或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

街場の現代思想

2007-11-05 06:05:55 | 010 書籍
神戸女学院大学教授である内田樹のエッセイ紹介の第2弾、「街場の現代思想」(2005年)。いわゆる"街場”シリーズものだけど、この人のエッセイは、その斜め視線とか”自己中”極まりない断定とかが妙に楽しい。それと”街場”と断りを入れることでリラックスできているのか、適度にお遊び感覚で書いている感じがあって、重そうなテーマに反して表面的に軽いのがいい。

面白かったのが”文化資本主義”の話。文化はどう創られるのかという問いへの回答。引用すると、文化資本には、家庭において獲得された趣味や教養やマナーと、学校において学習して獲得された知識、技能、感性の2種類がある。・・・「文化資本を獲得するために努力する」というみぶりそのものが、文化資本の偏在によって階層化された社会では、「文化的貴族」へのドアを閉じてしまう。・・・「努力しないで、はじめから勝っている人が『総取り』する」というのが文化資本主義社会の原理である。

なんとなく分からないでもない。やはり幼少の頃に自然に身につけたものは染み込んでいる分強いだろうから。自分で言えば親は音楽そのものには全く興味がなかったなあ。つまり音楽のある「家庭」じゃなかった。だけど世間体で?子供に楽器を習わせた。子供はいやいや練習をした。ふと気づいたらジャズにのめり込んでいた。これは文化資本とは言わないだろうなあ。

それは置いといて、受けたのが”結婚”の話。引用すると、「結婚は快楽を保証しない。むしろ、結婚が約束するのはエンドレスの「不快」である。だが、それをクリアーした人間に「快楽」をではなく、ある「達成」を約束している。「不快な隣人」、すなわち「他者」と共生する能力である。おそらくこれこそが根源的な意味において人間を人間たらしめている条件なのである」。

うーん、大きい声では、ましてやカミさんの前じゃ絶対に言えないけど、その通りかも。

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