ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

大島渚監督の死。

2013年01月16日 | 感じたこと
 大島渚、映画監督だが、多くの現代の若者にはテレビで毒舌を放ち、朝まで生テレビ出演の折には、討論に参加した相手を「馬鹿もん!」
と怒鳴りつける、ちょっと変わった豪快な親父と言ったイメージであっただろう。

 96年に「御法度」の製作発表後に脳梗塞に倒れた後は、奥さんである女優の小山晶子さんの介護とサポートの元でリハビリに精を出しておられて、常に次回作を胸に抱いておられた様子であったが、残念ながら叶わずして天上の人となられてしまった。

 私たちの青春時代に強烈なインパクトを持つ映画監督として登場したのが、桑野みゆきさんと川津祐介さんが主演した「青春酷物語」であり、当時ヌーベルバーグと騒がれた社会派的テーマと斬新かつ裸体をも表現する手法での作品製作で、篠田正浩、吉田喜重監督と共に松竹の一世を風靡したことは記憶に鮮明である。

 実は、私にとって一番強烈な印象を持つ映画の一つとして、大島渚監督の「絞首刑」という作品があり、たぶん大学3回生の時に観た記憶が鮮明なのだが、在日韓国人の死刑囚が、絞首刑を受ける前に「国家権力」による殺人とも言える「死刑」という刑罰に対して、「国家て、権力」とは?と自問自答するのだが、暗い刑務所の独房から明るい屋上に出た際に、あまりの太陽の日差しに主人公がたじろぐ場面があって、「それが国家権力だ」との声が聞こえたのであった。

 当時、学生運動や反安保闘争などの街頭闘争が盛んだったのだが、大きな衝撃とでも言うべき「国家権力」というテーマを、この映画を通じて意識させられたという深い思い出になっている。

 それ以来、大島渚の話題作はほとんど観ていなかったのだが、あの美しい旋律のメロディーが多くの人の脳裏に残っている「戦場のメリークリスマス」は見た。
 
 第二次世界大戦で捕虜となった日本兵としてビートたけしが出演していて、この名曲を作曲した坂本龍一も出演していたのだが、実は最初のキャスティングでは、この坂本龍一が演じた日本人将校の役は、何故か秋田のフォークシンガーで、とても訛りのきつい「友川かずき」だったらしく、あまりにも訛りが酷く矯正しようとしたら、友川が辞退したらしく坂本自身に変更されたと聞くと、大島が出演者として友川を選んだきっかけを知りたいとも思うのであった。

 ともかく、反体制的な主張の言動を常に語る監督としての社会的影響は大きく、その後のテレビコメンテーター的な出演やタレント的活動でも、その片鱗は見せていて、体制擁護やスポンサーのご機嫌を取る様な言動でテレビやメディアを泳いでいる感じのタレントさんたちが多い中では、間違いなく異彩をはなっていたのである。

 現在は、あまり反体制とか社会派とか称される映画監督が少なく感じているのだが、大島渚の映画づくりへの情熱や意欲を受け継ぐ作り手が現れることを強く期待して、彼の冥福を心から祈りたいと思うものである。

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