晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

日吉町地名散歩(4) 9/17 

2011-09-18 | 歴史・民俗

2011.9.17(土)曇

 地名考察なんて大仰なタイトルにしていたのだが、今回の目的は地名の考察ではないので「地名散歩」というタイトルに替えた。悪しからず。
 さて稗生(ひよ)という地名だが、”ひよう”=運材夫というあまりにもタイムリーな情報を見つけたもんだから断定的に書いてしまったが、実はその証拠は何もない。地名というものはそういうもので、最近に付けられた合成地名などはその由来ははっきりしているが、歴史的には意味がないものとなる。(例えば上林の老富町とか五泉町など)古い地名となるとその根源を探るのは困難を極め、様々な方法を駆使して探るわけだが、それでも決定的な証拠というものは無い。納得できそうなものをその由来とするわけだが、必定各論並記となる。断定的に述べられている論文などは、怪しいなあということになる。
 稗生について、「稗が生えていた」「峠、標杭、境」というのは納得いかないが、他に「撓んだところ、曲がったところ」という意味がある。全国方言辞典に「びよる 動詞 撓む。 重いものを載せると棚がビヨル」とある。
 塙静夫「とちぎの地名を探る」に、宇都宮市兵庫塚町、大平町伯仲字兵庫について兵庫(ひょうご)はヒヨ・ゴで撓んだ地形のところと解している。もともと撓んだ地形で湿地帯となっているそうだが、木住川流域の上稗生、下稗生がそういう地形かというと何とも言えない。もし稗生(ひよ)がヒヨル(撓む)という意味から来ているとしたら、
実は上稗生の東にある峠を指しているのではないだろうか。つまり峠、嶽がヒヨと読まれ、その由来が標杭、標石にあるというのは柳田国男氏などが言っており定着しているようだが、実はその由来はヒヨルという動詞なのかも知れない。峠というのはどこから見ても撓んだ地形である。
 もし上稗生が峠から付いた地名なら、下稗生は稗生の下方、下流にあるということで付いた地名かもしれない。
 稗生地名について、運材夫と撓んだ地形という二つの候補を挙げたいと思うが、どちらが正解なのか、あるいは他に語源があるのか解らない。地名というのはそういうものである。
 木住川中流に犬飼、下犬飼というところがある。犬地名は金工地名の可能性がある。鉱脈を探す鉱山師が犬と呼ばれたこと、鉱山に関する説話に犬がよく登場すること、犬飼部と鬼伝説との関係など様々な理由があるようだが、古代の鉱山の付近に犬地名がよくあることは確かなようだ。
 ところが犬飼(いぬかい)という地名はイヌ=低い、狭い カイ=峡、谷または井堰ということで、低い山に囲まれた谷を示すという。(鏡味完二「地名の語源」)
木住の犬飼、下犬飼辺りの地形を地形図で見ると、確かに両岸の山が周囲より幾分低くなっているようだ。Img_3701
 
木住川流域は全体的に両側の山が低く、谷が明るい。奥上林を走っているみたいだ。写真の生畑にはマンガン坑があったのだが、どこにあったのか確認できていない。


 上林の武吉から和知へ越える犬越峠(いぬごしとうげ)という峠がある。金工に係わる峠名かもと思い一度訪れてみたかったのだが、地形図を見るとやはり撓んだところ、低いところを越える峠と言う意味だととれる。上林の南の郡境をなす山稜は600~800m級の高さなのだがこの峠は400m台で、いかにも撓んだ、低い峠といえる。つづく

今日のじょん:久々にモモ姉さんが来た。都会の娘なので相変わらずきれいだ。こういう犬は上林にはいない。不釣り合いというか似合わないわけだ。じょんは、「うっさいなあ」と嫌われるのは解っているのに一緒に遊びたいようで、クンクンクンと大変である。ところが生憎の雨と店の忙しさで出してやることが出来なかった。するとどうだろう、一晩いぢけてしまってじょんっと呼んでも見向きもしない。いやーまいったなあ、こんな事ってあるんだろうか。Img_3740   
 

ぐちゃっといぢけている。 

コメント
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