或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

But beautiful

2008-11-28 06:54:41 | 200 ジャズ
最近めっきり寒くなりましたね。まだ冬というには早いけど。我が家のメインツリーであるハナミヅキの葉も、レンガ色に変わったと思ったらもう枯葉になって散ってしまった。枯葉と言えばジャズ。ジャズと言えばピアニストのビル・エヴァンス。ということで秋になるとどうしてもエヴァンスを聴く機会が増える。そのリリシズムがこの季節にぴったり。

それで”まとめ聴き”というか、暇にまかせてアルバムを年代順に辿っていったのだけど、見直したのがNYにあるジャズクラブ、ビレッジ・ヴァンガードでの2作目のライブアルバム。ここのライブと言えばベーシストのスコット・ラファロとのインタープレイで1作目が超有名。2作目はそれから13年後の1974年の録音で「Since we met」<試聴>と「RE: person I knew」。これも別売の2枚もの。実は後者をつい最近まで知らなかった。内容は本当に同じセッションと疑うばかり。前者に対して出来の悪いこと。後発になった理由が分かる。でも逆に妙にライブのリアリティがあったりするからマニアにはたまらない。

全体で言えば、確かに1作目のその漂うような芳香な香りが薄れてはいるけど、洗練された緊張感ある現代的なプレイは、これはこれで楽しめる。ベースのエディ・ゴメスとドラムスのマーティ・モレルとのユニットの円熟期でもあり、音楽の完成度は高い。その中で特に自分の琴線に触れたのが、1枚目に入っている”But beautiful”。有名なジミー・ヴァン・ヒューゼンによる1947年のスタンダード。

トライアードを駆使した和音のアプローチが斬新だなあと。調べると、最初の録音がスタン・ゲッツとの共演盤で1964年。それからは彼のお気に入りのひとつになったみたいで、地味ながらベースとのデュエットとソロを集めた自分の愛聴盤「Eloquence」(1973年)<試聴>や、遺作となったキーストン・コーナーでのライブ「Consecration」(1980年)の8枚組完全BOXセットにも。

”Love is funny or it's sad, or it's quiet or it's mad. It's a good thing or it's bad, but beautiful...”という詩で、ざっくり訳せば”恋というのはどうのこうのいろいろあるけど、でも素晴らしいのさ”、なんて感じ。”but=でも”のところがロマンチックでぐっとくる。この瞬間に頭の中を過去の想い出が一瞬によみがえるって感じ。詩と音楽もピッタリ。バラードとしては極めつけでしょうね。

Since We MetSince We Met    Re: Person I KnewRe: Person I Knew

EloquenceEloquence       ConsecrationConsecration