子供のころ秋の山行きは、何にもまして楽しくてその情景が今でも脳裏に浮かんでくる。
しかし 山の好時期は秋の農繁期と重なって、子供といえども遊び時間は極端に制限されてしまった。
あの頃の農作業はおしなべて人手に頼っていたからである。
何しろ 小学校にも農作業を手伝うための農繁休日が1週間ほどあったのだから。
都会の1カ月に及ぶ夏休みの長さをずっと羨望し続けたけれど、春と秋の農繁休日、厳寒期の寒中休みを加えたら逆にお釣りが出たかも知れない。
農作業が一段落したころ合いに親父の口から「今日はキノコ採りに行くか」なんて言葉が聞かれると子供たちは有頂天になった。
あの頃の里山は生活の一部で、良く手入れされた林や草原が連なっていた。