花びらと金魚
木蓮
宵祭りは夜の祭りだった。
明るいアセチレンランプが灯る夜店が出て、青年団の兄さんや姉さんが、境内に誂えた舞台に立って、歌ったり踊ったり演劇で楽しく祭盛り上げた。
そんな賑わいが途絶えて半世紀が過ぎる。
参道の両脇に飾られたほうずき提灯のほのかな明かりを頼りに老若男女が境内に集まった。
参道を今は歩く人はいない。
本祭りの今日は、神主が来て型通りの神事を行う。
ドンドコ ドンドコ ドデコデコデコ
厳かな太鼓が新緑の山に木霊して、拝殿に集まるのは町会役員衆のみである。