稽古場の寄り付きに、少し前から「利休道歌」を一首ずつ掲示しています。
「利休百首」ともいい、入門すると用意する扇子に、びっしりと書いてありますね。
何首か聞き覚えのある歌もありますが、すべてを記憶している人は少ないと思います。
お稽古に来るたびに目にすれば、記憶に残る歌も増えるかと、
話題づくりも兼ねて、掲示することにしました。
月に一~二首ですが、塵も積もればで、そのうち百首になるかもしれません。
今はこの歌が。
「上手にはすきと器用と功積むと この三つそろう人ぞ能くしる」
皆さんこの歌を読むと、
「器用」という言葉がひっかかるようです。
私はどうも不器用で、とか才能は無いかもとか、
もっとセンスがあるといいのですがとか・・・
でも器用というのは、「好きと、功積む」にはかなわないと思いますね。
往々にして器用な人は功積む、つまり努力をしないこともありますから。
「うさぎとかめ」のたとえのごとく、
お茶の上達には「根気」や「粘り強く続ける」に勝る才能は無いように思うのですが。
私の場合は「好き」が勝っているようです。
好きだからこそ、功積むこともちょっとは頑張れる。
器用については自分ではわからないものです。
ところでここのところ、
次のような歌を例に挙げてお稽古をすることがありました。
「中継は胴を横手にかきて取れ 茶杓は直におくものぞかし」
「棗には蓋半月2手をかけて 茶杓を丸く置くとこそしれ」
中次と棗の扱いと、茶杓の置き方について言っています。
利休道歌にはこんな風に、
具体的にお点前のありかたを教えてもいる歌もあります。