ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

「半夏生」の贈り物。

2011年06月24日 | 季節の話題
 梅雨入りして今年も本格的な蒸し暑さを伴った「夏日」、30℃以上の日照りの日々がやってきました。

 京都府京田辺市の周辺も、すでに「田植え」は終わって、これからは日々稲の生育が著しい梅雨と暑さを体験する季節となりましたが、毎年の恒例として私の八百屋で仕入れている、山陰は出雲地方の「木次乳業」さんよりのお中元としての独特の「笹巻き」が届きました。

 写真の様に素朴な笹でちまき風の餅を丁寧に一本ずつ巻いてあるものを束ねて、美しい緑のふくよかなプレゼントとして出雲地方で採れた新茶と共に、お中元の印として贈られてきたものなのですが、手作りの心のこもった贈り物として大変嬉しく感じ、早速鍋にたっぷりの湯を沸かして、ちまき風の笹巻きを茹でで、今年は黒糖と醤油の「砂糖醤油」をつけていただきました。

 ご挨拶文には、出雲地方では6月になると、一ヶ月遅れの端午の節句を行うそうで、同じころに田植えが終わって、泥落とし(骨休み)を代満の半夏の行事として、笹巻きをつくりますと書かれてあり、平素のご無沙汰のほんのお詫びのしるしとして、笹巻きと地元で栽培された新茶をご賞味くださいませ、と丁寧に添えられていた。

 ついでに、「笹巻きの召し上がり方」も書かれていて、上記の如く早速茹でで「召し上がった」のだが、ふわふわモチモチで少し笹の香りが残っていて、素朴な「半夏生」の季節的手作り食品としては、心がすっきりと洗い流される様な気分になり、梅雨の鬱陶しさや少し汗ばむ暑気払いにもなったのではないかと感じて、感謝である。

 「半夏生」とは、「はんげしょう」と読むのだが、雑節のひとつで半夏(烏柄杓)という薬草が生える頃、すなわちハンゲショウ(カタシログサともいう)とは「葉が半分白くなって化粧したようになる」ところから、名づけられているものなのだが、この植物が目立つ頃で、暦の日としては、夏至(今年は6月22日)から数えて11日目、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日といわれ、毎年7月2日頃にあたるそうである。

 農家にとっては、この「半夏生」の日は大事な節目の日であり、この日までに農作業を終えて、この日から5日間は休みとする地方もあり、この日は天から毒気が降るといわれ、井戸にも蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされたりしたそうで、三重県の熊野地方でや志摩の沿岸部では、ハンゲという妖怪が徘徊するとされ、この時期に農作業を行うことに対する戒めともなっているというのである。

 上方では、この日に蛸を、讃岐では饂飩を、福井県大野市などでは焼き鯖を食べるという習慣があり、全国各地の農家や古い伝統やしきたりを重んじる家庭では、今でもそうした習慣や食文化を守っているというので、日本の農業や季節の移ろいに対する畏敬のる念や昔からの言い伝えを守る伝統に敬意を表したくもなるのである。

 ついでに、植物の「はんげしょう」についてであるが、ドクダミ科の多年草で、主には水辺に生えて、臭気があり、茎は高さ約80センチにもなり、葉は長卵形で、ちょうど半夏生の頃に茎の頂に花穂をつけ、白色の小花を蜜生し、花穂のすぐ下の葉は下半部が白色となり目立ち、別名として「片白草」ともいい、俳句の季語として「夏」に用いられるそうである。

 ほんとうに暑ーいと感じられる夏の到来だが、つい一週間前には梅雨入りしても凌ぎやすい気温が続いていたと思ったのに、昨日、今日は日中は扇風機のお世話にはならないと汗がジワーと湧き出でてくる感じの気温の上昇で、京都府京田辺市もゆうに30℃を超えて、夏日から熱帯夜への階段を確実にのぼりつつあることを実感する日となった様である。


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