食べつくされた草木
雨水に浸食された山肌
縦横に走る獣道
昨年敷設した高さ2メートルの防獣フェンス効果は抜群である、農家では山麓の畑地に安心して作物を育てることができた。
早朝散歩の二日目は、ゲートを開けて鹿居住区に入った。
フェンス外側(鹿居住区)の荒廃は目を覆うばかりである。
毎年この時期、両側からの夏草に覆われて歩くこともできなかった山道が整然と開けている、鹿が草を食べつくしたのである。
斜面の草地は地肌が露出し、縦横に走る獣道が山を崩している。
斜面の底に小さな谷川が流れている、普段ならネズミでも渡れる小さな流れである。
しかしこの小川の恐ろしさを見せつけられたことがある、梅雨末期の豪雨で増水した谷川が赤い泥流のように地響きを立てて流れた。
氾濫したら集落は濁流に飲み込まれる、住民はなすすべもなく見守っていた。
もしもあの時のような豪雨があったなら、多分無事では済まないだろう。
今朝見た限り、裸地となった林床の保水力はないに等しい、降雨は一気に斜面を下り、土砂を削る。
最悪の場面を想定する必要がありそうだ。