ガリバー通信

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原発依存からの脱却は?

2012年06月19日 | とんでもない!
 先週末の土曜日、野田首相の決断で関西電力の福井県おおい町にある大飯原子力発電所の3、4号機の再稼動が決定されたことは周知の事実だが、国民の六割以上の人が原発の再稼動に不安を抱き、昨年春の東日本大震災と大津波によって未曾有の第惨事を起こしてしまつた東京電力の福島第一原子力発電所の1~4号機の事故そのものの原因究明と現在の状況すら全ては分かっていない現状なのに、電気が不足する非常事態が来るという全てが脅迫じみた政府と関西電力を筆頭とする原発再稼動への方向性に対して、野田内閣は「政治決断」とかいうあやふやな言葉で強引に舵を切ってしまったという感じである。

 福島原子力発電所の事故は1986年に起きた当時のソ連の統治下にあったウクライナのチェルノブイリ原発が爆発炎上し、多量の放射能を全世界に撒き散らしてしまって以来、最大かつ最悪のメルトダウンを伴う大事故だったのだが、それ以来原発の安全神話は完全に崩れたはずなのに、まだ一年半も経っていない現状で政府はストレステストと称する安全点検と電力会社の安全対策の徹底と地元自治体の同意を条件に、五月初旬に国内50基の原発が止まった状態だったのに、無理やりこじ開けた感じで実質は7月半ばに完全再稼動がなされるという決定をしてしまったのである。

 野田首相は16日の国民への記者会見で、国民生活を守るために原発の再稼動は不可欠とする決断に至った心情を語っているのだが、本当に真摯に原発、原子力の将来を熟慮した上ならば、やはり大きな政治的決断としての原発の抑制あるいは段階的な原発からの脱却の決断は出来なかったのであろうか。

 私たち国民の多くは昨年の福島原発の事故を起こしたそもそもの原因である大地震と大津波という自然災害が日本列島の全国各地の各断層の状況と海に囲まれた島国ニッポンの全てが海岸線の所謂過疎地に立地している原子力発電所にあっては、場所による差異はあつたとしても、絶対安全などとは言い切ることの出来ないばかりか、将来の廃炉を見込んだとしても、廃棄物処理と共に遠い将来にまで放射能廃棄物などの処理が必要で多額のツケを先送りしている、この厄介な代物からの脱却を決断する絶好のチャンスが今だったのである。

 
しかし、野田首相や民主党の仙石前官房長官なども含む原発関連の所管の枝野、細野大臣なども関西電力会長や社長の度重なる懇願と共に、原発政策を推し進めて来た自民党幹部や関係者などへ陳情などが行われていたらしく、ついに菅前首相の時に表明した原発に頼らない日本のエネルギー政策などという方針を翻して、原発依存の旧体制すなわち「今まで通り」を選択してしまったのである。

 あの三年近く前に「政権交代」で日本の政治が変ると宣伝され、多くの国民が従来通りの日本の政治状況から一歩でも二歩でも変革がなされ、少しでも住み心地のいい、福祉と環境を誇れる国になってくれるのではという淡い期待で総選挙に臨んだのではなかったのだろうか。

 消費税問題の決着の仕方も結局は従来の自民党政権時代と同じく「談合による利害保障」の産物的決着として来週くらいに衆議院での可決成立を見る見通しとなっている様だが、原発最稼動の決断も国民不在の電力会社の利益と存続を第一義的に配慮しただけの理念無き決断だつたと言わざるを得ないのではないだろうか。

 寂しい限りである。せっかくの期待を全く裏切って、国際社会での信用や尊敬もかなぐり捨てて、わが身、わが党、我が支持者としての大手企業の口車に乗った様な決断と言う名の結論を聞くに及んで、とても失望した国民が多くいたのではなかろうか。

 ドイツやスイスの様に時間を掛けてでも「原発依存からの脱却」を宣言すれば、どんなに野田首相は歴代首相としての名を歴史に残せたかもしれないのだが、今やまじめさだけがテレビの画面や報道から感じ取れるだけのただの「おっさん」にしか見得ないのはとても残念である。

 大飯の次は伊方だと順次、元の木阿弥の如く原発依存のとんでもない危険な安全神話を続けていくとすれば、我々は失望以外にないし、15%程度の節電ならば少し努力すればできることであり、クリーンエネルギーの実用化と無駄な電力使用はたくさんあるので、やたらのライトアップやテレビの24時間放送など止めればいいのではないかと庶民は思っているのである。

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