晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

日吉町地名散歩(3) 9/16

2011-09-17 | 歴史・民俗

2011.9.16(金)曇、雨

 木住の意味するものは、岸谷、遊里、鳥取県のものはともかく日吉町の木住(こうずみ)は単に木を積む、木を積み出す等の意味ではないかという気がしてきた。
というのは木住川(こずみかわ)に沿って走っているとき、南丹市営バス停留所に「下ひよ」という表示があった。下稗生と書く、おもしろい地名だなあと思ったが、小字名の中には無いので大字名なのだろう。一般的に”ひよ”というのは峠や境を指し、柳田国男「地名の研究」に詳しくあり、峠、嶺を”ひよ、ひょう”と読ませているぐらい一般的であり、その例も多い。境のしるしとして立てた標杭や標石から来ているのだろう。Img_3505
 
兵戸峠(ひょうどとうげ)は大分熊本県境にある。(2007.3.23)


 ところが下稗生(しもひよ)があるところは峠でもないし境でもない。峠の下の地域と考えるのかなあと思いつつ走っていた。
 後日角川地名大辞典で調べると、元々上稗生村、下稗生村があり、明治になって生畑村(きはたむら)の一部となっている。そして稗が生えていたから稗生(ひしょう)の”し”が消えて稗生(ひよ)村となったとお決まりの言い伝えを書いてある。もちろんこれは芹が生えていたから芹生(せりょう)ではなく、粟が生えていたから粟生(あお)でないのと同様で付会といえよう。稗なんてどこでも生えており、稗が生えて稗生なら日本中が稗生となろう。
 それにしても峠や境を表す”ひょう”地名はその語源からある地点をポイントとして示すケースが普通であり、稗生のように広い地域を指す地名としては不自然な感がする。増してや峠や境に当たるような場所でもないのだ。
 そんな時、海老坂のことを調べるべく澤潔氏の「北山を歩く 3」を読んでいて、眼から鱗の大発見をした。
 「信州遠山谷では、このような運材夫を「ヒヨウ」と呼んだ。そのわけは、彼らの給与が日給制であること、つまり日傭(ひよう)取りであったことに起因する軽蔑語であった。」というものである。日傭が軽蔑語であるとは思わない、当時の農山村に於ける賃仕事はほとんどが日雇いであったと思うし、村人にとっては貴重な現金収入であったと思われるからだ。ただし地名が付こうかという時代に現金が支払われていたとは思えない、上林でも杉や檜を伐採した対価は杉皮や檜皮だったと聞く。
 運材夫とは何かというと、名のとおり材木を運ぶ人夫なんだが、水系が異なり筏も鉄砲(川水を溜めて一気に流し、木材を流す運搬法)も使えないところで、峠を越えて筏の組める水系に運ぶものをいう。例えばこれから紹介する海老坂や神楽坂などは由良川と大堰川を最も近く結ぶ峠である。由良川沿い美山町の豊富な材木も需要があり市場のある京都に運ばなければ意味がない。そのために人手を使って峠を越え、大堰川水系へ運ぶわけである。
 二十年近く以前に廃村八丁に向かうべくコシキ峠を越した。八丁村の材木も人の背によってこの峠を越して大堰川水系を下ったという。峠名は諸説あるようだが、こじつけでもいいから越木峠にして欲しい。八丁川を鉄砲で流したという事も聴いた。その場合は由良川を流れてゆくので、再度海老坂や神楽坂を越えるのかも知れない。いずれにしてもこの地域で相当数の日傭が必要であっただろうし、稗生がその供給源であった可能性は大である。
Img_3704_2
小畑の分岐、真っ直ぐ行けば峠を越えて明日谷へ、左へ行けば四ッ谷に行く。このあたりの材木は木住川を下るのだろう。 



 木材の運搬については余り詳しくないのだが、普通に考えると由良川水系の木材は田原川が主流であろう。もう一つ峠を越して木住川を利用するとは考えにくい。ただ上稗生というのは木住川の源流にあり、440~450mの低い峠が二つ京北の明石川源流に抜けている。この地帯は大堰川水系なのだがこの峠を越えて木住川を下る方が距離的に随分短そうである。その峠名は今のところ解らないが少し南の大きな峠は中世木川に下り、持越峠と呼ばれている。これ等の峠を運材夫が越えたと想像するのだが、そうだとすると木住川は木材の集散地となる。
そういう意味で木住(こずみ)は素直に木に関する地名と考えるのが順当なのかもしれない。つづく

【作業日誌9/16

第三木小屋作り(柱造作)

今日のじょん:今日はじょんシャン日、身体の様子から見て絶対に体重が増えていると思ったのに減っていた。18,2Kgで400g減。増えていたらビシビシ鍛えようと思っていたのに拍子抜けである。まっいいか。Img_3732

毎日ごろごろしてる割によく食うから太ってると思ったんだがなあ。



 

コメント
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