句友らの句の中に生る10月句
コスモスの泛く北信州明けにけり
私が場末にいる、右脳俳句のメンバーが10月句会の93句から考えに考え抜いて三句を選句した。
(1) 登高や八十路に向かひ鐘を撞く
句評に個人感情を入れてはいけないことが鉄則のようだが、作者は八十路、私と同じ年代、何だか身近さを感じた。登高は秋の季語でネットには、高い所へ登ることで中国では、陰暦九月九日に、山に登って菊酒をのんで遊ぶ行事と災厄をはらうということだったが、この句は単に高い所へに登るということだろう。 鐘撞堂は高所にある寺に備わる鐘撞堂であろう。八十路は人生の大切な節目、思いを込めて寺の鐘を撞いた。
(2) 遠き富士薄化粧して蛇笏の忌
蛇笏の忌は俳人飯田蛇笏の命日で 山梨県生まれ。早大を中退後高浜虚子に師事。「ホトトギス」派の重鎮で強烈な主観で甲斐の自然と生活をとらえた句が多い。甲斐の 代表「富士山」が初雪で薄化粧、その富士が甲斐の自然を詠う飯田蛇笏と重なる。富士の雪化粧が目に映る。
(3) 新涼や過疎化の村に巡回医
自然豊かな農村は満たされる反面高齢化、過疎化などの問題も抱えている。
毎週決まって医師が回って相談に乗ってくれる村落がある。医師と村民と
のぬくもりのある交流が生まれていることが伝わって来た。