「松風庵日記」 心はいつもお茶日和  

後半の人生の楽しみ方見つけましょう!

使い切った着物が形を変えて

2018年03月05日 | 日記

毎日の稽古で、もう何枚も着物を着古すというより、使い切りました。
洗いを二~三回繰り返すうちにまず膝が抜けます。
表地から裏地が透けて見えるようになります。
好きな着物は上前と下前を入れ替えて仕立て直したこともありましたが、
そのための費用もなかなかのものなので、
最近は今まで持っていた着物で、外出着にはならなくなったものを、
稽古着に下ろし、片っ端から使い切っています。
そして「ここまで着てもらえたら本望よね「」と引導を渡します。

でも膝は抜けても、他の部分きれいなんですよね。
袖とか、下前とか。
ただ捨てるのはもったいないので、何かに利用しようと思うのですが、
和裁の腕など持ち合わせていない私には、そのためにとっておくのは、
いつか何とかしなくてはと思うだけで、かなりのプレッシャーです。

せめてクッションカバーにでも、と思っているうちにどんどんたまっていきます。
そんな時、捨てるのなら、田舎に送りますという友人が。
故郷のお母様が、普段着の袢纏に仕立て直したり、作業着にしたりして、
使っていただけるというのです。
最近はご近所のお仲間と、いろいろな端切れで小物を作り、楽しんでいらっしゃるとか。
それからは、使ってていただけるならどうぞどうぞと、
使えそうなものは、時々お持ちいただくことにしています。

それだけでもありがたいですのに、なんと、
「思い出の着物でしょう」と、出来上がった作品を分けてくださいます。
ホーチや巾着などに生まれ帰った私の着物は、さぞかし喜んでいるのでは。
便利に使わせていただいています。
ありがとうございます。

実はそのお母様は、あの大震災で、原発の事故で家と梨園を失われました。
毎年季節が来ると、美味しい梨を注文して送っていただいていました。
友人にとっても、故郷はもう帰れる場所ではなくなったのです。
今は離れた場所に新しいお家も建てられたそうですが、
まだそちらには移られず、仮設住宅でのお仲間と、
小物づくりを楽しんだりして過ごされていらっしゃいますが、
そこで知り合った方達とも、いずれは別れ別れになるのでしょうね。
あの日から7年がもうすぐやってきます。
傷跡は癒えていないと、その友人からも聞いています。
本当に復興はまだまだなのです。