熊野道蛍は吾に照らしたる
司馬遼太郎の「街道をゆく」の全43巻をアマゾンの「マーケットプレイス」中古本で43冊目の『濃尾参州記』で絶筆(未完)まで取りそろえた。完読は不可能なことを初めから分かりながらも、蔵書にしたいと思い買い集めた。ブログ仲間のkeiさんが数回に渡って「熊野古道」を歩いたことに少しでも触れたらと思い、第八巻の「熊野古道・古座街道・種子島みちほか」を読み始めた。こんな文章から始まる「絶えず無形の恩恵受け続けている友人などめったに居るものではないが、私の場合、K氏がそうである。ある世、拙宅でK氏と手軽に夕食を共にしたあと、熊野の話になった。」K氏は、紀伊半島の南端の古座川渓谷の出身なのである。K氏は自然というものを考えていると居たたまれなくなるほどに気持ちが昂じてくるという人で、それだけに氏から故郷の話を聴いていると。熊野の大樹叢を吹き渡っている川風が。体を突きぬけて行くような思いがする。この夜、私はふと氏の話の中の川風を遮るように、「それはそうと、Kさんの幼いころ、熊野のその在所に若衆組がまだ残っていましたか」ときいてみた。 から始まる「街道をゆく」の文庫本、幾日かかるか知れないが、八巻目は完読したいと思っている。