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映画『妖雲里見快挙伝 完結編』

2024年04月21日 | まんが・テレビ・映画
江戸時代後期に、曲亭馬琴(きょくてい ばきん。滝沢馬琴(たきざわ ばきん))が著わした大長編小説『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん。以下、「八犬伝」と略す)』。

この八犬伝を題材とした作品は、時代が令和に変わった現在まで、いろいろな形で発表されてきた。





そのうちのひとつが、映画『妖雲里見快挙伝』2部作で、今回紹介するのは、その2作目にあたる『妖雲里見快挙伝 完結編(以下、「本作」と略す)』。

本作は、1956(昭和31)年公開で、監督は渡辺邦男、脚本は川内康範。

八犬士を演じる俳優の方々は、以下のとおり。

犬塚信乃(いぬづか しの):若山富三郎
犬川荘助(いぬかわ そうすけ):和田孝
犬山道節(いぬやま どうせつ):中山昭二
犬飼現八(いぬかい げんぱち):小笠原竜三郎
犬田小文吾(いぬた こぶんご):鮎川浩
犬江親兵衛(いぬえ しんべえ):沼田曜一
犬村角太郎(いぬむら かくたろう):御木本伸介
犬坂毛野(いぬさか けの):城実穂


映画『妖雲里見快挙伝 完結編』は、2024年4月12日から4月26日まで、YouTubeで2週間限定無料配信中。



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今日は、映画『妖雲里見快挙伝 完結編』についての話でがんす。





八犬伝といえば、八犬士たちが手にする
仁(じん)
義(ぎ)
礼(れい)
智(ち)
忠(ちゅう)
信(しん)
孝(こう)
悌(てい)
の8つの珠。

この8つの珠は、安房の国守・里見義実(さとみ よしざね)の一人娘・伏姫(ふせひめ)が持っていた。

その伏姫は、里見が安西景連(あんざい かげつら)に攻められたとき、愛犬・八房(やつふさ)とともに景連を討つ。

義実が姫を探し当てたとき、身につけていた数珠から、8つの珠だけがなくなっていた。

「8つの珠を持つ八犬士があらわれて、里見の家を守る」と予言した姫は、息を引き取る。

八犬伝では、八犬士たちは小さいころから珠を持ち、体のどこかに痣(あざ)がある。

しかし本作では、犬士たちがなにかの拍子に珠を手にする、という設定だ。



八犬伝といえば、村雨丸。

村雨丸は鎌倉公方に伝わる宝刀で、犬塚信乃(いぬづか しの)の父・番作(ばんさく)が、公方から託されたもの。

信乃がこの刀を公方に返上しようと旅立つところから、八犬伝本編の話が始まる。

しかし本作での村雨丸は、安房の国守である証として公方から与えられたもの、という設定だ。

その村雨丸を、網乾左母二郎(あぼし さもじろう)が偽物(にせもの)とすり替えるというのは同じだが、本作の左母二郎は、馬加大記(まくわり だいき)の腹心。

つまり、左母二郎が村雨丸を手にしたことで、馬加は安房の国守になる権利を手に入れたことになる。

馬加は、村雨丸を失った里見を攻め、義実たちを城から追い出した。

城から落ちのびた義実たちが、再起の時を待ちながら身を隠しているところに、伏姫の亡霊が現われる。

「今は受難の時。八犬士が現われるまで、しばらくお忍びください」

そんな義実たちを、馬加の家臣である赤岩一角(あかいわ いっかく)たちが攻めたてる。


そして、物語はクライマックスへ。
(以下、ネタバレあり)


信乃が義実に告げる。

「八犬士のうち、未だ7人しか揃っていない(犬坂毛野が持つ「智」の珠が不在)が、残った者たちで村雨丸を取り返し、里見家の再興を果たす」と。

信乃たちが村雨丸を取り返そうとするが、それは囮(おとり)で、本物は馬加の手から公方の手に渡っていた。

村雨丸を取り返したことで、安房の国守に任ぜられた馬加は、祝宴を開くことを理由に、公方を安房へ招待する。

馬加は、そこで公方を毒殺し、自分が取って代わろうと企てていたのだ。

父の敵である馬加を討とうと、白拍子として城内に入り込んでいた旦開野(あさけの)こと犬坂毛野は、この悪巧みを見破る。

馬加が公方に手をかけようとしたとき、信乃たち七犬士が登場!

「天に代わって成敗してくれる」

村雨丸を奪い返した浜路をめぐって、信乃と左母二郎が最後の対決!

村雨丸は無事、義実の手に戻る。

自らの非を認めた公方は義実に謝り、義実に改めて安房の国守を任じた。

めでたし、めでたし。





以下、余談。


さて、ここで質問。

「智」の珠を持つ8人目の犬士は、だれでしょう?

先ほど、「犬坂毛野が持つ「智」の珠が不在」と書いたので、父の敵である馬加を討った犬坂毛野(旦開野)、と思われることじゃろう。

ところが本作では、左母二郎から村雨丸を守り抜いた浜路の懐から、「智」の珠出てきたんじゃの。

つまり、常に伏姫の側で仕えていた浜路に、8つめの珠が与えられたことになる。

前回も話をしたが、この映画の設定を流用(?)したのが、映画『宇宙からのメッセージ』(1978年、東映)。

ガバナス帝国に侵略されたジルーシアの長老・キドは、勇者を求めてリアベの実、8個を宇宙へ放つ。

キドの孫娘でヒロイン・エメラリーダと戦士・ウロッコは、リアベの実を手にした勇者たちを探す旅に出る、というストーリー。

この映画で、8人目の勇者として選ばれたのが、エメラリーダと常に行動を共にしてきたウロッコじゃったんじゃの。





今日は、映画『妖雲里見快挙伝 完結編』について話をさせてもろうたでがんす。


ほいじゃあ、またの。



(文中、敬称略)

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