或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

カクレカラクリ

2007-11-19 06:22:45 | 010 書籍
久しぶりに短編じゃない小説を読んだけど。森博嗣の「カクレカラクリ」(2006年)。彼の小説は「すべてがFになる」に続いて2作目。後で知ったけど、この小説はコカ・コーラの120周年記念の書き下ろしで昨年TVドラマ化もされていた。いや見たかった、娘がお気に入りのイケメン平岡祐太も出ていたみたいだし。原作との比較という意味でも面白そう。

それじゃ小説が面白かったかって?うーん、ビミョウ。青春小説として考えれば、テンポもいいし読み易くてなかなか良かったけど、ミステリーとして考えると、なんか期待した割にトリックが浅くて。上の「暗号なんて見ただけで判ってしまうレベルだし。

でも全体を流れる雰囲気は良かったかも。隠されたカラクリにからむ120年前の謎。美人姉妹とそれに絡む男子大学生2人。由緒ある旧家同士の確執。地下に隠された秘密の通路。解き明かされる両家の秘密。なんてね、よくあるシチュエーション。

だけど完全に森流になっていたのは、やはり登場人物の爽やかさと彼の理系思考パターンのせいかも。読んでいると、この人って理系だなとつくづく感じるから。自分が”文系に行くべきだった理系”だけによけいにね。昔は”男は理系”みたいなヘンな風潮があって、数学が不得意じゃなかったら理系に行かされていたような気がする。まだまだ高度成長期だったからなあ。

将来できれば音楽関係の仕事をしたいと思っていて、音楽と理系の接点は?と考えて思いついたのがエレクトロニクス。オーディオや電子楽器に興味があったし、それと就職の時につぶしが利くだろうというセコイ考えも働いて。まあその意味では判断は間違っていなかった。ただし読み間違えたのは自分の適性。大学や会社で同期の仲間を見ていてよく分かったから。

その点森は紛れもなく理系の人間。それが小説には長所として出ていますね。羨ましい。

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