月下美人 今年最後の開花

障子の向こう側にタングステンランプを灯した。
美人の無機質な冷たさが消えて、ほのかな温もりが伝わってくる。

白式部 酒はしずかに

白式部の白いビーズ玉が目に付く頃、酒賛歌「白玉の歯にしみわたる・・・」にこの上ない親密感を覚える。
熱かんが恋しい季節が来た。

無花果泥棒

今年も無花果が順調に熟れている。
熟れるのを待ち焦がれていたヒヨドリ達は、熟した果実の、一番美味しい部分だけをついばんでゆく。
これは俺のだと、指先で唾をつけておいても彼（彼女）らは無頓着だ。

秋空の 天守閣

松本城の朝　風が涼しい
一気呵成に秋が押し寄せる１０月も間近い

アケビ

秋の味覚　子供の頃は争って採りにいった。
現在は観賞用
外皮は油でいためると高級料理に変身すると言う。
強烈な苦さに通人は顔をしかめながらご満悦

木立ベゴニア

海上を通過した台風の分身が山国のベゴニアを揺らしている。
夏の間むしり取り続けたささくれが少し癒される。

ブルーサルビア

夏を無頓着に過ごしてきた心のひだが染められるようだ。
城下町や運河の町で出会うブルーサルビアはなおさらである。

ツクバネウツギ

この花よく見かけるね　という会話が聴こえる　ツクバネウツギの小道

彼岸花

夜明前　闇の余韻の中で　彼岸花は深海の生物のようだ。

ほうずき

提灯の中は、上部に丸い液果が下向きに付いている
やがて秋が深まるとと、外皮も液果も美しい赤色に染まる。
初冬、枯れの野のあちらこちらに鬼灯が現われる。