ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

昨日・今日・明日

2005年06月05日 | 世界の問題
 今日は初めて、大阪九条の「シネ・ヌーヴォ」と言う名のユニークな小さな映画館に出かけて、タイ北部のパヤオ県の丘陵地帯で、自然に恵まれた農村生活をおくる2組のHIV感染者家族のドキュメンタリー作品を見たのである。

 私の友人でもある、Mr.Kがタイからのメールマガジンで知らせてくれて、今朝は、この作品を撮影、監督した直井里予さんも来られると言うので、午後からの講演会の予定もあったので、ついでに出かけたのである。

 一昨年夏にタイのチェンマイにタイ人の奥さんと二人のやんちゃな男の子の父親となっている、友人を訪ね、彼の家に一泊した際に、彼のタイでの仕事の一部としてのHIV患者のサポートNGOを訪問したこともあって、日本以上にエイズ患者が多発しているタイの実態と、末期的エイズ患者のホスピス的居場所の活動をしている日本人たちの様子も知ったこともあって、関心を持って見ることが出来た。

 若いHIV感染者夫婦にとって、いつ死期が来るかわからないけれども、間違いなく体内で蝕まれているHIVウイルスは、恐怖であるのだけれど、日常生活としての一日、一日の幸せや、何気ない日常が如何に大事なのかを、淡々とした映像を通して映し出しているのである。

 ボーイと名づけられた、若い夫婦のひとり息子は、学校に行きながらHIV感染のための、咳を繰り返しながら、友達にエイズであることでいじめられたり、つらい日常生活をおくり、学校も休みがちになったり、そして入院し、退院したけれど11歳の若さで天上に召されてしまった。

 もう一組の若い感染者同士の再婚カップルは、仲良く農作業をしながら、奥さんの前夫との忘れ形見でもある少年に、自分達の死後も、ちゃんと生活していけるだけの田畑を残そうと、ふたりで話し合いながら、命ある日々を、将来の子どものために生きているのである。

 私達日本人にとっては、エイズHIV感染者の存在は、まだまだ少ないし、認識は乏しいかもしれないが、どんな病気に苛まれても、人ひとりの命との戦いは、誰にも老若の差こそあれ、人間としてはいずれ必ず迎える宿命なのである。

 しかし私達には、なかなか実感が乏しく、近い友人や親族のガンによる思いのほか早い死などに接して、初めて自分達にも、そういった時期が来ることを悟らされるのである。

 この映画のタイトル「昨日、今日、明日」は、本当に神様から与えられた生命を、一日、一日大切に、過ごしているかをHIV感染というアンラッキーな境遇にあるタイの若い二組の夫婦を通して、私達の日常生活に問うているのではないだろうか。

 あなたは、昨日、今日、明日と何のために何を大切に過ごしましたか。また明日はどうすごしますか?

 私の友人S君がALSという難病を若くして患って、発病後2年足らずで、大きな坂をまるで自ら転げて行く様な感じで33歳の若さで亡くなってしまって、ことで丸10年が経つが、彼の33年の人生を思うとき、私自身が今、命を与えられている日々を、どれほど真剣かつ有意義に暮らしているかと自問自答せざるを得ないことがあるのだが、皆さんにとっても、いつまでも命は続くわけではないのです。

 HIV感染は、不幸なきっかけに苛まれておられるわけだが、JR電車の尼崎での脱線事故や大地震での不慮の死亡など、病気以外でも、突然人は死を迎えることもあるのである。

 エイズ患者のひたむきで優しい、家族愛と日々の感謝生活に学ぶべきところがたくさんある様に感じたのは、私だけではないだろうと思うのである。安らかな日々と命の尊さを感謝して、祈りたいと思う。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする