。
(配給収入/9.3億円
ウィキペディアより。以下同じ)

それまで
「まんが映画」と呼ばれていたのが、
これ以降は「アニメーション映画」と
呼ばれるようになったんじゃの。

1978年夏には
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』
が公開され、こちらも大ヒット。
(配給収入/21億円)

さらに1979年夏には、上記2作品に
『海のトリトン 劇場版(前編)』
を加えた3作品が
「宇宙戦艦ヤマト フェスティバル」
として公開された。




映画『銀河鉄道999』前売り券の袋に印刷された「宇宙戦艦ヤマト フェスティバル」の告知


それ以外にも
こういう形で興業をしとったんじゃの。

それにしても、
旧作の『サイボーグ009』(1966)
と抱き合わせでの公開とは…。



ヤマトを配給した東映は、
実は面白くなかった。

ヤマトの稼ぎのほとんどは、
製作会社のオフィス・アカデミー
=西崎義展(にしざき よしのぶ)さん
のふところへ入っていったからだ。

その東映は、1979年夏に
映画『銀河鉄道999』を公開、
「ヤマト フェスティバル」
に勝つことができた。

(999 配給収入/16.5億円
ヤマト 配給収入/5.1億円)





【駅前東映】

ごろつき部隊(1969)
新座頭市物語 笠間の血祭り(1973)

新網走番外地 吹雪の大脱走(1971)
青春の殺人者(1976)

人斬り与太 狂犬三兄弟(1972)
子連れ狼 冥府魔道(1973)

やくざの墓場 くちなしの花(1976)
大菩薩峠(?)




駅前「東映」なのに、
1本は東映で、そのほかは
いろんな会社の映画を上映しています。

『新座頭市物語』は日活、
『青春の殺人者』は今村プロ、
『子連れ狼』は勝プロ、
『大菩薩峠』は?
(調べてみると、
日活・東映・大映・東宝と
いろんな会社で製作されています)
という具合に。




『やくざの墓場 くちなしの花』
といえば、主演を務めた
渡 哲也(わたり てつや)さんの
ヒット曲「くちなしの花」(1973年)
が使われていることでも有名。



♪いまでは指輪も まわるほど
やせてやつれた おまえのうわさ
(略)
くちなしの白い花
おまえのような 花だった

(作詞・水木かおる、作曲/遠藤 実)




ここは3本立てなのですが、
うち1本は成人映画なので
紹介していません。

あしからずご了承ください。





【五日市有楽】

仁義の系譜
緋牡丹博徒 お竜参上
昭和残侠伝 死んで貰います

笛吹童子
白馬の王子
ドカベン
一休さん




分からんのが、
この五日市有楽。

1週間ごとに
邦画と成人映画を交互に上映している。

館内のポスター貼りとか、
予告編の上映は
どうされとったんじゃろか?



あと、上映作品も分からん。

『笛吹童子』といえば、1977年に
人形劇『新諸国物語より笛吹童子』
がNHKで放送されていた。

が、調べた限り、この作品が
映画化されたことはないらしい。

1972年版に実写ドラマ化された
『新諸国物語 笛吹童子』もあるが、
こちらも映画化されたことは
ないらしい。

まさか、1954年に公開された
映画『新諸国物語 笛吹童子』
までさかのぼることはないと思うが…。



『白馬の王子』で思い出すのが、
東映製作のテレビアニメ
『燃えろアーサー 白馬の王子』だが、
この作品の放送が始まったのが
2年ほど後の1980年4月。

「白馬の王子」を
「白鳥の王子」の
誤植(ごしょく。文字の間違い)
とすると、
1977年3月に公開された
「東映まんがまつり」ではないか?
という推測が成り立つ。



このときに上映されたと思われる映画
(1977年3月版東映まんがまつり)
は、以下のとおり。


『世界名作童話 白鳥の王子』
『ジャイアンツのこども野球教室』
『超電磁ロボ コン・バトラーV』
『大鉄人17』
『ドカベン』
『一休さん ちえくらべ』




『日本アニメーション映画ポスター史(上)平出文己男コレクションより』(アニメージュ文庫 1987年7月)






以下、余談。



『ドカベン』といえば、
2020年に漫画家からの引退を発表された
水島新司(みずしま しんじ)さんの
大ヒット漫画。

前年(1976年)から
テレビアニメ化され、
1977年には実写映画化された。

このヒットを受けて、
水島さんのヒット作のひとつ
『野球狂の詩(…きょうのうた)』も
テレビアニメ化、
実写映画化されているんじゃの。





以下、さらに余談。



『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』
が公開される前から、
アニメブームが盛り上がってきていた。

これを受けて、東映動画の
「東映アニメーション・ファンクラブ」
が、1977年の夏ころに発足。

シナリオや設定資料集、
スチールやポスターなどを
販売していた。

また、過去に上映された映画や、
テレビでは再放送されない
白黒時代のテレビアニメの
フィルム上映会も行っていた。

1977年といえば、
家庭用ビデオデッキなど
まだ普及していない時代。

アニメファンや
白黒アニメを見ていなかった世代には、
フィルム上映会は
とてもありがたかった。

『映画手帳』によると、
東映アニメーション・ファンクラブは
12月18日(日)、平和記念館で
次の作品の上映会を行っている。



午前10時半=「サイボーグ009」「レインボー戦隊ロビン」など四本・五百円

午後2時=「ホルスの大冒険」など二本・五百円




たとえば、『ホルスの大冒険』は
映画なのでそのまま上映。

たとえば、『サイボーグ009』は
白黒テレビ版(1968年)なので、
第2話「Xの挑戦」
第16話「太平洋の亡霊」
第26話「平和の戦士は死なず」など
人気のあった作品を上映していた。

ただ、このときに
どの作品が上映されていたかは
分からんが…。





今日は、1977年12月
広島で上映された映画(邦画編)
についての話をさせてもろうたでがんす。

次回は、
テレビで放送された映画作品、
テレビ映画編の予定でがんすけぇの。



ほいじゃあ、またの。

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