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或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

Port Charllote Hotel

2010-11-14 07:52:04 | 860 英国紀行
ブナハーヴンとカリラという島の北東端に位置する蒸留所を訪問した後は、島を一気に縦断する形で北東から南西へ。目的地は南西端にあるポートナヘイブン(Portnahaven)という町。出発前にネットで検索したら、ここではアザラシに会えると書いてあった。しかもロブスターで有名な漁師町とか。それで思いついたのが、ここで昼食をしてシーフードランチでも楽しもうと。

車を走らせていると、ボウモアを経てポート・シャーロットを過ぎた頃から周囲が急に閑散としてきて。海岸線に沿って羊の放牧地が続く。それにしても、なんて壮大な景色なんだろう。青い海と緑の草原とのコントラストがそれは美しい。途中には車1台ようやく通れるような場所もいくつか。路肩で待ちながら対向車と離合したけど、そんなシチュエーションも楽しかった。

長時間のドライブを経て、昼前にようやくポートナヘイブンに到着。さっそくレストランを捜してみたけど、それらしき建物が見当たらない。人の気配もほとんどなし。仕方なくアザラシを探してぐるぐる周ってみたものもの、動物の気配もなし。結局灯台の写真を何枚か撮って、この町から退散。ちゃんと詳細に調べておけば良かったと後悔したけど後の祭り。まあ、しょうがない。

かなりお腹が減ってきたので、来た道を急いで引き返して辿り着いたのがポート・シャーロット・ホテル(Port Charllote Hotel)。ここは幹線沿いにあるからすぐに分かった。ここでまたまた前菜にカキを注文。結局今回の旅行では3ヶ所で計18個のカキを食べたことになる。味的には他の2つと比べて鮮度が悪い分やや落ちたかな。だけど十分に美味しかった。

ここはボウモアのハーバー・インと双璧をなす、この島ではハイクラスのホテル。前に紹介したロックサイドホテルで知り合ったイングランドから来た金持ち風の夫婦もここに宿泊していた。想像よりは島内にレストランが少なかったような気がする。




Caol Ila

2010-11-10 05:15:28 | 860 英国紀行
アイラ島の2日目に2番手として訪問した蒸留所がカリラ(Caol Ila)。ブナハーブンの蒸留所から近いので海岸伝いに行こうかと思ったけどそんな便利な道はなくて、結局基幹道路まで引き返して、これまた専用の側道を通って海岸沿いの蒸留所へ。

第1印象は、ブナハーブンとほぼ同じ地形でありながらとてもモダンな感じがした。敷地に入り駐車場に車を止めるとゲストルームがすぐ正面にあったので入ろうと近づくと、そのすぐ後ろに巨大なポットスティルが窓ガラス越しに見えたのには驚いた。

ゲストルームが、これまた小奇麗な感じで、若いキレイ系のお姉さんでもいれば良かったのだけど、受付にはオバさんがひとり。お土産を探していると、「テイスティングでもどうですか?」と話しかけてきて。とりたててここでボトルを買うつもりはなかったけど、他に買いたいものが見つからなかったので、誘いに乗って3種類を試飲。いずれもオフィシャルボトルで、12年、18年及び12年カスクストレングス。さすがにカスクストレングスは香りが強くインパクトがあった。やや食指が動いたりして。

その時オバさんが、「このカスクストレングスはここでしか売ってませんよ」と絶妙のタイミングで語り始めたもんだから、つい「それじゃ、これを」と衝動買いをしてしまった。この旅行でまだ2本目だし、どうせならそういうレアものを手に入れたかったのでいいかと。帰国してネットで調べたけど、確かにこのラベルは何処にも載っていなかった。その意味では正解だったかな。

それで悪乗りして「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねたら、「OKよ」との返事があったので記念撮影を。別にキレイ系でもなんでもなくフツーのオバさんだったけど、「眼鏡を外すわね」とニコニコし始めて。さらにそこまでしなくてもいいのにポーズを取ってくれたりして。ちょっと乗せすぎたと後悔したかな。幻滅しちゃいけないのでその時の写真は載せていないけど。

帰りに側道から基幹道路に入ったら、アイラ島に来る時にフェリーが着いたポート・アスカイグの港がすぐ近くだった。だからあれだけジュラ島が近くに見えたのかと納得。それにしてもジュラ島というのは何ともいえない迫力と存在感があるなと。


Bunnahabhain

2010-11-08 05:56:20 | 860 英国紀行
ようやく今年の猛暑の後遺症が薄らいでくると、記事にしておかねばと義務感が芽生えてきたのがGWの英国旅行。振り返ると6月で投稿を中座。なるほどね、ちょうど暑くなり始めた頃かもしれない。ということで記憶が消えないうちに続編をと。

アイラ島の2日目、最初に訪問した蒸留所がブナハーブン(Bunnahabhain)。他の蒸留所のような個性的な味ではないので、普段あまり飲まないかな。だから正直なところ興味がなかった。島の最北端に位置していて、他の蒸留所と同様に海岸沿いにある。

この蒸留所には幹線から山を越えて行くのだけど、その途中で数多く咲いていたのが黄色いゴース(Gorse)の花。日本名はハリエニシダ。日本ではほとんど見かけないけど、英国や地中海沿岸の山岳地帯、牧草地帯ではポピュラーらしい。アイラ島でもいたるところで咲いていて、特にこの山には多かった。圧巻だったのが下の写真。ポツンとある農家の辺り周辺がゴースに完全に包まれていた。その山を越えたあたりからとジュラ島が対岸に見え始め、行き着いた先がブナハーブンの蒸留所。

駐車場に車を止めて構内を歩いたのだけど、倉庫の外壁等がかなり傷んでいて歴史を感じさせた。というより寂れた町工場の雰囲気。敷地の中央になにやらゲストルームが。だけど受付に係員の姿が見当たらない。外に出るとちょうど10名くらいのツアー客が戻ってくるところだった。それを見送ってからお土産を買いにショップへ。これが受付のある建物とは別で、もろに工場の中。この辺りの媚びない雰囲気には好感が持てたけど。狭かったけど、ショップには様々なグッズが並べられていた。

自分の気をひいたのがポットスティルの形をした水差し。蒸留所のお土産としては最高だったかな。後で調べると、ブナハーブンのシングルモルトは意外に売れているとのこと、特に米国で。その理由というのが、ラベルに描かれている水夫と「westering home(西の故郷へ)」という言葉。船乗りを題材にしたスコットランド民謡から引用したもので、元西部劇の俳優だったレーガン元大統領の”西”に引っ掛けて、ホワイトハウスで催されるパーティーでよく使われたとか。なんか関係ない気もするけど。

帰り際に海岸沿いに道があるのかを尋ねると、ないとの返事。ここまで20分程度車で走ってきた道はこの蒸留所への専用道だったのかとその時に気がついた。


Islay Airport

2010-06-25 06:00:17 | 860 英国紀行
アイラ島での2日目の朝、この島唯一のゴルフコースを訪問したのは前回の記事で紹介したけど、そのすぐ傍にあったのが写真のアイラ空港(Islay Airport)。空港はこの小さな島にひとつだけ。やけにちっぽけだった。今回は利用しなかったけど、当初はグラスゴー空港から空路でここに到着するプランを立てていた。だけど最終的には陸路に変更。今日はその検討過程の紹介。

空路の旅費は確か往復5千円から1万円。フライトの時間帯によってかなり大きな差があったような記憶がする。空路の場合の問題は島に着いてからの交通手段。島にはレンタカーがあるけど、どうも業者が少なくしかも古いクルマが多そう。それじゃ他はというと、バスがあるけど本数が極端に少ないし。となるとタクシーしか残らないのだけど、これもそんなには走っていないらしくて。つまり島の交通手段に頼ると何かしら不安がつきまとうということ。これはなんかまずいなと感じて。

それで次に検討したのが陸路。グラスゴー空港でレンタカーを借りてアイラ島の対岸にあるケナクレイグまでドライブする。そこでフェリーに乗ってアイラ島へ。それなら何時でも何処へでも自分のペースで思うままに移動できる。ネットを調べると、このルートは人気のドライビングルートでもあることが分かって。それを知ってからは陸路を本命に検討を進めたけど。

陸路のネックは費用。飛行機と比較してフェリーが意外に料金が高い。往復で1万3千円もしたから。レンタカーは逆に想定より安く1日5千円の4日間で約2万円。まあこれはコーポレートレートという裏ワザを使ったからか。ガソリン代がトータル1万2千円。つまり空路と比べて約4万円は高い。ただし空路では島での交通費は入っていない。これをどう見るか。

島でタクシーに乗りまくれば差はなくなる。でも旅行を終えてみてそんなことはどうでも良くて、やはり陸路を利用して良かったなと。スコットランドのドライブは最高だったし、アイラ島しかり。自分ってこんなに車の運転が好きだったっけと驚いたくらい。運転していて眠気なんて一度も襲ってこなかった。とにかく自由に行動できるのがいい。アイラ島へは絶対に陸路がオススメかな。

Machrie Hotel & Golf Links

2010-06-21 05:55:07 | 860 英国紀行
アイラ島での2日目の朝、有名な観光スポットであるキルダルトン・クロスを見学したことで島の南部がらみのイベントが全て終了したので、来た道を引き返し、ひたすら北上して次なる蒸留所を目指したと言いたいところだけど、途中ちょいと立ち寄ったのが、この島唯一のゴルフコースである「Machrie Hotel & Golf Links」。

最近5年間は止めていたとは言え、ゴルフ歴は20年以上と長く興味は持ち続けていて。TVでプロの試合の中継があれば、男子であれ女子であれ何気に見入ったりもしている。中でも興味深いのは世界のメジャートーナメント。特に英国オープンは、その伝統的なコースで一度はプレーしてみたいし、それが叶わないとしても、せめて見ておきたいと常々思っていた。

今年英国オープンの開催を予定されているのがゴルフ発祥の地として有名なセント・アンドリュース。いわゆる”リンクス(Links)”と呼ばれるシーサイドコースで、自然のままのラフと深いバンカーが印象的。セント・アンドリュースがグレートブリテン島の東側にあるのに対し、アイラ島は西側。緯度的には両者はほぼ同じ。そんなコースで”リンクス”の雰囲気を味わっておきたいなと。

側道に入り、羊が放牧されている平原を過ぎると白いクラブハウスが見えてきた。車を降りてまずビックリ。風が強い。歩いてクラブハウスの横を通り抜けると、そこには18番のグリーンが。感動したのはピンの旗の揺れ方。まさにTV中継でよく見る感じ。1番ティーに移ると、そこからはコース越しに海が一望できた。この雄大さはどうだ。なんかそのスケールに背筋がゾクゾクしたような。でも冷静になってみると、実際にプレーしたらボールを5、6個は簡単にロストするだろうなと思ったりもして。

話は変わるけど、石川遼くんが活躍していますね。カリフォルニアのぺブル・ビーチで開催されている全米オープン、雰囲気こそ違うけど、ここも典型的なシーサイドコース。ついアイラ島を思い出してしまって。それにしても遼くんはスゴイ。PGAのトーナメントの上位進出者として米国のTV放映で彼を見ることができるとは。次は全英オープンで彼の勇姿を見てみたいなあ。


Kildalton Cross

2010-06-17 05:47:11 | 860 英国紀行
アイラ島での2日目で最終日は快晴。前日は雨が降ったり止んだりで時折強い風が吹く、いわゆる典型的なスコットランドの気候で苦労した。そのため天気が良いうちにと出かけたのが、おそらくこの島の観光名所では最大の目玉であるケルトクロス。

実は昨晩方針変更をしていて、予定としては残り5つの蒸留所巡りだったけど、製造工程を見学するツアーに参加するとなると、どう考えても時間的に無理。既に本命の御三家は終了したし、それならシングルモルトフリークならば邪道だけど、ツアーには参加せず表敬訪問にとどめ、空いた時間をアイラ島観光に費やそうと。なんか軟弱さが改めて露呈した格好。

8時に朝食を済ませ島の南南東の端へ。もともとアイラ島はかつてケルト人の島。ローマ帝国ができる前にヨーロッパ大陸に住んでいた先住民。侵略によって英国北部とアイルランド、それとスペイン北部のガリシア地方などの西方に追われたけど、今でもケルト文化圏の名残がある。その象徴のひとつが彼らの十字架で、それがケルトクロス。数あるクロスの中でも有名なのが、アイラ島に残っているキルダルトン・クロス(Kildalton Cross)。9世紀ぐらいに建てられたとされている。

前日に訪問したアードベッグの蒸留所を過ぎると、もう人家がほとんどない狭い山道が続く。分け入っても分け入っても森の中って感じで少々怖くなったのは確か。行き過ぎかなと疑心暗鬼になった頃、道端に標識が。右手の丘の上に何やら建物が見える。側道に入って少し登ると、石造りの教会跡の周辺にある墓標の中で、ひときわ目立っていたのがケルトクロス。

石にこびりついた苔が長い歳月の経過を感じさせる。想像していたより大きい。しばしそこで佇んでいたかな。なんかこの島の原点に触れたような気がして気持ちが昂ぶったけど。その後も車で島を周っていると、何箇所かでスタンディングストーンと呼ばれる高い石の塔に出会った。これらは紀元前4世紀ぐらいの新石器時代に造られたらしい。帰りのフェリーの中でケルトクロスのキーホルダーを売っていたので記念にと購入。結局アイラ島の歴史に関わるお土産は、これひとつだったような。


Harbour Inn

2010-06-14 05:51:09 | 860 英国紀行
アイラ島での初日、3つの蒸留所ツアーを済ませた後は、泊まっているボウモアのロッホサイドホテルのすぐ傍にあるハーバー・イン(The Harbour Inn)で夕食を。空は雨模様だったけど、小走りで2、3分だったので傘をささなくてよかった。ここはロッホサイドホテルと同様に、B&Bだけどレストランもやっているという、この島のホテルでよくあるパターン。違うのは星の数。

玄関から入ると受付に人影がない。すぐ隣の豪華な部屋で待っていると若い男性の従業員が海に面した広い部屋に案内してくれた。他にはドイツから来たらしいグループ客が1組。内装といい調度品といい品がある。想像通りでこの島ではおそらくトップランク。メニューを見て前菜とメインを注文。前菜はワンパターンの牡蠣。それも生とグリルで3個ずつ。

アイラ島といえども牡蠣を生で食べさせてくれるレストランはそう多くないらしい。シャンパンのハーフボトルを飲みながら食べたのだけど、鮮度がイマイチなのか、来る途中に「Loch Fyne Oyster Bar」で食べたのよりサイズは大きかったものの味は落ちたかな。ちょっと贅沢を言いすぎか。クリームソースをかけて焼いたのは香ばしくてすこぶる美味しかったけど。

前菜を食べ終わった頃、隣りの部屋に移ってくれとのこと。おいおい、別に満席でもないのにどうしてと思いながらついていくと、そこがメインのダイニングルームだった。つまり今までいた部屋はウェイティングバーだったということ。その前にいたのがウェイティングルーム。驚いたのはその後。メインが貧相なシーバスだった。注文したのは豪華なロブスターのはずなのに。

そう言えば、少し前に従業員が何か謝りに来たのだけど訛りがひどくて聞き取れなかった。最初に注文していないスープが出てきたのが詫びの印だったのか。だけど代わりのシーバスの味は絶品。釣りをしているので魚の鮮度はすぐに分かる。窓辺の席だったので雰囲気も良かった。周りに客が数組いたけど、なにやらハイソな雰囲気。さすが4つ星。会計をすると70ポンドで約1万円。レシートを見ると食事はそうでもないのにワインが高価だった。ハーフなのに4千円近く。ちょっとチェックが甘かったなあ。


Laphroaig

2010-06-12 08:48:30 | 860 英国紀行
アイラ島での初日に訪問した最後の蒸留所がラフロイグ(Laphroaig)。知り合った日本人の新婚カップルとアードベッグのレストランで一緒に食事をしていたら、ツアーが2時の開始だということをすっかり忘れてしまっていた。慌てて店を飛び出したけど着いた時にはもう2時半を過ぎていた。受付にいた若い女の子に捜してもらい運よくキャッチアップはできたけど。

そこはピートを燃やす釜がある場所。見たかったフロアモルティングは既に終了していた。「うーん、なんてこった」と頭を抱えたけど後の祭り。気を取り直してついて回ったけど、ラフロイグを愛飲しているチャールズ皇太子が蒸留所を訪問した時の写真があったりして十分に楽しめた。ついでに倉庫では人目を盗み黙って樽の真新しい栓を1つ記念に拝借したりして。

この蒸留所を訪問するにあたっては他にはないお楽しみが3つ。それはWEBで登録した会員のみが授かれる特典。1つ目は蒸留所の見学証明書の発行。この時とばかりコピーしておいた会員データをマネージャーに見せると、彼は傍においてあるPCへ。そこで登録内容を確認して所定の用紙にサインしてくれた。たかが証明書、されど証明書。こういうのってたまらない。

2つ目が蒸留所の敷地にある土地の分譲。土地といっても数センチ四方ぐらいで、そこにミニチュアの国旗を建てるらしい。だけどそれらしきことをやっている雰囲気はなかった。何せ外は雨風がビュービュー状態。現実にはやろうとしても無理だったと思うけど。結局日本の国旗だけもらって帰った。ともあれラフロイグというのはマニア冥利につきる企画をしてくれるなあと。

そうそう3つ目を忘れていた。10年モノのカスクストレングスのミニチュアボトルの贈呈。これはいつも愛飲しているので、友人へのお土産にしたけど。そうそう、お土産といえばここで購入したのがぐい飲みグラスと18年モノのフルボトル。後者を見るのは初めてでレアものかと期待したけど、帰国して調べると昨年からオフィシャルに発売していた。ちょっと残念だったか。


Ardbeg

2010-06-05 12:03:55 | 860 英国紀行
アイラ島での初日に訪問した2番目の蒸留所はアードベッグ(Ardbeg)。ここを2番目にした理由は、ラガブーリンのすぐ近くだったということと、中にレストランがあり時間的に昼食を取るのに都合が良かったから。実は数あるシングルモルトの中でどれが一番好きかと聞かれると悩むけと、答えるとすればアードベッグかな。その特徴は、この酒が持つ独特のスモーキーさ。

その要因として原料であるモルト(麦芽)を乾燥させる時に炊くピートの香りの強さがあげられる。このピート香はフェノール値という含有率で定量的にその強さを測ることができるのだけど、ハイランドモルトの雄であるマッカランが1ppm、同じアイラ島にあるラガブーリンとラフロイグが35ppmに対してアードベッグは55ppm。なるほどね。だけど単にピート香が強いだけじゃないのがアードベッグの奥の深いところ。スモーキーな中に甘さも兼ね備えたその独特で複雑なフレーバーがたまらない。

それで蒸留所の見学ツアーだけど、案内してくれたのはアラフォーのオバさん。ラガヴーリンもそうだったな。彼女の話の中にしばしば出てきたのが蒸留所の歴史。これまで閉鎖や買収が幾度もあって、従業員が解雇され、アードベッグの伝統を守るのに苦労してきたとのこと。帰国して調べると、1794年の創業以来、1815年の再建、1959年の倒産、1973年の買収、1983年の生産中止、1989年の生産再開、1997年の買収、2006年の別会社による買収と、確かに波乱万丈そのものだった。

施設を周りながら気づいたのが、建物だけではなく機械等の内部の設備の塗装にまで徹底して使われていた、いわゆるアードベッググリーン。日本だと差し詰め”うぐいす色”か”こけ色”なのだろうけど、これだけこだわりがあると、工場としてではなく会社としての強いメッセージを感じる。それで「この色は創業時から使われているの?」と聞いてみると、「いや途中でオーナーが替わってから」とやや下を向いて答えてくれた。おそらく新しいオーナーのブランド戦略の一環なのだろうなと思ったけど。

12時から始まったツアーが終了してショップに併設されたレストランで遅めの昼食を取り、商品のディスプレイ等がモダンでセンスに溢れているのに感心しながらお土産を探していると、缶入りのピートを売っていたので即購入。なるほどね、アードベッグならではのグッズということか。マニアは喜ぶだろうなあ。ちなみにピートを売っていたのはこの蒸留所だけだった。


Lagavulin

2010-05-27 07:39:24 | 860 英国紀行
英国旅行3日目でアイラ島における初日、ホテルで朝食を取った後にいよいよ待望の蒸留所巡りがスタート。懸念だったのは予約を全くしていなかったこと。それでまずは予約をと方々に電話してみたものの、まだ始業前だからなのかつながらない。9時少し前になってようやく電話に出てくれたのがラガブーリン(Lagavulin)。朝9時30分の最初のツアーを予約してすぐに出発。

蒸留所があるのは島の南端。早朝なので行き交う車もほとんどなく、30分弱で蒸留所に到着した。驚いたのは受付周辺に既に10数名のツアー客が待っていたこと。自分と同じような輩がいるんだなあと感心したけど。それで待っている間にすかさず電話を借りてアードベッグとラフロイグのその日のツアー予約も完了。この辺りは抜け目がないと自分に感心したりして。

そうこうしているうちに朝たまたま道で出会ったクリスティーン女史が声をかけてきて。彼女は有名な現地の旅行ガイド。「Warehouse Demonstrationには参加するだろう?このチャンスを逃しちゃだめだよ」と。「何それ?」と聞き返すと、「テイスティングだよ」とあきれた表情でせかしてくるので、「分かった、参加する」と訳が分からないままに追加料金を支払った。今思えば天の声だったような。後で調べると、火曜日と木曜日の通常ツアーの後に10時半からだけやっている特別ツアーだった。

それからすぐに通常ツアーがスタート。参加人数は約20人。英国に加えてドイツや北欧からも来ていた。原料であるモルト(麦芽)は全て外部から購入しているので、製造工程は乾燥、粉砕、醸造、醗酵、蒸留、加水、熟成の順番で見学。見るもの全てが初めてだったけど、事前に製造工程の英語版と日本語版の両方を作り予習しておいたのでよく理解できた。

それが終わるといよいよ倉庫での特別ツアーが始まって。驚いたのは通常ツアーに参加せず特別ツアーだけに参加した人がいたこと、それが20人近くも。おいおい、「あんたも好きねえ」と古いギャグを飛ばしながら待っていると、蒸留所の名物マネージャーが登場。俺は全てを知っていると言わんばかりの笑顔がやけに明るい。それから0年モノに始まって17年モノまで6種類をその場で樽から出して全員でテイスティング。酔っ払わないように少し飲んでは半分以上捨てたのが悔やまれたけど。

そうそう、ショップでお土産に買った木製のコースターセットはすこぶる素晴らしかった。