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中島みゆきが2000年にリリースした「地上の星」がNHKテレビの「プロジェクトX」の主題歌として採用されて、じわじわと売れ出してロングセラーの大ヒットになったそうである。
あのフォーク界の『歌姫」中島みゆきの作品なのだが、何故にそれほどまでも中高年の特におっさん連中にもてる歌となったのだろうかと思うのである。
「時代」でかつて、ヤマハのポプコンでデビューした、初々しい女性フォーク歌手だった「中島みゆき」もNHKの大晦日の大看板番組「紅白歌合戦」で、この「地上の星」を黒部ダムの「トンネル」から生中継という、とんでもない出演をするに至ったのである。
長い間、ニッポン放送の深夜ラジオ放送、「オールナイトニッポン」にパーソナリティーとして出演し、独特の早口と毒舌と言おうか、みゆき節を聴かせてくれて、多くのファンをつかみ、独特のエンターテイメントを続けている彼女だが、もう50を過ぎた「おばさん」でもある。
実は、私が二〇代の頃、東京で小さなフォーク系の音楽事務所を立ち上げて、仕事をしていた頃に、たまたま渋谷のヤマハの事務所やスタジオに出入りをしており、ヤマハのタレントとのミニコンサートなどの企画にも協力していたので、中島みゆきのデビュー曲である、「時代」は大好きで、縁があって私にもマネージメントの話があったのである。
しかし、彼女は北海道出身の女性であり、その当時は、「女性タレント」はマネージメントがし難いし、ビジネスライクにはなかなか行かないのではないかとの憶測と不安があって、引き受けなかった経緯があったのである。
今思うとねいや数十年前にも、冗談だが、中島みゆきのマネージメントを引き受けていたら、自分の人生は全く異なった人生になっていただろうな、と思ったことがあり、子供達にも、父として金持ちの大社長になっていたかもと話したこともあったのである。
ともかく、今その「中島みゆき」が歌う「地上の星」が大ヒットして、中高年世代のおじさんたちの「カラオケ」の定番にもなっていると言うのである。
「風の中のすばる 砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく
草原のペガサス 街角のヴィーナス
みんな何処へ行った 見守られることもなく
地上にある星を 誰も覚えていない
人は空ばかり見てる つばめよ 高い空から 教えてよ 地上の星を
つばめよ 地上の星は 今何処に あるのだろう」
おじさんたちの歌う心は何だろうか。
経済優先のビジネスの世界にあって、日夜仕事、仕事に明け暮れる、企業戦士でもあるおじさんたちが、仕事を終えて、酒を飲み、会社や上司の愚痴を言いながら、「何かしっくり行かない無常感を覚えているのが、この歌の歌詞とダブルのかもしれない」
いくら頑張っても、所詮サラリーマンは、見守られることもなく、見送られることもなく、風の中、砂の中、草原の中、街角でも、何処に行こうが、ただの戦士に過ぎない。
大きな社会の中の利益追求の大企業や会社に、一生懸命遣えて、仕事、仕事の毎日を過ごしていて、「俺がいなければ会社がダメになる」なんて思っていても。会社の都合で、いとも簡単に人事異動もあれば、転勤、配置転換、リストラもある。
会社への忠誠心などと、誠実克つ愛社精神で永年勤めてきた者も、定年が近づけば、いつのまにか窓際族か肩たたきに合うのである。
サラリーマンの「空しさ」「無常観」は、ツバメに聴くしかないのかも知れない。「地上の星」は、今何処にあるのだろう?つばめよ 高い空から 教えてよ 地上の星を。
団塊の世代だけでなく、永年、会社を通して社会に貢献してきたと自負している「お父さんたち」が好んで歌う、カラオケ曲「地上の星」は、寂しさ、情けなさに対する、中高年世代の「叫び」であり「怨念をも感じる歌』であるように思えてならないのである。