通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

被災地での火事場泥棒について

2011年03月24日 | 日記
「「火事場泥棒」という言葉を知っとるか?」

「火事の現場や、みんなが混乱している時のどさくさに紛(まぎ)れて盗みを働く人のことじゃろ?」

「ほうじゃの。東日本大地震の被災地にも出没しとるそうじゃ」



震災で東北地方の石油精製所が大きな被害を受け、食料や水を被災地へ車で運ぶのに欠かせないガソリンが不足する中、宮城県南三陸町(みなみさんりくちょう)で、自称・震災ボランティアの男が横転した乗用車からガソリンを抜き取るところを目撃した。
被災地では車内の金品を狙う車上荒らしも横行しているといい、南三陸町では有志の住民が自警団を結成し、パトロールに乗り出した。
(本間英士)

あたり一面ががれきと化し、住民の姿は見えず自衛隊員や消防隊員らしかいない南三陸町の沿岸部。
取材していた21日午後2時ごろ、若い男が路上に横転した白いワゴン車の底部をバールで打ちつけているのに気づいた。
しばらく見ていると、男は燃料タンクに穴を開け、灯油ポンプを差し込んで、中身を携行缶に移し始めた。
近づいて「何をしているんですか?」と声をかけると、男は驚いた様子で言葉に詰まり、「ちょっと使うんです」。
「あなたの車ですか」と尋ねると、目をそむけながら首を振った。

そこに偶然、宮城県警のパトカーが通りかかり、異変に気づいた警察官2人が約10分間、男に職務質問。
男は解放されると、近くに止めていた軽トラックに足早に乗り込み、記者をにらみつけて立ち去った。

県警によると、男は職務質問に対し、「ボランティアとして県外から来た。ガソリンを使うつもりだった」と説明。
車がもともと壊れていたことや男が反省の態度を示したことから、厳重注意にとどめたという。
軽トラックには「新潟県中越沖地震支援」と記したステッカーが貼ってあった。

今回の震災では、東北地方の石油精製所が被害を受け、ガソリンが不足している。
警察や消防など緊急車両の燃料は優先的に確保されるが、一般車向けの燃料は行き渡らず、被災者は開店しているガソリンスタンドを苦労して探し出し、4、5時間並んで給油している。

南三陸町では車内の金品を狙った車上荒らしも横行。
約1500人が集まる「町スポーツ交流村ベイサイドアリーナ」駐車場で約10台のドアガラスが割られ、地元の芳賀善隆さん(67)らが自警団を結成しパトロールをしている。
芳賀さんは「こんな大変な時なのに。日本人は誇りを失ってしまったのか」と寂しげにつぶやいた。

(「ボランティア称し“震災泥棒”横行 「日本人は誇りを失ってしまったのか」」産経新聞 2011年3月23日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110323-00000551-san-soci




「気仙沼市(けせんぬまし)のほうじゃ、信用金庫の金庫室に保管しとった4000万円が盗まれたいうて、テレビでやっとったね」

「ビートたけしはテレビの生放送で、「被災地の泥棒は撃ち殺せ」と発言されたそうじゃ」

「なんでこんな時にこんなことをしてんかねぇ」

「こんな時じゃけん、便乗する輩(やから)が出てくるんじゃ。火事場泥棒を働く人もおりゃ、義援金詐欺を働く人もおってじゃけんのう」

「人の不幸に追い討ちをかけるようなことは、止めてほしいね」

「広島に原爆が投下された時に、田邊雅章(たなべ まさあき)さんはこんな目にあわれたそうじゃ」

「田邊さんいうたら、映像作品を通じて爆心地復元事業をしよっての人じゃろ?」

「ほうじゃの。株式会社ナック映像センターの代表取締役で、広島県産業奨励館(現:原爆ドーム)のすぐ東隣で生まれ育った方じゃ。田邊さんは、原爆が投下された時は山口県の親戚の家に疎開されとったんじゃが、広島の状況を聞いて、祖母と一緒に広島に来られたそうじゃ。8月10日に自宅近くに来たとき…」



元安橋(もとやすばし)を渡ってわが家あたりに着くと、見知らぬ男が三人、庭にあった石燈籠や風呂釜をまさに持ち去ろうとしているところにでくわした。

男たちは天秤棒に鎖、大八車まで用意している。
祖母はおそろしくて口も利(き)けないでいる。
私は思わず「ぼくの家のものをどうするんかっ」と詰め寄った。
すると頬骨(ほおぼね)の出っ張った男が近づいて、子どもの私を思い切り殴りつけた。
地面に張り飛ばされ鼻血が出たが、耐えるしかなかった。
痛さよりも悔しかった。
祖母は「子どもになにをするんですか」と抗議をするのが精一杯で、抗(あらが)うことなどできない。
私を抱き起こし、手ぬぐいで血を拭(ぬぐ)ってくれた。
やつらは燈籠と風呂釜に縄を掛け、悠々と持ち去っていった。

あとから知ったことだが、直後から火事場泥棒が横行したようだ。
家族や家屋敷を失い悲しみにくれる人を尻目に、非道にはしり盗みをはたらく者も数多くいた。
この体験は、その後、原爆にたいする激しい憎しみを増幅させる原因にもなった。

(田邊雅章『原爆が消した廣島』2010年 文藝春秋 P.87~88)




「たけしさんが「撃ち殺していい」と言うたのは、こういうやつらのことじゃろうね」

「これは自分の家のことじゃったけん分かったんじゃが、他人の家じゃったら分からんじゃろうの」

「被災地で、転がっている車からガソリンを抜き取って利用しとる人がおってじゃと、ニュースで報道されとったんよ。テレビで見る限り、火事場泥棒じゃのうて、必要に迫られての行動じゃと思うたけどね」

「『夕凪の街 桜の国』でも、主人公の皆実(みなみ)が原爆投下後にこんなことをしたと回想しとっちゃったんよの」



地面が熱かった
靴底が溶けてへばりついた

わたしは
腐っていないおばさんを冷静に選んで
下駄を盗んで履く人間になっていた

(こうの史代『夕凪の街 桜の国』双葉社 P.24)




「これはもう、仕方がないよね。生き残った人が、生き延びるためにしよることじゃけん。きれいごとを言うとる場合じゃないし、うちらが非難する資格もないよね」

「「生き延びる」といえば『機動戦士ガンダム』じゃが、こんなシーンもあったよのう」



○ホワイトベース内 食堂

子どもとおばあさんが話しながら食事をしている隣に、1人の老人が座っている。

自分の食事をとり終わった老人は、話に夢中の子どもの食事プレートから食べ物をひとつかみ取って口に入れる。

この場面を目撃し、思わず目をそらせてしまうアムロ。

食堂を出て行く老人。

アムロ、話しかける。

アムロ「一緒に食べよ」

おばあさん「いいんですか? すみませんね」

フラウ「アムロ、ちゃんと食べなければ駄目よ!」

アムロ「だったらこんな所で食べさせるな!」

フラウ「アムロ…」

食堂を出て行くアムロ。

(『機動戦士ガンダム』第9話「翔べ!ガンダム」より)




「ガンダムはわしが高校1年のときに放送されたんじゃが、これを見て、老人に対する見方が変わってしもうたんよの。それまでは、老人になったら、悟りを開くほどじゃないにしても、分別のついた行動ができると思うとったけんの」

「この老人の行動も分かるけどね…」

「極限状況に置かれると、人間は良い方に走るか、悪い方に走るかしかない、という話を聞いたことがあるんじゃ」

「うちは、良い方に走りたいね」

「わしも、そうありたいのう」





↓株式会社ナック映像センターについては、こちら↓

ナック映像センター 爆心地復元事業 広島
http://www4.ocn.ne.jp/~knack/






↓義援金詐欺については、こちら↓

「ストップ義援金詐欺!だましの手口と対策」All About
http://allabout.co.jp/gm/gc/50963/




「今日は、被災地での火事場泥棒についてについて話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
コメント
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