終日しっとりと潤いを撒いた炎天の慈雨は、午後遅くなって上がった。
日没前になって、幸運なことに山脈が晴れたので、例によって落ちる太陽を追った。
太陽が槍の頂上付近を通過したことは間違いない
常念の山腹を斜め横切った落日が大鞍部に再びあらわれることはなかった。
夕焼けユーホー
壮大な夕焼けが始まった。
久方ぶりの雨が降って、砂漠のような土地が生き返った。
容赦ない熱線に痛めつけられてい紫陽花が、葉をいっぱいに広げて雨を受けていた。
これまで、なりをひそめていた雑草も勢いづいて、裸地は緑に塗り替えられる。