或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

18区 サン・ヴァンサン墓地

2010-03-25 06:26:30 | 830 パリ紀行
パリでのユトリロの足跡を辿るシリーズの第9弾で、いよいよ最終回はサン・ヴァンサン墓地(Cimeitiere Saint-Vincent)。そう、彼が埋葬された場所。前に紹介した居酒屋「ラパン・アジル」のソール通りを挟んだすぐ反対側。ただしこの通りからは墓地の塀しか見えない。入口は塀の反対側で、コーランクール通り(Rue Caulaincourt)からは少し坂を登った所にある。

少々不安だったのが墓地内でのユトリロの墓の位置。ペール・ラシェーズ墓地やモンマルトル墓地だとHPに著名人の墓の場所が明記された地図が公開されているので、初めて訪れる観光客には良い目印になるのだけど、この墓地はHPもなく、ネット上で検索しても頼りになる情報がなかった。当日に墓地の入口付近で探してはみたけれど地図らしきものはなくて。

係りの人に聞くしかないなと、左手にある詰所に立ち寄ると、なんとも人が良さそうな若者が出てきて。「ユトリロの墓は何処でしょうか?」と尋ねると、建物の外まで出てきて「あそこだよ」と指差してくれた。いや、良かった。墓地の中央に大勢の人が集まっていて、てっきりそこかなと思い込んでいたから。広くはないけど、ひとりでひとつひとつ捜すとなると大変だったから。

ゆるやかに登る歩道を歩いていくと辿り着いたのが上の写真の墓。入口とはちょうど反対側で塀のすぐ側。ここでようやく塀のすぐ向こう側に「ラパン・アジル」があることが分かって。たまたまかもしれないけど、考えてあるなと。それから30分くらいかな、他にお参りする人もなく彼の波乱万丈の生涯に想いを馳せながらゆっくり時間を過ごせた。ある意味でユトリロの独り占め。

それで気になったのが墓石そのもの。赤褐色の御影石に金文字で彼と妻の名前が彫られているのだけど、どうも周りの雰囲気からは色的にやや浮いている。雑草も多くて墓の手入れがイマイチ良くなくて。勝手に”白の時代”のイメージを抱いていた自分にとっては何となく違和感が感じられて。ともあれ、たった半日だったけど存分にユトリロの足跡を満喫したかなあ。