常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

1月の終わり

2010年01月31日 | 季節の便り
新雪の断面を思わせるセントポーリア


1月の終わりの日 45歳の知人を送った、乳がんの怒涛のような再発だったという。
読経を聞きながら、もし私が「後3ヶ月です」と宣告された時、最初に何を思うのか自問した。
答えに窮して「何をしたいか」と問い直した。これも答えられなかった。
73歳の老人をして、死を自分のこととして捉えられないもどかしさがあった。
若い人の死は壮絶である。

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虫を食べる

2010年01月30日 | 季節の便り
ルエリア・マクランサ

日の光が徐々に復活して、部屋の中で冬をもてあましていた植物達も動き始めたようだ。
セントポーリアが咲いて、ルエリアに蕾が見えてきた。
昨夜 集りの夕食はデザートのコーヒーゼリーで終わった。
そのゼリーに薄荷(ミント)の葉が添えられていた、噛むと懐かしい刺激が体中に広がる。
初夏 水辺の薄荷草をちぎって、両手で揉むと、咽るような快い刺激臭が立ち込めて、体の中を涼風が通り抜けるようだったことを思い出した。
同席の同年代は思い出すことも似通っている。
鶏の解体、泥鰌、タニシと話題は進んで、嫌いだった蛇、毛虫に話しは及ぶ。
毛虫が厭で、毛虫のことを考えただけで夜も眠れなかったという人のお話。
「薪の中に潜むカミキリの幼虫が食べたくて、父親の薪割りにずっとついていた。
運良く割ったまきから白い丸々と太った幼虫が転がり出ると歓声を上げて拾い、風呂の焚き口に向った」
誰かが「そうだよなー 風呂の焚き口は外にあったんだよね」と相槌を討つ。
「焚き口から熾(オキ)を掻きだして、熱いオキの上に白い幼虫を乗せる。
丸まっていた食材が突然一直線に延びて、香ばしい香りが漂えば仕上がりである。
その美味しさは食べた人でないとわからない」とうっとりする。
「焼いてしまえば毛虫も同じでしょ」というと眉をつり上げた。


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飛行機で北海道へ

2010年01月29日 | 季節の便り
小型ジェット機エンブラエル170(ブラジル製)に
どこか似ている

日航が破綻して、松本空港は定期便が飛ばなくなる日が迫っていた。
10年に一度、乗るか乗らない程度でも、飛行機が飛ばないのは寂しい事と思った。
しかし ありがたいことに、フジドリームエアラインズという会社が、小型ジェット機を毎日飛ばしてくれることになった。
乗客を増やすための課題は山積していると聞く、まずは自分たちが利用することを考え、旅行業者も空を短時間で飛ぶメリットを積極的にアピールしたらどうだろう。
とにかく率先して今年の秋は北海道に飛ぼう・・
だけど 生憎 雨が降って雲が低く、本日のフライトはありませんとアナウスが流れたら、なんとも悲しいことになる。

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兆し

2010年01月28日 | 季節の便り
マンサク

暖かい南風が雨を呼んだので、一日で季節が大きく動いた。
マンサクは昨日まで堅く握りしめていたこぶしを開いた。
しかし 騙されてはいけない、暖かく心地よい暖風の後に、必ず反動として寒気団が押し寄せてくる。世の中そんなに甘いものではないということだ。
先日電子メールの威力に驚いた。
フィレンツェ在住の極く近しい知人に写真添付のメールを送ったところ、次の日湯気が立つようなホットな返信が届いた、しかも費用はまったく掛からない。
このあたりから世の中がわからなくなる。






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放射冷却

2010年01月27日 | 季節の便り
軒下の温度計はー9度を指していた、さえぎるものがない青い空に向かって地球上の熱が吸い取られてしまった。
こんな朝は連山が美しく染まる。
ぬくぬくした部屋から窓越しに写すわけにゆかない、防寒具に身を包んで高台まで足を運んだ。ここからの眺望は窓越しとはまったく別物だ。
日陰に残った雪が砂のように凍って踏むと軋むように鳴った。
別に競うつもりはないけれど、躍動する真冬の常念が最も美しく均整が整うスポットはここだと思っている。
しかし 自称常念一番スポットは、この近在だけでも数え切れないほどあるらしい。

連山夜明け


針の木岳


ほうれん草
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近くの森にムササビは生息しているか

2010年01月26日 | 季節の便り
頭を雲の上に出し


夜行性のムササビは人の目に触れる機会はきわめて少ないけれど、近くの林に生息している確率は高いと私は見ている。
「その存在を確認する方法がないわけではない」と大原先生が言った。
ムササビは食料にした木の実の、特徴ある食べ滓を下に落とす。
第一はその残滓を探すことである、しかし 同じ里山にすむ日本リスも同じ残滓を残す。
「専門家でも残滓から落とし主を特定することは難しい」と大原先生は続けた。
方法はある、幸いなことにムササビと日本リスは活動の時間帯が明確に違う。
リスタイムが終わった時点で、森林に落ちている残滓を拾いつくしてしまえば、次の朝リスタイムが始まる前に森林を探索し、見つかった残滓の落主はムササビと特定できる。
ここで 自然は上手く作用する、雪は里山のすべてを覆い隠し、無垢な雪原が広がる。
きつつきがこぼした小さな木屑も、無垢な雪原では見落とすことはないだろう。
問題は深い雪にまみれて、ひたすら捜索する体力と気力の持続である。
幸か不幸か、今年はまだ探索に適した降雪はない。




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給油

2010年01月25日 | 季節の便り
ひよどりも寒そう

片道5キロの通勤は月に一度の給油で事足りる。
洗車は暖かい休日を見計らって手洗いする。
今年になって、休日に暖かい日がめぐり会わなかったので、まだ一度も洗車していない。
雪が降らない乾燥した大気中には埃が充満して、間断なくボディに降り積もる。
ガソリンスタンドでは四方の窓ガラスをきれいに拭いてくれる、世の中が明るくなったと思うくらいに汚れがこびりついていた。
室内の清掃用に床屋さんのような蒸しタオルを貸してくれる。
タオルで手を暖めながらダッシュボードに積もった埃をふき取った。
今度給油に寄るときは、世の中きっと春めいているだろう。

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小鹿

2010年01月24日 | 季節の便り


昨夜降った新雪に小鹿の足跡を見つけた、そこは庭先に近い場所であった。
昨年11月 鹿猟が解禁され猟犬に追われた鹿は山深く息を潜めている筈だ。
庭先に現れた小鹿は仲間とはぐれたのか、空腹に耐えられず里に下ったのかも知れない。
舗装道路に薄く積もった雪に、鹿は何回も足を滑らせた痕が残っていた。
ふらついていたのかも知れない。
奈良春日山では、神鹿を交通禍から守るため、市民が巡回していると聞いた。


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面白い話し

2010年01月23日 | 季節の便り

「カワウソも人を騙すことがある」と祖父が言った。
という事はこのあたりの河川にカワウソが生息していたのだろう。
本家と新宅があって、本家は長男である父が継いで、次男の叔父は分家に出た。
事情があったのだろう、そのころ祖父と祖母は分家の叔父の家で暮らしていた。
私達兄弟はしょっちゅう新宅に行っては祖父に昔話をせがんだ。
それは千一夜を越える回数であった事は間違いない。
しかし残念ながらどれ一つとして完全な形で覚えている昔話はない。
祖父は度重なるアンコールに疲れ果てたけれど子供達は攻撃の手を弛めない。
「とびっきり面白い話をするから今夜はそれで終わりだ」
承諾した子供達は固唾を飲んだ。
「朝起きてみると雪が積もっていた、だから面が白く面白かった」
不満そうな孫達を尻目に祖父はもう高いびきであった。



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寒が戻った夜 化かし狸

2010年01月22日 | 季節の便り
凍りついた山茶花

人の気配に反応して外灯が1分だけ点灯することになっている。
人以外に猫や野生の小動物にも反応する。
寒が戻った夜、外灯がついた。 注視すると猫ではない小動物が光の輪の中にいたという。
カミサンの話を総合して狸であることをほぼ確認した。
昔 祖父慶造から山の動物にまつわる昔話を飽きずに聞いた。
中でも狸に化かされる話は何度聞いても飽きなかった。
事実 真夜中に庭先のもみの大木を切る音に目覚めたことがある。
ズイコ、ズイコと鋸を引く音が続き、地響きを立てて木が倒れた。
しかし あくる朝樅の木は何事もなかったように聳えていた。
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