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■渡辺貞之展 存在と眼 (2021年7月21~26日、札幌) 7月22、23日(11)

2021年07月25日 17時11分22秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 渡辺貞之さんは深川の画家で、独立展準会員、全道展会員。
 深川駅前にある「アートホール東洲館」の館長としてさまざまな展覧会を企画・開催するとともに、市民劇団にもかかわり、1940年(昭和15年)生まれとは思えぬ精力的な活動ぶりで、北空知の文化の中心的な役割を担っています。

 全道展などでは、子どもの鬼がさまざまなポーズをとる絵が印象に残っています。
 そのベースとなる人物デッサンはなかなかのもので、以前、札幌のさいとうギャラリーで、人物のデッサンを中心に個展を開いたこともありました。
 デッサンでもこれだけ人をうならせることのできる画家はそういません。筆者が思い出すのは森本三郎(故人)ぐらいでしょうか。
 多少生意気なことをいわせていただくと、渡辺さんのデッサンは、陰影の付け方に迷いがないので、表情が引き締まって見えるのだと思います。


 ただし、今回は、人物を題材にした作品はそれほど多くありません。
 最も多いのは静物画です。
 カボチャやリンゴ、タマネギなどが落ち着いた筆づかいで描かれています。
「枯木と蝶」(画像2枚目の右)などは、古びた木の質感を描くわざの確かさに感服させられます。

 パリの何気ない街角をとらえた絵も3点ありました。
 いくら渡辺さんがお元気とはいえ、このコロナ禍では海外旅行は難しそうです。



 左の絵は「蜂」。
 胴体の縞模様の間に朱色や緑、黄など鮮烈な色彩が配されていて、リアルでありながら非現実的な不思議さを感じさせる作品。
 画面左上から右下を鋭い矢のように横切る、オレンジなどの細い線が、画面を引き締めています。

 右は「凹凸のトレーニング」。
 3年ほど前まで、森弘志さん(十勝管内新得町、全道展会員)が取り組んでいたシリーズを思い出させますが、あちらの絵が、すし皿などが整然と並んでいたのに対して、渡辺さんの絵では曲がって並んでいます。
 小皿や果物を真上から見てモノトーンで描いたような絵ですが、北都館のマスターによれば、実物をデッサンしたものではなく、想像で描いたのだそうです。

 出品作は次の通り。
 泣く天使
 石段
 猫(思惑)
 林檎
 りんご
 南瓜
 わかれ路
 南京に落ち葉(コラージュ)
 朽ちゆく水密
 ソファーとアコーデオンと風船
 モンマルトルの教会 Parisにて
 洋梨
 蜂
 凹凸のトレーニング
 玉葱
 ファミリーフルーツ
 馬頭
 公園への路
 少女
 枯木と蝶


2021年7月21日(水)~26日(月)午前10時~午後9時(土日月 午後7時、最終日展示~5時)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1の3 https://cafehokutokangallery.jimdofree.com/ )。


過去の関連記事へのリンク
櫂展 第8回 (2012)

渡辺貞之「存在と眼」 (2009)

第5回櫂展(2007)
第4回櫂展(2006)

グループ櫂展(2003)
渡辺貞之個展(2003)

渡辺貞之個展(2001)

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 (2017年8月26日~10月15日、札幌)■ 東京、京都、アムステルダムに巡回
(渡辺さんがゴッホの絵に登場するベッドを立体にして制作しました)



アクセス

・地下鉄東西線の琴似駅(T3) 5番出入り口から約270メートル、徒歩4分
・JR琴似駅から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「山の手一条通」から約920メートル、徒歩12分(快速、都市間高速バスは止まりません)
・ジェイアール北海道バス、中央バス「西区役所前」から約960メートル、徒歩13分(全便が停車します)

※駐車場あります。少し狭いです…

(この項続く) 


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